1 / 315
襲来
しおりを挟む
クレイン辺境領にて上位魔人の襲来。
知らせが届いたのは襲来の早朝。
いくつも鳥が飛び交い、はっきりとした詳細が届いたのは三日たった頃だった。クレインから王宮に三日かけて早馬で届いた。
早馬の知らせから準備に三日かけて歩兵を含めた進軍には到着には五日かかる。鳥の知らせからもうすでに六日過ぎた。
その間にクレイン辺境領は上位魔人の蹂躙に苦しんでいるはずだ。
急がねばと騎馬隊のみの編成を率いて馬を駆ける。
鳥と早馬で知らされた魔人の特徴はウェーブのかかった長い黒髪と闇のような黒い肌。
金の瞳と頭頂に伸びる3本の角。
人よりも一回りも二回りも大きな体格と隆々とした筋肉。
その容姿の特徴は上位魔人の黒獅子だと予想され、圧倒的な暴力と破壊を好む災害と国内外から最も危険視される脅威の一つだった。
襲われたクレイン辺境領は死地へと変貌したと誰しもが絶望視していた。
私達が向かうのはその地だ。
戦うことが難しくとも一人でも多く救済せねばと駆け足でかの地を目指す。
そのために団の先頭を走る私は王都兵団の団長を勤めるカリッド・グリーブス。
鳥の知らせから六日目、やっと半ばまで来た。
小休止だと団員らの足を止めて馬と人間の休息を挟む。
先へ急がねばと思うが馬と人間を潰しては元も子もない。
そうしながら最低限の休みを挟みすぐに馬を走らせた。
途中、向こうからクレインの旗を掲げた早馬の使者が飛び込んで耳を疑うこと告げた。
魔人の討伐完了と。
喜びの涙に濡れる若い使者の顔を見れば到底嘘や間違いとは思えず。
クレイン辺境領にはそれほどの武力が備わっていたのかと驚きに詳細を尋ねると使者は高々と宣言した。
ジェラルド・クレイン辺境伯が娘のエヴ・クレイン嬢が討ち取ったのだと。
聞き間違いかと思いご子息かと尋ねるとご息女だと答える。
私達は開いた口が塞がらなかった。
「ご令嬢がか?一介の?」
ジェラルド・クレイン辺境伯と嫡男のご子息なら武勇に優れていることで有名だ。
ご息女については本当にいるかどうかも怪しいほど何の話も聞いたことがなかった。
「はい、お嬢様は尋常でないほどの魔力を持ち旦那様並みの身体強化術をお使いになります。それにより五日五晩の死闘を繰り広げ撃ち破るに至りました」
「お一人でか?」
「いえ、もちろん多くの犠牲はございました。詳しくは現地にてお尋ねください。申し訳ありませんが、自分は王宮へ詳細をお届けせねばなりません」
胸当てに手を添えて手紙の存在を示す。
「引き留めてすまない。先を急がれよ」
「それでは」
笑顔で馬を駆ける若者の背中を見送り、隣に控えていた副団長のエドが私を振り返る。
「今の話は一体、」
白髪の多くなった茶色い髪を片手でかきあげて信じられないとヘーゼルの瞳がこぼれそうなほど見開いていた。
エドの仕草につられて私もアッシュの髪を同じようにかく。
「さあな」
「黒獅子ではなかった、ということですか?」
「かもしれん。何にしろ犠牲者が出たと言うなら現地は混乱しているだろう。当初の予定通り救援に向かう。それに戦地へ向かえという王命のみ。帰れる条件の記載はない」
今の話が聞こえた団員らにもさざ波のような当惑が広がっている。
「行ってみればいい。それで真実が分かる」
先程、使命感から早かった足取りとは違ったが、急ぎ戦地とされた場所へと走った。
知らせが届いたのは襲来の早朝。
いくつも鳥が飛び交い、はっきりとした詳細が届いたのは三日たった頃だった。クレインから王宮に三日かけて早馬で届いた。
早馬の知らせから準備に三日かけて歩兵を含めた進軍には到着には五日かかる。鳥の知らせからもうすでに六日過ぎた。
