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求婚
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「分かっているなら私と結婚してくれ。一刻も早くだ」
「え、無理」
「は?」
両肩を掴み喜色満面に頼んだ途端、真顔で横に首を振るのでまた頭がぐわんと揺れた。
なぜと口を動かすが声にならない。
「私じゃダメですもん。おかしいから」
「ダメなわけないだろうっ!何を言っている?!」
私の番なのだ。
色魔がいようがヤン達がどれだけ岡惚れしようが構うか。
声を荒げたせいで、びくっと揺れて怯んだ。
「大声をすまない。だが、なぜだ?」
「だって、守護持ちはお嫁さんのお仕事が出来ないから結婚できないって皆が言ってたから。旦那様に答えられないし、子供も出来ないから無理って。何にも出来ないのに結婚するのおかしいでしょう?」
優しく謝りつつも私の強い圧に半泣きで懸念を露吐する。
守護持ちの女性は未婚ということも理解していて戸惑ったのだろうと察した。
このまま強引に話を推し進めたいが禍根を残す形は避けたい。
少しでも非があればジェラルド伯とあの三人、エヴ嬢を慕うクレイン領の全ての者達が全力でエヴ嬢を囲う。
クレイン領のみのらずエヴ嬢自体にも黒獅子を退けた功績からこちらの要求を突っぱるだけの影響力がある。
あの夜のうちにグリーブス家宛に現状と番の報告を送り、先日、父である統主からの私信が届いた。
端的に、自身で解決せよと綴られていた。
遠い辺境へ影響を与えることが難しく、また王宮より認められたクレイン領への敵対は絶対許されぬこと、そしてエヴ嬢の武人としての能力の高さから積極的に公爵家へと囲い混むことも周囲への反発を生むと。
何としてもエヴ嬢本人が私を伴侶と望む形を目指さねばならない。
「それを気にしていたのか。あなたが守護持ちであろうと何の問題もない。私が死ぬほどあなたを愛してるから。あなた以外欲しくないんだ。それに世の中には色んな夫婦がいるのだから気にしなくていい」
噛み砕いて諭すも渋い表情に納得していないと分かる。
ここからどう不安を崩すか言葉を選ぶが思い浮かばない。
「それで皆というのは誰だ?」
「団の皆です。鬼ごっこの時。守護持ちの女性が結婚してどうなるのかって話になって、私も知らないから聞いたんです。守護持ちは旦那様のお世話が出来ないとか子供が絶対出来ないとか知らなくて。自分が子供を産むって考えたことなかったんです。ごめんなさい、女の人が子供を産むのはちゃんと知ってたんですけど」
「いや、子供が出来なくても問題ない。私の世話なんて何もない。あなたがいればそれだけでいい」
先程のことがあるだけで充分とは口に出来ない。
この場であれが世話の一部になるとどう説明する。
「副団長も、問題ないって言ってたけど。でも私どうすればいいかわからないし、向かないなら結婚したくないです。グリーブスの栄誉だけど。お嫁さんって分かってるけど、お嫁さんになりたくない。…お父様も心を強く決めてからって言ってたし」
下げた眼差しと頑なさからどうにもならないと観念し、エヴ嬢に感情のぶつける前に怒りの矛先をあいつらに向けた。
あいつら締める。
自身のことなのに今まで知らなかったのかと驚いたが、ジェラルド伯達は悩ませないように大事に育ててらっしゃったと伺えた。
それなのに、本来なら見ることも許されない高位のご令嬢相手にあいつらは。
ふつふつと腹の底から怒りが沸いた。
特に信用して預けたのにと残念な二人に腹立ちが集中する。
エドとスミスだ。
守護持ちの女性が未婚と言うことは通説なので、遅かれ早かれ知ることなのだから仕方ないとも言えた。
だが、あの二人はエヴ嬢の機微に気づかず、芽生えた婚姻への忌避感を放置したことが問題だ。
ただの世間話と軽く見て私への報告もない。
エドは的はずれな軽口しか言えない口下手だ。
エヴ嬢本人の暴走と回りの軽口に流されて場を治められなかったのだろう。
スミスもあの鈍さで馬鹿正直に周囲へ同調を見せただろう。
二人ともリーグと違い、他人の機微に疎い。
