人狼の団長、見つけた番はすでに溺愛されている《団長はお預け中、たまに待てが出来ないで押し倒す》

うめまつ

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「勧めるな!これ以上拗れさせるな!」
「親父!やめろ!」
「ベアード団長!」
「ヤン!ダリウス!こいつを黙らせろ!娘の前でお前達の嫁にくれとうるさい!」
「言ったのか!?」
「はあ?!団長の前で?!」
「悪いか。横やりが入ってるのにお前らが焦れったいからだ。旦那様、部屋が壊れるから暴れるのはなしでお願いします」
「ぐ!」
「ふざけないでください!」
「くそぉ、表へ出ろよ!」
「今度な」
報告は終えましたので失礼しますとさっさと出ていく。
主人相手に、ああも簡単にあしらうとは。
あまりの対応の荒さに開いた口が閉まらない。
「とうとうエヴの前で本性出したんですね」
くそったれと怒鳴るジェラルド伯の側で、ロバート殿が物珍しげに閉まった扉を眺めて呟いた。
「お兄様、ベアードってしゃべるとああなの?怖い感じの、」
「そうだよ。もとは尊大で喧嘩っ早いらしい。普段は無口だけど、それもいちいち喧嘩がめんどくさいからって理由だよ」
「へー、そうなんだ。気を付けよ」
「エヴには優しいよ?私にも」
父の子だからと笑う。
荒ぶる三人をよそにロバート殿とエヴは二人でのほほんとしていた。
ため息をつきながらエヴの顔を眺めた。
ベアードが言っていたことが頭に残っている。
公爵の権威で番を得ていると言われたことが少し胸に刺さっていた。
グリーブスにとっては当たり前のことだったのに。
そのために一族はグリーブスの権威を高めて邁進してきたのだから。
私自身、将来得るはずの番のためにこの地位まで来た。
それも楽なことではなかったのに。
つれないエヴも、大手を振って賛成しないご家族も。
ここまで本人を含めた周囲に抵抗されて辛くもある。
どうすれば番を、エヴを得られるのだろう。
私の何が気に入らないのか。
見つめる先の笑顔が憎い気もして目をそらした。
諦める気はない。
だが、先の見えなさに疲れを感じていた。
痛む頭に目を閉じて重いため息をはいた。
何にしろエヴの回りは皆、癖が強く一筋縄ではいかない。
ということは、エヴのお母上もかとまたため息をつく。
「ああ、そうだ。二人ともおかえり」
目をそらしていたらエヴの声が聞こえてそちらに視線を向けるとヤンとダリウスにエヴが微笑みかけて二人はホッと顔が緩んだ。
「それで、いつまでこっちを見ないふりしてるの?何か言うことない?こっちから聞かないと分からない?どうして?ああ、また嫌な気分になってきた」
ニコニコと笑うが徐々に空気が変わり、顔が怒りに歪んでいく。
ばっと二人は頭を下げて大声で謝った。
また豹変したと恐ろしさに私も知らぬうちに仰け反って後ずさっていた。
「二人のこと好きだけど、悪いことをしてなかったふりするのは嫌いかな。やめてね?正直に謝ってくれたら許せるから」
「そうだね、気持ちは分かるよ。私も君らに妹を頼みたいのに失敗を誤魔化されるのは信用ならない。先程、曖昧に謝ったのは回りに人がいたからと分かってるけど、いなくても言わなかったんじゃないかと疑っている」
二人とも冷えた空気で威圧している。
「なんとまあ。…二人とも、妻そっくりだ」
困った顔をしながらも微かに喜色が混じり満足げに笑った。
「正直さは大事だよ?信頼に繋がるから。その首より価値がある」
「ダリウス。私、首いらないからね?」
「はい!」
「それより側にいてよ。ヤンも側にいて」
近寄って下げた二人の頭に手を乗せる。
「いつも助けてくれる二人に感謝してるからね。謝ったら許すよ」
頭上げてとエヴが告げるとヤンが先にゆっくり上げた。
「お許しいただけますか?」
「うん」
「本当に、申し訳ありませんでした」
次にダリウスも頭を微かに上げたが、まだ顔を見れないようでエヴの視線より上げれずにいる。
「すいませんでした。あんなことをして、自分の首くらいしか、詫びがないと思ったんです」
その言葉にエヴが天を仰いだ。
「…千切れた尻尾も生首もいらない。…私、欲しそうに見えるの?」
「尻尾ですか?」
「団長がお詫びにって。襟巻きにしたらいいって言ってたけど断った。ヤンならいる?」
「いえ、」
仰け反って、ふるふると横に振った。
「ラウルとリーグが怪我したのも嫌なのに、千切れた身体の一部なんかいらな、い…」
「…エヴ様?」
言葉を区切り、なぜかエヴがこちらを見つめている。
私達は分からず首を捻ると何か思い付いた顔で目を輝かせた。
「…ちょうどいい。…団長、実験です」
「は?は?!な、なんだ?」
いきなりこちらへ来て腕を引いてソファーにうつ伏せに倒され、背中の湿布と包帯を引き下げられて驚いた。
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