71 / 78
タイロンの復讐
しおりを挟む
こいつの小屋。
昼寝に来てダラダラしていたら、あいつが花の苗を大量に抱えて戻ってきた。
「あー、マタ来てル。サボりダろ?」
へらへら笑いながら俺を暇人とからかう。
最近、言葉遣いと顔だけじゃなく覆面の位置も緩い。
傷が半分見えてる。
でもこいつはもう気にしてない。
「ばーか、夜勤だよ。死ね」
シーツを被せた藁の寝床に寝転んでる。
起きるのが面倒だから中指を立てて見せびらかした。
「自分の部屋で寝ろヨ?」
「ここが静かでいい」
外の草木の匂いと音が気持ちいい。
ほぼ毎日入り浸りだ。
「面白いじいさんだったな」
「貴族ダよ。その言い方ヤメロ」
「いいんじゃね?」
「良くナイ」
「はは、あのじいさんなら怒んねぇよ」
首をひねってそれ以上黙った。
納得してやがる。
そのまま視線は壁に掛けたキャンバスと絵姿に吸い込まれてその二つを眺めている。
はは、目を細めて幸せそうに笑ってやがる。
そうしていると、そのキャンバスの顔と似てるぞ。
ユニコーン娘は見る目ある。
こいつはデカくて厳つくなったが、笑うと良い顔するんだ。
静かなこの小屋も自然の微かな音や匂いも好きだ。
一番はキャンバスと絵姿を眺めるこいつがお気に入りだ。
無くしたもんを、なんか守れた気がする。
お前はそうやってへらへらしとけ。
この空気が心地よくてまた昼寝をした。
あのじいさんがもう帰ってひと月。
面白かった。
次の日は本当にお互い利益の出る新しい事業や経済効果の高い提案をバンバン出して皆の機嫌を取っていた。
メランプス王子は急な手のひら返しに怪しんで微妙な顔をしていたが、フィンレー王子は総合してかなりの利益が出ているのでよしとされた。
最後は王家に嫁いだ二人のご令嬢の安寧。
そして我が国への祝福と賛辞を述べて、この老体が役に立つのなら何を置いても必ずや駆けつけましょうと芝居口調。
国に利益をもたらした頼もしい御仁と多くの者が喜ぶが、人に寄っちゃ恐ろしい脅し。
ちらほら青ざめた奴がいたから分かりやすかった。
詰まらんことをしてる奴は片付けて帰るわいとじいさんが笑っていたし。
合間でじいさんと気さくに話すが、顔色悪いのぅと不摂生を叱られた。
「嫌なことはしないに限る」
具合悪くなるほどするなと言われた。
「我慢はよくない。体に悪いからな」
話ぶりからシモに思えた。
意外とスケベじじいなのかと驚くと見透かされて睨まれた。
「話をしてやる。昔、私はとあるご令嬢を守りそびれた」
渋く顔を歪める。
「それ以来、考えは改めた。虫は払うに限る。徹底的に。羽と足をむしって最後にはらわたを出す。我慢はよくない」
逆に無理だと思うなら止めとけと。
「へぇ、……そうですねぇ。自分は同感です」
にぃ、と口角をあげるとじいさんも目を細めて笑った。
「やはりお前は同類。逆に彼は人の良さそうな青年だからな」
お前より気に入ったと憎まれ口のじいさん。
俺もアンタよりあいつがいいと答えると満足げだ。
気が向けば国へ遊びに来いと誘われた。
そうなるとあちらへ行く際の護衛に選ばれそうだな。
昼寝に来てダラダラしていたら、あいつが花の苗を大量に抱えて戻ってきた。
「あー、マタ来てル。サボりダろ?」
へらへら笑いながら俺を暇人とからかう。
最近、言葉遣いと顔だけじゃなく覆面の位置も緩い。
傷が半分見えてる。
でもこいつはもう気にしてない。
「ばーか、夜勤だよ。死ね」
シーツを被せた藁の寝床に寝転んでる。
起きるのが面倒だから中指を立てて見せびらかした。
「自分の部屋で寝ろヨ?」
「ここが静かでいい」
外の草木の匂いと音が気持ちいい。
ほぼ毎日入り浸りだ。
「面白いじいさんだったな」
「貴族ダよ。その言い方ヤメロ」
「いいんじゃね?」
「良くナイ」
「はは、あのじいさんなら怒んねぇよ」
首をひねってそれ以上黙った。
納得してやがる。
そのまま視線は壁に掛けたキャンバスと絵姿に吸い込まれてその二つを眺めている。
はは、目を細めて幸せそうに笑ってやがる。
そうしていると、そのキャンバスの顔と似てるぞ。
ユニコーン娘は見る目ある。
こいつはデカくて厳つくなったが、笑うと良い顔するんだ。
静かなこの小屋も自然の微かな音や匂いも好きだ。
一番はキャンバスと絵姿を眺めるこいつがお気に入りだ。
無くしたもんを、なんか守れた気がする。
お前はそうやってへらへらしとけ。
この空気が心地よくてまた昼寝をした。
