人狼の団長、見つけた番はすでに溺愛されている《団長はお預け中、たまに待てが出来ないで押し倒す》

うめまつ

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成功

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「むやみやたらと異性の身体に触れるものではありません」

「たかが尻尾と耳だ。肌とも言えない毛皮のな」

「いいえ、いけません」

「ちょっとだけ。ねえ、ダリウス?いいよね?ちょっとだけ。ふわふわで気持ちいいんだよ。ねぇ、だめ?お願い」

ヤンのすげない返答に矛先を変えて、他に仲間を作ろうとダリウスにねだり始めた。巻かれた褐色の腕に細い腕を二本絡めて下から顔を見上げていた。
中身が幼くても見かけは成熟した女性だ。
甘い声、美しい顏と魅力的な肢体。
子供っぽいおねだりにならず、紫の瞳が潤んで色っぽさが出ている。
初めて眉をしかめて、ちらっとダリウスはヤンへと視線を移す。
エヴの誘惑にダリウスの腕が緩んだ。
ラウルなら感情的にダメだと騒いだろう。
どうやら一番甘いのはダリウスらしい。

「好きなだけ触れ。そういう希望だっただろう」

腰かける椅子の前に進んで足元にどかっと胡座で座った。膝頭に額を乗せてやる。

「だめ?ヤン」

頭の側で手がうずうずと動いてる。
背中にヤンの怒気を感じるが、悔しかったら耳を生やせと内心舌を出す。
ぴこぴこと耳を揺らしてやると堪らなそうに呻いてる。

「ヤン、触りたいよぉ。だめぇ?触りたぁい」

柔らかく高い声音をあげてますます切なげに懇願する。
舌っ足らずの甘えた声でもじもじと体を揺らして、聞いてるだけであらぬ想像をして腹の下がずくずくとむず痒くなった。
私の名前と寝台の上でないことが残念だ。
だが、いずれ手に入る。
その為に手段は選ばん。
恥も外聞も捨てる。

「エヴ様、甘えませんよ」

「うう、」

ヤンの咎める声にエヴ嬢が怯む。
ここで引いたら負けだな。
そう何度も同じ餌を使えない。
一度ダメだと学習してしまったらもう食いつかない。
するっとエヴ嬢の膝に腕を乗せて抱き締めて、ゆったりと振り替える。

「いいじゃないか、ヤン。これは私への罰だ。ただの躾。そう思えばいい」

「躾など品のない物言いはお止めください。ご自身の立場をお忘れですか?しかもご令嬢にそんな接し方を。あり得ない」

驚きと苛立ちの混じった声にニヤニヤと笑った。
今までにないくらい顔を歪めている。
ここひと月近く共にいるが、初めて見た。
行儀の悪さを叱るが、目に嫉妬が見える。

「いいじゃないか。お前の主のご所望だぞ?それに番犬が増えるんだ。喜べ」

「人狼の、王都団団長ともあろう方が番犬などと。プライドはどうされたんです?」

「ふふ、番には従順な犬になるようだ。私もここまでとは知らなかった」

どんなに呆れられても好かれるためなら何でもする。
まずはこのお気に入り三人の中に潜り込んでやる。
そのためにもヤンの許しがいる。
こいつが三人のボスだから。

「ヤン、もうすぐ新月だ。私が役に立つと思わないか?なあ、エヴ嬢。あの色魔の撃退を一人でやったのをどう思ったか?」

「えー?アモルのこと?すごいと思いましたよぉ」

間延びした言葉で答え、つんつんと耳をつついて遊んでいる。喜ぶようにパタパタ揺らすと追いかけてくる。
本当に子供だ。
男が膝に抱きついてるのに、大きな獣耳にしか興味がない。

「そうか、うれしいな」

膝に抱きついたまま顔を見上げて好きなだけ触れ、と言うと目が輝き、そしてすぐにちらっとヤンの顔色を伺う。

「だめぇ?…ヤン」

「困ったな。なかなかヤンが許してくれない。エヴ嬢、どうしようか?」

内心もっとねだれと煽りつつ試すような物言いをしてエヴ嬢と同様に顔を向けて様子を伺えば、ヤンはため息をついて頷いた。

「…はぁ、なんて方だ。今回は負けました。次の新月はお世話になります」

次などと。
ずっとで構わないのに。
口にしたら、ヤンの機嫌を損ねると分かってるから黙って頷いて返す。
喜んで触るエヴ嬢を見て、ラウルが戻ったらうるさくなるとぼやく。
やはり感情的に口喧しいのはラウルか。
ヤンは躾に対して小言を言うだけで、結局はエヴの望みを優先する。
ダリウスは小言も何も言わない。
ただ黙って寄り添うだけだ。
エヴ嬢とヤンさえ許せばラウルは黙る。
ただいじけるだけ。
案の定会う度に睨み付けてくるが、こちらは笑って相手をした。
あれからエヴ嬢は好きな時に好きなだけ耳と尻尾を触るようになった。
団員らは目を白黒させていだが、番だからと言えば口をつぐむ。
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