人狼の団長、見つけた番はすでに溺愛されている《団長はお預け中、たまに待てが出来ないで押し倒す》

うめまつ

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尻尾

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「嫌がる相手の肌を触れたことがとても許されないことなんですよ。私共が止めねば、団長の気のすむまで続いたかもしれませんよ?」

「あ、それは嫌。さっきのも嫌。あんなの嫌い」

地面をぎゅっと掴む。
嫌いと言われてかなり胸に刺さった。

「でも、もういいや。団長、罰とかいいです。思いつかないし、いっぱい助けてもらってますし」

「いや、それとこれは別だ。罰してくれ」

嫌だと言われて自暴自棄だった。
それに許すと言われても自分自身が許せない。
罰してほしかった。
考え込んでるようで静かになる。
頭を下げたまま、目をつぶって沙汰を待った。
ジャリジャリと砂を踏む音が近づいて、向かいにエヴ嬢が座った。
見なくても匂いでわかる。
やはり心地よい匂いだと大きく息を吸った。
何をするのかと思えば、急に耳を触られてビクッと跳ねた。

「…う、くっ」

無言で触っている。
付け根を揉んだり、こしょこしょと毛を撫でたかと思うと全体をにぎにぎと掴まれて。
気持ちいいのと恥ずかしいので身体が震え、きつく地面に爪を立てる。
声が漏れるのを必死で堪えた。
次に背後へ回って尻尾を掴まれた。
また耳と同じように毛を撫でたり毛並みに
指を突っ込んで皮膚を直に触ったり。
唇を噛んで堪えるが、息が荒いのも時折ひくひくと反応してしまってることも、側のエドとスミスにはバレてる。

「ねえ、ヤン。獣化って、狼になるんだよね?」

「そうらしいですね。私も詳しくは存じませんが」

「団長?」

「な、なんだ?」

息も絶え絶えに、下を向いたまま返事をした。

「罰は何でもいいですか?」

「覚悟してる」

「なら私、狼を見たいです。見せてください」

「すまないが、初めての獣化でこれ以外わからない」

「そうなんですね、残念です。…じゃあ、この尻尾と耳は私のにします。なのでいつでも触っていいということでお願いします」

その言葉に、ぎぎ、と身体を軋ませながら後ろのエヴ嬢に振り向いた。

「な、なんて言った?」

「好きな時に触らせてください」

ぎゅっぎゅっと強く握られてビリっと身体が揺れる。

「それは、困る」

思わず首を振って拒否した。
魅力的な提案だが、また襲う自信がある。

「何でもいいと言いました」

ちろっと睨まれ、エヴ嬢が尻尾を抱き締めて顔を埋めると、ふーっと息を吐いた。
背中にぞくぞくと震えが走る。

「この尻尾は私のです。耳も私のにします」

助けを求めてエドを見ると、情けない顔を横に振るばかりで、ヤン達は止めないのかと目線をやれば、ラウルが面白くなさそうに不貞腐れてるだけで三人は何も言わない。
回りも、どうしていいかわからないといった空気で黙って事のなり行きを見つめている。

「首なんかいらないし、子供が出来ないのはどうかと思う。別に罰なんてどうでもいいけど、団長が何か罰してというならこれにする。この耳と尻尾は好き。欲しい」

これがいい、としがみついてねだってくる。

「だ、だめだっ、我慢できなくなるっ!」

「嫌です。これがいい」

私の悲鳴にむぅ、と頬を膨らませて軽く睨まれたが、それでもだめだと突っぱねると渋々諦めた。

「…わかりましたぁ」

最後だからと、グリグリ顔を埋めて思う存分堪能したらやっと手を離した。
どういう趣味なのか耳にも顔を埋めてハムハムと唇に食んで触り倒された。

「ラウル、ヒムドはまだ戻らないの?あの子の毛並みが恋しい」

「あと3日ほどお待ちください」

「…はぁ、寂しい」

私は疲れて地面に引き続き突っ伏していた。エヴ嬢が触るせいなのか、耳と尻尾はかなり敏感なようだ。下半身が反応して立てない。
人前で、しかも部下達の目の前でなんという拷問だ。
バレてないと思いたい。
恥ずかしくて死にそうなのにエヴ嬢が喜ぶならこれでいいと従順な気持ちになる。

「団長、喧嘩してしまったけど仲直りしてください」

エヴ嬢が背後に座ったまま頭を下げた気配がする。

「私が、許しを乞いたい。すまなかった」

額を砂に埋めて答えた。

「じゃあ、仲直りということで。宿舎に戻りましょう?立ってください」

「いや、いい。まだ己の反省がある。あなた達は先に戻ってくれ」

でも、と渋るので、頼むから戻れと懇願する。やり取りを繰り返し、やっと頷いて立ち上がった。

「団長、またご指導してくれませんか?」

返事に躊躇していると、やっぱり、と呟きが聞こえた。

「ちゃんと湯あみして臭くないようにします。すいませんでした。指導はいいです」

「だから違う。逆だ。あなたはいい匂いだと何度も言ってる。指導するから誤解するな」

鼻にコルクを突っ込んで相手しようと決意する。

「もう遅い。今は天幕に戻れ。話は明日だ」

失礼します、と声が聞こえ彼らの離れる足音。
静かになり、ゆっくり頭をあげると額からぼろぼろと砂が落ちた。

「エド」

額の砂を払いながら、下半身が落ち着くように何度も深呼吸をする。

「…はい」

「ジェラルド伯に今から会う。緊急だと先触れを出せ。それと古着でも何でもいいから私が入るサイズの服を調達してこい。今すぐ」

「わ、わかりました。でも、ジェラルド伯には何用で、」

「婚姻の許可をもらう」

それ以外に何がある。
エヴ嬢が嫌がろうが、あの三人が阻もうが私の番だ。
絶対手に入れやる。
泣かせた反省はしても諦めるという選択肢はない。
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