あのじいさんがもう帰ってひと月。
面白かった。
次の日は本当にお互い利益の出る新しい事業や経済効果の高い提案をバンバン出して皆の機嫌を取っていた。
メランプス王子は急な手のひら返しに怪しんで微妙な顔をしていたが、フィンレー王子は総合してかなりの利益が出ているのでよしとされた。
最後は王家に嫁いだ二人のご令嬢の安寧。
そして我が国への祝福と賛辞を述べて、この老体が役に立つのなら何を置いても必ずや駆けつけましょうと芝居口調。
国に利益をもたらした頼もしい御仁と多くの者が喜ぶが、人に寄っちゃ恐ろしい脅し。
ちらほら青ざめた奴がいたから分かりやすかった。
詰まらんことをしてる奴は片付けて帰るわいとじいさんが笑っていたし。
合間でじいさんと気さくに話すが、顔色悪いのぅと不摂生を叱られた。
「嫌なことはしないに限る」
具合悪くなるほどするなと言われた。
「我慢はよくない。体に悪いからな」
話ぶりからシモに思えた。
意外とスケベじじいなのかと驚くと見透かされて睨まれた。
「話をしてやる。昔、私はとあるご令嬢を守りそびれた」
渋く顔を歪める。
「それ以来、考えは改めた。虫は払うに限る。徹底的に。羽と足をむしって最後にはらわたを出す。我慢はよくない」
逆に無理だと思うなら止めとけと。
「へぇ、……そうですねぇ。自分は同感です」
にぃ、と口角をあげるとじいさんも目を細めて笑った。
「やはりお前は同類。逆に彼は人の良さそうな青年だからな」
お前より気に入ったと憎まれ口のじいさん。
俺もアンタよりあいつがいいと答えると満足げだ。
気が向けば国へ遊びに来いと誘われた。
そうなるとあちらへ行く際の護衛に選ばれそうだな。
11
あなたにおすすめの小説
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される
風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。
しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。
そんな時、隣国から王太子がやって来た。
王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。
すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。
アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。
そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。
アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。
そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。
この度娘が結婚する事になりました。女手一つ、なんとか親としての務めを果たし終えたと思っていたら騎士上がりの年下侯爵様に見初められました。
毒島かすみ
恋愛
真実の愛を見つけたと、夫に離婚を突きつけられた主人公エミリアは娘と共に貧しい生活を強いられながらも、自分達の幸せの為に道を切り開き、幸せを掴んでいく物語です。
投資の天才”を名乗る臣民たちよ。 その全財産、確かに受け取った。 我が民のために活かそう』 〜虚飾を砕く女王の経済鉄槌〜
しおしお
恋愛
バブルに沸くアルビオン王国。
「エルドラド株」を持たぬ者は時代遅れ――
そう嘲笑いながら、実体のない海外権益へ全財産を注ぎ込む貴族たち。
自らを“投資の天才”と称し、増税に苦しむ民を見下す日々。
若き女王リリアーナは、その狂騒を静かに見つめていた。
やがて始まる王室監査。
暴かれる虚偽契約。
崩れ落ちる担保。
連鎖する破綻。
昨日まで「時代の勝者」を気取っていた特権階級は、一夜にして無一文へ。
泣きつく彼らに、女王はただ微笑む。
――“皆様の尊いご投資、確かに受け取りましたわ”
没収された富は国庫へ。
再配分された資源は民へ。
虚飾を砕き、制度を再設計し、王国を立て直す。
これは復讐譚ではない。
清算と再建の物語。
泡沫の王国に、女王の鉄槌が下される。
【完結】婚約破棄はいいのですが、平凡(?)な私を巻き込まないでください!
