伯爵令嬢、溺愛されるまで~婚約後~

うめまつ

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『捕まえてしまいなさい!』

グラッセ王女がそう言うとすぐに目の前の二人が走ってきました。

逃げるとじわじわ追い回す感じです。

バルコニーからも一人追加です。

三人から囲まれる前に二人の囲いから逃げます。

冷え性のお母様、ありがとうございます。

分厚い靴下は芝生を走っても痛くありません。

少しチクチクするだけです。

子供の頃のように腕を大きく振ってスカートの裾を足で蹴ってバサバサうるさいから裾を素早くコルセットへ挟みます。

背中から騎士の怒鳴り声が聞こえました。

グラッセ王女の声も。

どこ行くのよって叫んでます。

私はあなた達から逃げてるんです。

どこまでも逃げてやります。

大きい人から逃げるなら隠れるのが一番です。

子供の頃、孤児院の子から学びました。

今はあんな楽しい遊びじゃありませんけど。

バルコニーから離れてさっきの池に向かって走りました。

あっちなら木が覆い繁っていてかくれんぼに最適です。

休みたいし時間を稼ぎたいんです。

走り続けたらどうせあの人たちの方が元気ですし、アンバルはまだ暴れているはず。

ウドルも、もしかしたら目を覚まして人を呼んでくれているかもしれません。

ヨルンガも、サラも、ロルフ様も。

誰かおかしいと思っているはずです。

池の手前の木に登ります。
 
孤児院のお友達に感謝です。

遊んでこいと送り出してくれた家族も自分のお転婆も。

こんなことに役立つなんて思いませんでした。

まだ遠くで騎士達は、どこだと叫んでるからもっと上に登る暇はありそうです。

あの人達は大声で私を探すからどこにいるか分かりやすくて助かります。

怒鳴り付けて怖がらせて追いたてるつもりのようです。

ひとり、ふたり。

橋を渡って奥に行くのが見えました。

三人の甲冑も助かります。

どこにいても微かにガチャガチャと金属音がなりますから。

あと一人はどこか木にぴったり引っ付いてキョロキョロと辺りを見回して探しました。

ガチャガチャと金属音の大きさですごく近くにいることに気づいて息をひそめて静かにやり過ごします。
 
あとはどうしようと悩みました。

いつまでこのまま隠れていられるか分かりません。

じっと息をひそめていると、空からヒューッと何か動物の長い鳴き声が聞こえて空を見上げました。

すると、パァンと花火がひとつ。

何か分からず見とれてました。

『いたぞ!』

声は真下から。

ハッとして見ると先程通りすぎた三人目が下から私を見上げていました。
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