人狼の団長、見つけた番はすでに溺愛されている《団長はお預け中、たまに待てが出来ないで押し倒す》

うめまつ

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脱力

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「顔を真っ直ぐじゃなくもう少し横に向けろ」

片手を掴んで水面を滑らせる。

「この感じを意識して、足で水を蹴る」

そうするとただ引っ張るだけより速さが出てくる。

「手を足と同じように水面から出さずに水をかく」

感覚が慣れるまでそうやって片手を引く。
浅瀬から深い水面へと連れ出し、わざと手を外すとエヴ嬢が怯んで体勢を崩した。

「がぶっ、ぶはっ、や、だん、ちょ」

「まだ手放しは無理だったか」

手を引いて腰を引き寄せれば沈むまいと首にしがみついて顔を埋める。

「うー…」

恨み言を言いたそうに唸り、一度強張った身体が落ち着かないようでなかなか自力で浮けない。

「大丈夫だ。私がいる」

「…怖いです。手を離すから」

「怖がらせて悪かった。では、もう一度がんばれ」

「や、まだだめですっ、離さないでくださいっ」

腕を外して水面に帰そうとするのに嫌がってしがみついてくる。

「待ってっ、待って!怖いですってばっ」

「力を入れるな。沈む」

「なら、まだ離さないでください!あー!顔に水が来るっ!」

「わかったから落ち着け。耳元で叫ぶな」

手足がぎゅうぎゅう絡んで肩に登って耳に顔を引っ付けてくる。慌てた様子に頭の後ろを撫でてご機嫌を取って耳に唇を当てる。
ここまで怖がるならしょうがないとしがみつかせたまま足が届く浅瀬へゆっくり泳いで、息が整うまでそのままにした。
両手で掴めば指が届きそうなほど細い腰を支え、エヴ嬢のうなじから昇る匂いと胸に押し付けられたふっくらした胸、絡んだ足の柔らかさの誘惑に抗った。拷問だと思うが、いつまでも抱きついていればいいという喜びで尻尾が水中でバシバシ揺れる。

「エヴ嬢、もうそんなに深くない。離れろ」

白い首を舐めようとした自分に、はっと気づいて慌てて引き剥がす。

「ここなら爪先立ちで充分届くっ。しがみつくなっ」

「待って!まだ深いです!私の足つかないですよっ」

「エヴ嬢っ」

私が堪えきれないからとは言わず腰に絡んだ膝頭を掴んで押し返すが、私の手ごと身体に絡ませてますます腕に力を入れ、やだやだと振る顔が頬に当たると心地よさに胸が掴まれて息ができない。

「あぁ!もうっ、離れろと言ったのに」

塗れた額が頬にしっとりとして心地よい。
堪えきれず勢いに任せて細い身体をしっかりと抱き締めて、鼻を首に押し付けて匂いを胸にたっぷりと吸い込むと、一気に頭に血が上り、どどっと心臓が脈打つ。

「…あぁ、精力でも、何でも私が与えるのに」

切なく言葉を絞り出せば、堪えていた欲が溢れた。もう無理だった。
ある程度、制御に慣れたつもりだったのに。ぐわっと精力が全身を巡る。魔力と似てるようで違う。性欲に直結していて欲が溢れれば自然と身体から溢れる。

「いらないですっ」

ぱっと顔をあげて逃げるが、思わず反応したのだろう。肌に触れる手が精力を吸っている。
足の着かない不安から手を押し返すだけで足が絡んだままだ。
腰巻きひとつの私を押し返すが、どこもまっさらな肌に手のひらに触れて吸い続けることに慌てている。
私の太ももを蹴って逃げて、一度は逃がしてやろうと追いもせず手を離す。

「ぶはっ、あっ、はぁっ」

「ああ、また溺れてるぞ。掴まれ」

バシャバシャ沈むのを見かねて、素肌に触れないように気を付けながら革に包まれた腕を優しく握って支えるが、それでも沈んでいく。
だから、なぜそんなに沈むんだ。
抱き寄せまいと思ってたが仕方がないと気持ちを切り替えて、服の上からなら良かろうと腰を掴み引き寄せて密着させた。

「大丈夫か?」

エヴ嬢の顔と手に肌が当たらなければいい。
そう思ったのに支えていない上半身が倒れて顔がブクブクと水面に沈み、慌ててうなじを支えて引き上げるも、それでもだらっと力の抜けた様子におかしいと眉をしかめた。
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