白キツネ
恋愛
実力主義であるクリスティア王国で、学園の卒業パーティーに中、突然第一王子である、アレン・クリスティアから婚約破棄を言い渡される。
婚約者ではないのに、です。
それに、いじめた記憶も一切ありません。
私にはちゃんと婚約者がいるんです。巻き込まないでください。
第一王子に何故か振られた女が、本来の婚約者と幸せになるお話。
カクヨムにも掲載しております。
お前など家族ではない!と叩き出されましたが、家族になってくれという奇特な騎士に拾われました
蒼衣翼
恋愛
アイメリアは今年十五歳になる少女だ。
家族に虐げられて召使いのように働かされて育ったアイメリアは、ある日突然、父親であった存在に「お前など家族ではない!」と追い出されてしまう。
アイメリアは養子であり、家族とは血の繋がりはなかったのだ。
閉じ込められたまま外を知らずに育ったアイメリアは窮地に陥るが、救ってくれた騎士の身の回りの世話をする仕事を得る。
養父母と義姉が自らの企みによって窮地に陥り、落ちぶれていく一方で、アイメリアはその秘められた才能を開花させ、救い主の騎士と心を通わせ、自らの居場所を作っていくのだった。
※小説家になろうさま・カクヨムさまにも掲載しています。
逆行転生、断罪され婚約を破棄された落ちこぼれ令嬢は、神の子となり逆行転生したので今度は王太子殿下とは婚約解消して自由に生きたいと思います
みゅー
恋愛
アドリエンヌは魔法が使えず、それを知ったシャウラに魔法学園の卒業式の日に断罪されることになる。しかも、シャウラに嫌がらせをされたと濡れ衣を着せられてしまう。
当然王太子殿下との婚約は破棄となったが気づくと時間を遡り、絶大な力を手に入れていた。
今度こそ人生を楽しむため、自分にまるで興味を持っていない王太子殿下との婚約を穏便に解消し、自由に幸せに生きると決めたアドリエンヌ。
それなのに国の秘密に関わることになり、王太子殿下には監視という名目で付きまとわれるようになる。
だが、そんな日常の中でアドリエンヌは信頼できる仲間たちと国を救うことになる。
そして、その中で王太子殿下との信頼関係を気づいて行き……
【完結】瑠璃色の薬草師
シマセイ
恋愛
瑠璃色の瞳を持つ公爵夫人アリアドネは、信じていた夫と親友の裏切りによって全てを奪われ、雨の夜に屋敷を追放される。
絶望の淵で彼女が見出したのは、忘れかけていた薬草への深い知識と、薬師としての秘めたる才能だった。
持ち前の気丈さと聡明さで困難を乗り越え、新たな街で薬草師として人々の信頼を得ていくアリアドネ。
しかし、胸に刻まれた裏切りの傷と復讐の誓いは消えない。
これは、偽りの愛に裁きを下し、真実の幸福と自らの手で築き上げる未来を掴むため、一人の女性が力強く再生していく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる