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賭博
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「でもさ、でもさ!好き好き言ってたけどお嬢はリーグにほの字なんすか?いつの間に?」
「ほの字?」
ワクワク顔で聞くケスラー達の言葉にきょとんとするエヴと首を捻るヤンがいた。
「そうですよ、あんだけリーグのために噛みついたんだ。いつからですか?俺、ヤンに賭けてたのにぱあだ。あー、リーグだったかぁ。怪しいとは思ったんだよ!」
「リーグが何ですか?」
「ほの字って何?」
話が噛み合わずイグナスが上を見上げて笑った。
「ははは!いやー、この顔はなんも考えちゃいねぇなぁ。でも立派な女になったなぁ。男従えるようになっちゃって。ここに来た時は見た目立派なのにピーピー泣いて可愛いもんだったが」
成長だねぇと感心したように微笑む。
「お嬢!それより団長はどうするんすか?番でしょ?」
「俺は大穴狙いで隣国へ家出にしたのに」
まだ賭けに夢中の団員らが、次々と賑やかな声が聞こえてきた。
「いやいや、まだ結婚した訳じゃねぇから分かんないぜ。執念深いグリーブス団長が追いかけて略奪婚があるかもしれない。リーグの力量じゃ袈裟斬り一発で終わりだ」
「ばーか、お嬢が許さねぇよ」
「ああ、そういうことか。話は分かりました。でも、リーグはそういう対象ではないと思いますが」
合点のいったヤンは顎に手を当てて首を捻って答えた。
「まあ、いいですけど。ダリウス、頼む」
「…ん。エヴ様、こちらへ」
「はーい」
会話の内容にダリウスがエヴを連れて側から離れた。
何にしろクレインの自由さにうちの団員らは唖然とする。
ヤンが不機嫌にならないのは以外だったが、団員らの賭けについては、さもありなんと彼らの様子を眺めていた。
こんな面白いネタを放っておくはずかない。
「なぁ、お宅らはどうよ?まだ分かってないから参加できますぜ。ああ、でもみんな団長一択なんだっけ」
きょとんとする奴もいれば、その一言に顔色の変わった奴らも混じっていた。
賭けに参加していたのだろう。
叱ろうかと思ったが、私に賭けたことを褒めようかと悩んだ。
「…ヤン殿はよろしいのですか?主人のことなのに」
叱りもせず無関心に彼らを見つめるヤンにガードは戸惑いながら問いかけた。
「旦那様達は団員の娯楽として把握してますから。元締めはそこのイグナスです」
「へへ、ガード部隊長もいかがですか?」
罰が悪そうにへらっと笑って手を振っている。
ガードの顎が外れそうなほど開いた。
他に聞いていたうちの団員らもぎょっとしている。
「なんでバラすんだよ?」
こそこそとヤンに突っかかってる。
仕方ないですよと小さく答える。
「イグナス、各自警団内で納めるならという取り決めでしたよ?なのに結局、全自警団をまとめて両団の者にまで広めましたね。他にも細々と動いて結構な額を稼いだでしょう?私がここで話を出したのも」
「…てことはもう話は出てんのか」
「出てますよ。特にベアード団長が乗り気になってます。私兵団預かりなら団員の小遣い稼ぎになるからと」
さすがに驚いた。
あの男は本当に一体どういう神経してるんだ。
「オーガの旦那が出張ってくるのかぁ、じゃあもう無理かな。身ぐるみ剥がされちまう。ああ、でもなぁ。なあ、ヤン。自警団内でこっそりするからさぁ、いくつか上手く言ってくれねぇかなぁ?」
拝むイグナスにヤンは肩をすくめて笑みを深めた。
「あちゃー、やり過ぎちまったかぁ」
頭を抱えてがっくりと肩を落とす。
「猶予として最後の荒稼ぎは黙認されるんじゃないですか?」
「了解。伯によろしく伝えといてくれ」
「こちらこそ。また面白い娯楽を見つけたらぜひにとのことでした」
「ちぇっ、よく言うぜ。うちの大旦那様は、はははっ」
「一枚噛ませるくらいありそうですよ」
「お?」
目が輝いて前のめりにヤンに捕まえる。
背の高いヤンを引っ張って頭を寄せてこそこそと会話を続けた。
俗物なイグナスは順当に思えたが、ベアードの癖の強さに引いていた。
ジェラルド伯も愛娘の婚姻をネタにひと稼ぎする気と分かりどういうことなのか判断しかねてヤン達から視線を外した。
そこから離れた隅でガード達がエヴに非礼を詫びていた。
「ご令嬢に、不躾なことを申し訳ありません。私達は彼に何度も助けられたので今回のことが悔しくて、恥ずかしながらまだ気持ちの整理が出来ていません。目が眩んで周囲に対して穿った見方をしてしまいました」
「いえ、皆さんも辛いと思います」
それぞれの沈痛な面持ちにエヴも頷いて気持ちに寄り添う。
その様子にガードは頬を緩めた。
「今朝、リーグと朝ごはんを食べました。今日の討伐の心配をしていたので役に立つならと思って参加したんですけど、泣いてばかりで恥ずかしい」
しょんぼりと項垂れた。
「いえ、かなり貢献されていました。先程の言葉は間違いだったと忘れてください。それでリーグはどうしていますか?」