その間にクレイン辺境領は上位魔人の蹂躙に苦しんでいるはずだ。
急がねばと騎馬隊のみの編成を率いて馬を駆ける。
鳥と早馬で知らされた魔人の特徴はウェーブのかかった長い黒髪と闇のような黒い肌。
金の瞳と頭頂に伸びる3本の角。
人よりも一回りも二回りも大きな体格と隆々とした筋肉。
その容姿の特徴は上位魔人の黒獅子だと予想され、圧倒的な暴力と破壊を好む災害と国内外から最も危険視される脅威の一つだった。
襲われたクレイン辺境領は死地へと変貌したと誰しもが絶望視していた。
私達が向かうのはその地だ。
戦うことが難しくとも一人でも多く救済せねばと駆け足でかの地を目指す。
そのために団の先頭を走る私は王都兵団の団長を勤めるカリッド・グリーブス。
鳥の知らせから六日目、やっと半ばまで来た。
小休止だと団員らの足を止めて馬と人間の休息を挟む。
先へ急がねばと思うが馬と人間を潰しては元も子もない。
そうしながら最低限の休みを挟みすぐに馬を走らせた。
途中、向こうからクレインの旗を掲げた早馬の使者が飛び込んで耳を疑うこと告げた。
魔人の討伐完了と。
喜びの涙に濡れる若い使者の顔を見れば到底嘘や間違いとは思えず。
クレイン辺境領にはそれほどの武力が備わっていたのかと驚きに詳細を尋ねると使者は高々と宣言した。
ジェラルド・クレイン辺境伯が娘のエヴ・クレイン嬢が討ち取ったのだと。
聞き間違いかと思いご子息かと尋ねるとご息女だと答える。
私達は開いた口が塞がらなかった。
「ご令嬢がか?一介の?」
ジェラルド・クレイン辺境伯と嫡男のご子息なら武勇に優れていることで有名だ。
ご息女については本当にいるかどうかも怪しいほど何の話も聞いたことがなかった。
「はい、お嬢様は尋常でないほどの魔力を持ち旦那様並みの身体強化術をお使いになります。それにより五日五晩の死闘を繰り広げ撃ち破るに至りました」
「お一人でか?」
「いえ、もちろん多くの犠牲はございました。詳しくは現地にてお尋ねください。申し訳ありませんが、自分は王宮へ詳細をお届けせねばなりません」
胸当てに手を添えて手紙の存在を示す。
「引き留めてすまない。先を急がれよ」
「それでは」
笑顔で馬を駆ける若者の背中を見送り、隣に控えていた副団長のエドが私を振り返る。
「今の話は一体、」
白髪の多くなった茶色い髪を片手でかきあげて信じられないとヘーゼルの瞳がこぼれそうなほど見開いていた。
エドの仕草につられて私もアッシュの髪を同じようにかく。
「さあな」
「黒獅子ではなかった、ということですか?」
「かもしれん。何にしろ犠牲者が出たと言うなら現地は混乱しているだろう。当初の予定通り救援に向かう。それに戦地へ向かえという王命のみ。帰れる条件の記載はない」
今の話が聞こえた団員らにもさざ波のような当惑が広がっている。
「行ってみればいい。それで真実が分かる」
先程、使命感から早かった足取りとは違ったが、急ぎ戦地とされた場所へと走った。
10
あなたにおすすめの小説
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
結婚式に結婚相手の不貞が発覚した花嫁は、義父になるはずだった公爵当主と結ばれる
狭山雪菜
恋愛
アリス・マーフィーは、社交界デビューの時にベネット公爵家から結婚の打診を受けた。
しかし、結婚相手は女にだらしないと有名な次期当主で………
こちらの作品は、「小説家になろう」にも掲載してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる