人狼の団長、見つけた番はすでに溺愛されている《団長はお預け中、たまに待てが出来ないで押し倒す》

うめまつ

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交渉

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「エヴ嬢、あなたは番だ」

「はい」

昨日、言ってましたねとおっとりと答える。
分かってるようで分かってないその様子に苦笑がこぼれた。

「番はわかるか?」

「人狼のお嫁さんです」

「私の嫁という認識はしてるのか?」

「え?」

「混血の人狼は番と出会って獣化する。あなたといて獣化した。だからあなたは番だ。つまり私の伴侶だ」

やっと尻尾から目を離して私の顔を見た。
ぽかんと口を開けて私を見つめている。
隙間から見える赤い舌が熟れた苺のようで旨そうだと内心ゾクッとする。

「…あー、そっかぁ。私、団長のお嫁さんなんですね」

「ああ、なので結婚を受け入れてほしい」

「わかり、まぐっ」

後ろに立っていたダリウスがエヴ嬢の口を塞いだ。
睨むと両手でがっしり口を塞いだまま、しれっと見つめ返してくる。

「エヴ様、何でも安請け合いはいけません。団長、ジェラルド様から言付かってます。想い合ってるなら許す、とのことです」

後ろを見れば天幕を捲ってヤンが入ってくる。

「耳が早いな」

「あの件は昨日のうちに言付けておりました。こちらも早朝から返答をいただいてます」

「今が早朝だ」

「ええ。だからたった今、承って来ました」

ならば、先程のダリウスの行動は自主的なものか。
三人のうち想い合えば、という話もあながち冗談ではないと頭を掠める。

「そうか」

分かってない内にその気にさせようと思ったが残念だ。
ならば餌を巻こう。

「昨日はすまなかったな、ヤン」

「いえ」

目を伏せて色を隠すが、その仕草に納得してないのだろうと察する。
だが、エヴ嬢が許した。
この三人も許すしかない。

「エヴ嬢、昨日のことはとても反省していて、やはり罰が受けなくてはいけないと考えてる」

「え?別にいいのに」

ダリウスの手を握って避けながら、首とかいらない、と呟く。
顔の下にずらしたダリウスの両腕がエヴ嬢の肩から首に巻いたまま。
それがダリウスに背後から抱き締められた形になっていて面白くない。
顔が歪むのを堪えてエヴ嬢に柔らかく微笑む。
なんたって取って置きがある。

「だから昨日、エヴ嬢の所望した罰を受けようと思う。何か覚えているかな?」

「…昨日?あー!え?!いいんですか?!」

目を輝かせてダリウスの手を弾いて立ち上がりかけたのに、また腕を巻いて椅子へ引き戻した。
まだ邪魔をするかと目線をやると先程と変わらない表情と態度だ。
きょとんとするエヴ嬢にヤンが、罰になりませんねと笑う。

「あなたが触られたいだけではありませんか?昨日は大層気持ち良さそうにされてましたから」

どことは言いませんが、鼻で笑い小さく付け足したので、にっと頬が歪む。
宛が外れた様子に訝しげに眉が動く。
怒るか恥じるかすると思ったのだろう。
私としては揶揄されたことに何か思うより、お上品なコイツでもそれなりに下品なことを言うんだなと愉快になっただけだ。
何だかんだで荒くれ者ばかりの男所帯にいるんだ。
毎日、下半身しか話題にならん。
一部のスミスのような潔癖を除き、自分を含めて品はない。
私は会話も行動も楽しむ質だ。
どこの誰が何をしたと聞くのは面白いし、こちらから粉をかけて駆け引きに戯れるのも楽しかった。女も男も来る者は全て抱いて、若い頃は興味本意で抱かれもした。
性に関してはかなり柔軟な方だ。
エヴ嬢が私を部下の前で触り倒して昂らせたのだって、あの時は恥ずかしかったが、一晩たつと番が望んだなら望みのままに応えるべきだという思考に変化してしまった。

「ああ、ヤンの言う通りだ。それはそれはくすぐったくてな。かなりの拷問だった」

ヤンの冷えた一瞥に半笑いで返す。

「ヤン、触りたい。私、尻尾と耳がほしい。大変だったなら罰になるでしょ?」

空気を読まないエヴ嬢はやはり自分の要求を口にする。
私にも耳と尻尾がほしいと自分の耳を触る姿がおかしくて口許がにやけた
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