心情に気づくはずがない。
守護持ちなんぞで私がめげてないと言えばよかったことだ。
「え、無理」
「は?」
両肩を掴み喜色満面に頼んだ途端、真顔で横に首を振るのでまた頭がぐわんと揺れた。
なぜと口を動かすが声にならない。
「私じゃダメですもん。おかしいから」
「ダメなわけないだろうっ!何を言っている?!」
私の番なのだ。
色魔がいようがヤン達がどれだけ岡惚れしようが構うか。
声を荒げたせいで、びくっと揺れて怯んだ。
「大声をすまない。だが、なぜだ?」
「だって、守護持ちはお嫁さんのお仕事が出来ないから結婚できないって皆が言ってたから。旦那様に答えられないし、子供も出来ないから無理って。何にも出来ないのに結婚するのおかしいでしょう?」
優しく謝りつつも私の強い圧に半泣きで懸念を露吐する。
守護持ちの女性は未婚ということも理解していて戸惑ったのだろうと察した。
このまま強引に話を推し進めたいが禍根を残す形は避けたい。
少しでも非があればジェラルド伯とあの三人、エヴ嬢を慕うクレイン領の全ての者達が全力でエヴ嬢を囲う。
クレイン領のみのらずエヴ嬢自体にも黒獅子を退けた功績からこちらの要求を突っぱるだけの影響力がある。
あの夜のうちにグリーブス家宛に現状と番の報告を送り、先日、父である統主からの私信が届いた。
端的に、自身で解決せよと綴られていた。
遠い辺境へ影響を与えることが難しく、また王宮より認められたクレイン領への敵対は絶対許されぬこと、そしてエヴ嬢の武人としての能力の高さから積極的に公爵家へと囲い混むことも周囲への反発を生むと。
何としてもエヴ嬢本人が私を伴侶と望む形を目指さねばならない。
「それを気にしていたのか。あなたが守護持ちであろうと何の問題もない。私が死ぬほどあなたを愛してるから。あなた以外欲しくないんだ。それに世の中には色んな夫婦がいるのだから気にしなくていい」
噛み砕いて諭すも渋い表情に納得していないと分かる。
ここからどう不安を崩すか言葉を選ぶが思い浮かばない。
「それで皆というのは誰だ?」
「団の皆です。鬼ごっこの時。守護持ちの女性が結婚してどうなるのかって話になって、私も知らないから聞いたんです。守護持ちは旦那様のお世話が出来ないとか子供が絶対出来ないとか知らなくて。自分が子供を産むって考えたことなかったんです。ごめんなさい、女の人が子供を産むのはちゃんと知ってたんですけど」
「いや、子供が出来なくても問題ない。私の世話なんて何もない。あなたがいればそれだけでいい」
先程のことがあるだけで充分とは口に出来ない。
この場であれが世話の一部になるとどう説明する。
「副団長も、問題ないって言ってたけど。でも私どうすればいいかわからないし、向かないなら結婚したくないです。グリーブスの栄誉だけど。お嫁さんって分かってるけど、お嫁さんになりたくない。…お父様も心を強く決めてからって言ってたし」
下げた眼差しと頑なさからどうにもならないと観念し、エヴ嬢に感情のぶつける前に怒りの矛先をあいつらに向けた。
あいつら締める。
自身のことなのに今まで知らなかったのかと驚いたが、ジェラルド伯達は悩ませないように大事に育ててらっしゃったと伺えた。
それなのに、本来なら見ることも許されない高位のご令嬢相手にあいつらは。
ふつふつと腹の底から怒りが沸いた。
特に信用して預けたのにと残念な二人に腹立ちが集中する。
エドとスミスだ。
守護持ちの女性が未婚と言うことは通説なので、遅かれ早かれ知ることなのだから仕方ないとも言えた。
だが、あの二人はエヴ嬢の機微に気づかず、芽生えた婚姻への忌避感を放置したことが問題だ。
ただの世間話と軽く見て私への報告もない。
エドは的はずれな軽口しか言えない口下手だ。
エヴ嬢本人の暴走と回りの軽口に流されて場を治められなかったのだろう。
スミスもあの鈍さで馬鹿正直に周囲へ同調を見せただろう。
二人ともリーグと違い、他人の機微に疎い。
心情に気づくはずがない。
守護持ちなんぞで私がめげてないと言えばよかったことだ。
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