「今日、会いに来ませんか?私、城内をご案内します。全員は、…無理かな?ダリウス?」
「そうですね、二、三人でしょうか」
先程の剣呑さは抜けたが、まだギクシャクする相手に穏やかに答えていた。
「ほの字?」
ワクワク顔で聞くケスラー達の言葉にきょとんとするエヴと首を捻るヤンがいた。
「そうですよ、あんだけリーグのために噛みついたんだ。いつからですか?俺、ヤンに賭けてたのにぱあだ。あー、リーグだったかぁ。怪しいとは思ったんだよ!」
「リーグが何ですか?」
「ほの字って何?」
話が噛み合わずイグナスが上を見上げて笑った。
「ははは!いやー、この顔はなんも考えちゃいねぇなぁ。でも立派な女になったなぁ。男従えるようになっちゃって。ここに来た時は見た目立派なのにピーピー泣いて可愛いもんだったが」
成長だねぇと感心したように微笑む。
「お嬢!それより団長はどうするんすか?番でしょ?」
「俺は大穴狙いで隣国へ家出にしたのに」
まだ賭けに夢中の団員らが、次々と賑やかな声が聞こえてきた。
「いやいや、まだ結婚した訳じゃねぇから分かんないぜ。執念深いグリーブス団長が追いかけて略奪婚があるかもしれない。リーグの力量じゃ袈裟斬り一発で終わりだ」
「ばーか、お嬢が許さねぇよ」
「ああ、そういうことか。話は分かりました。でも、リーグはそういう対象ではないと思いますが」
合点のいったヤンは顎に手を当てて首を捻って答えた。
「まあ、いいですけど。ダリウス、頼む」
「…ん。エヴ様、こちらへ」
「はーい」
会話の内容にダリウスがエヴを連れて側から離れた。
何にしろクレインの自由さにうちの団員らは唖然とする。
ヤンが不機嫌にならないのは以外だったが、団員らの賭けについては、さもありなんと彼らの様子を眺めていた。
こんな面白いネタを放っておくはずかない。
「なぁ、お宅らはどうよ?まだ分かってないから参加できますぜ。ああ、でもみんな団長一択なんだっけ」
きょとんとする奴もいれば、その一言に顔色の変わった奴らも混じっていた。
賭けに参加していたのだろう。
叱ろうかと思ったが、私に賭けたことを褒めようかと悩んだ。
「…ヤン殿はよろしいのですか?主人のことなのに」
叱りもせず無関心に彼らを見つめるヤンにガードは戸惑いながら問いかけた。
「旦那様達は団員の娯楽として把握してますから。元締めはそこのイグナスです」
「へへ、ガード部隊長もいかがですか?」
罰が悪そうにへらっと笑って手を振っている。
ガードの顎が外れそうなほど開いた。
他に聞いていたうちの団員らもぎょっとしている。
「なんでバラすんだよ?」
こそこそとヤンに突っかかってる。
仕方ないですよと小さく答える。
「イグナス、各自警団内で納めるならという取り決めでしたよ?なのに結局、全自警団をまとめて両団の者にまで広めましたね。他にも細々と動いて結構な額を稼いだでしょう?私がここで話を出したのも」
「…てことはもう話は出てんのか」
「出てますよ。特にベアード団長が乗り気になってます。私兵団預かりなら団員の小遣い稼ぎになるからと」
さすがに驚いた。
あの男は本当に一体どういう神経してるんだ。
「オーガの旦那が出張ってくるのかぁ、じゃあもう無理かな。身ぐるみ剥がされちまう。ああ、でもなぁ。なあ、ヤン。自警団内でこっそりするからさぁ、いくつか上手く言ってくれねぇかなぁ?」
拝むイグナスにヤンは肩をすくめて笑みを深めた。
「あちゃー、やり過ぎちまったかぁ」
頭を抱えてがっくりと肩を落とす。
「猶予として最後の荒稼ぎは黙認されるんじゃないですか?」
「了解。伯によろしく伝えといてくれ」
「こちらこそ。また面白い娯楽を見つけたらぜひにとのことでした」
「ちぇっ、よく言うぜ。うちの大旦那様は、はははっ」
「一枚噛ませるくらいありそうですよ」
「お?」
目が輝いて前のめりにヤンに捕まえる。
背の高いヤンを引っ張って頭を寄せてこそこそと会話を続けた。
俗物なイグナスは順当に思えたが、ベアードの癖の強さに引いていた。
ジェラルド伯も愛娘の婚姻をネタにひと稼ぎする気と分かりどういうことなのか判断しかねてヤン達から視線を外した。
そこから離れた隅でガード達がエヴに非礼を詫びていた。
「ご令嬢に、不躾なことを申し訳ありません。私達は彼に何度も助けられたので今回のことが悔しくて、恥ずかしながらまだ気持ちの整理が出来ていません。目が眩んで周囲に対して穿った見方をしてしまいました」
「いえ、皆さんも辛いと思います」
それぞれの沈痛な面持ちにエヴも頷いて気持ちに寄り添う。
その様子にガードは頬を緩めた。
「今朝、リーグと朝ごはんを食べました。今日の討伐の心配をしていたので役に立つならと思って参加したんですけど、泣いてばかりで恥ずかしい」
しょんぼりと項垂れた。
「いえ、かなり貢献されていました。先程の言葉は間違いだったと忘れてください。それでリーグはどうしていますか?」
「今日、会いに来ませんか?私、城内をご案内します。全員は、…無理かな?ダリウス?」
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