人狼の団長、見つけた番はすでに溺愛されている《団長はお預け中、たまに待てが出来ないで押し倒す》

うめまつ

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柔肌

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かなり夜が深いということでダリウスが一人見張りをすることになった。
寝室で帯剣したまま床か椅子に座って過ごすと説明をした。
開いたままの寝室を見つめていたら、ヤンは私が眠れるほど大きなソファーにクッションと薄い掛布を置いて私へ勧めた。
ヤンは壁際の長椅子で休むらしく同じように寝仕度をする。
明かりを消して暗い部屋の中、剣を握ったまま耳を側立てて眠った。
眠りの浅さに夢を見た。
目の前のエヴに何度も触れようとするのに消えたり離れたり、かと思うと金髪の小さなエヴが私に飛び込んできた。
嬉しいのに小さな可愛いエヴに欲を込めた手で触ることが憚られて、手を上げて大人しくしていたら、いつの間にか小さなエヴの膝で私はふさふさの耳の垂れた丸い子犬になっていた。
夢のせいで日が昇る前に、はっと目が覚めて咄嗟に自分の手足を確認した。
しばらく考えて、自分は垂れ耳の子犬ではない、狼だと言い聞かせるが、エヴへの従順さは犬と変わらんとひとりごちた。
早朝の微かな日差しで部屋の輪郭が薄く浮かんで見えた。
うっすら暗い部屋の中でまだヤンの寝息が聞こえる。
静かにソファーから降りて寝室の様子を伺う。
椅子に腰かけたダリウスがこちらへ顔を向けて軽く頭を下げた。
私も黙ったまま手を上げて挨拶を返す。
寝台の二人はすやすやと寝息を立てて眠っていた。
べったり引っ付いているかと思ったら暑さのせいかお互いに寝台の端で背中合わせに離れて眠っていた。
エヴはワンピースの寝間着とズボンを下に履いて、ロバート殿は裸に下着の半ズボンだけだ。
だが、昨日ヤン達が寝間着のロングシャツを着せていたはずなのに。
暑かったせいなのか脱いだそれがロバート殿の腹の下敷きになっている。
しかも二人とも掛布を蹴飛ばして抱き枕にしたクッションに顔を埋めて少しうつ伏せぎみに足を丸めている。
左右対称の同じ寝相で口許が緩む。
どうやらダリウスも同じらしく弧を描いた口許を見せて目を細めながら私に頷いた。
「少し休め。交代だ」
小声で午前中は討伐があると言えば、すんなり席を立って隣部屋に向かった。
足元の掛布をエヴの身体にかけた。
夏とはいえ早朝は少し涼しい。
女性には寒いかもしれない。
それに目の前に無防備な姿を晒されると年甲斐もなく沸き立つものがあった。
ロバート殿にも同じようにかけていたらピクッと身動ぎ目を覚ました。
「え?」
私の顔に驚いて飛び起きるとあたりをきょろきょろと見回している。
「しまった。エヴの部屋で寝てしまったのか。しかもベッドで。添い寝する歳でもないのに。ああ、もう」
渋面に顔をしかめて頭をかいてすぐに寝台から降りた。
「グリーブス団長に世話をされてしまった。申し訳ありません」
口早にそう告げて恐縮している。
「いや、こちらこそ起こしてしまって、」
「いえ、こちらの非です。これで失礼します」
こちらの言葉を遮って答えると一礼して慌ただしく開いた扉の寝室を出てた。
隣室から開閉音が聞こえて部屋から退出したと分かったが、また戻ってきて鎧はどこだと探していた。
当たり前だ。
下着の半ズボン一枚で城内を歩けまい。
ロバート殿の慌ただしさにヤンとダリウスが起きて対応をしている。
「鎧と服はどこだ。それになぜ一緒に寝かせた」
矢継ぎ早の問いかけが隣から聞こえてきた。
「申し訳ありません。昨日はエヴ様がロバート様を抱えて離されず、私共は信用をなくして側に寄ることを拒否されました」
「…いまいち、わからない。ヤン、はっきり言え」
「ロバート様が側にいないと、精力の余った私共が手荒な行為をすると指摘されました。目視だけで体内の精力が計れるようです」
「…目視だけで?」
「そう仰いました。体内に溜まった精力の塊が見えるようです」
「ヤバい、今会えない」
「ロバート様?」
「妹だからどうこうないが私も男だ。とにかくいかん。早く服を、」
慌てた気配に寝室へヤンが小走りに来てロバート殿の一揃えを運び出した。
「ん、」
「起きたか」
騒ぎにエヴが起きて覗きこむ私を見た途端飛び起きた。
「お兄様がいない!」
飛び出して着替え途中のロバート殿にしがみついて押し倒した。
「エヴ!その格好で抱きつくんじゃない!」
「お兄様がいないと困るもん!行っちゃダメです!」
「ああ、もうっ」
半裸のロバート殿が叱るが、余計にしがみついたエヴにのし掛かられて床に転がったまま顔を手で覆った。
「分かった。…まずは、着替えて、おいで。さすがに、そ、そんな薄着で抱きつかれたら恥ずかしい」
努めて落ち着いた声音を出すが、全身を赤くして上擦っている。
同じように真っ赤なダリウスがエヴにガウンをかけて着るように勧めた。
エヴがいなくなると床に突っ伏し、悶えて頭をかきむしった。
柔いぃ、とかなり小さく呻いた。
耳も背中も赤くしている姿になんとなく察するものがあって同情する。
ロバート殿はまだ二十歳の若い男だ。
団の若い自由な奴らとは違い、父親と妹の側で気軽に領内の娼館など利用できまい。
夏物の薄衣越しに、妹とは言え裸の胸にふっくらしたそれを押し付けられたら辛いものがある。
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