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過保護
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知ってはいたがここまで自分達で何でもするとは思わなかったようだ。
話しながらも手早く動く三人に目を丸くして右往左往している。
「やめ、てくださいっ!」
「え、だめ?」
掠れて慌てたリーグの声に注目が集まる。
ダリウスがリーグの足の上を跨ぐ形でテーブルを置いて、その上にエヴが寝台に上がって先程よけた盆を乗せて匙を握っている。
「だめっす!」
「えー…あーん、してあげようと思ったのに」
渋々下がるエヴは、くつくつと笑うダリウスに匙を渡した。
「ひ、姫君自ら、まさか」
ガードの口が開いたまま塞がらない。
エヴの行動はいつものことと気にせずヤンは私達へ座るように促す。
エヴは飲み物だけ置いた席に腰かけて、私達へ食事を勧めた。
その傍らヤンは一人一人に飲み物を注いで、ダリウスがリーグとガード達の妨げにならないように私達のテーブルの向かいに回ってリーグの傍らに胡座で座り食事の世話を焼いている。
「ダリウスも、いっすから」
「エヴ様と変わるか?」
それかヤンだと、恥ずかしがるリーグに白い牙をにゅっと出してニコニコ笑っている。
「相変わらず」
私もおかしくてくすくす笑った。
「わ、私が!代わります!」
サライエが勢いよく立ち上がって言うとエヴが、そちらを食べてからでどうぞとやんわり制した。
「誰でも好きに選べばいい」
それでどれから食べたいかと指を魚の上でさ迷わせてリーグに問い、舜巡していると端の魚に指を合わせた。
「左から順に食べさせようか?」
もともと甘やかし癖がある。
リーグを構うのが楽しいようだ。
上官と先輩の前で嫌だろうにと同情する。
「私もお世話したい。私じゃダメ?」
「エヴ嬢が、いち、ばん、だめっす」
赤い顔に睨まれて、はぁいと間延びした返事を返し、その様に思わず大きな笑い声をあげた。
「んんっ、悪い、くくっ」
真っ赤な顔で睨むリーグに手を振って謝った。
「皆さんもどうぞ食べてください」
少し会話をするだけのつもりで引き留めたガードはなぜこんなことにと隠せないほど悶絶している。
エヴの斜め上を理解してなかったようだ。
黒獅子を屠るわ、大型の首を素手で千切るわ普段から無茶苦茶なのに。
ガードの専門部隊は陸上討伐時は城内の守りか後方専門なので、前線専門で動くエヴの側で戦闘したことがない。
人となりを知らずに噂しか知らなかったのなら無理はないのか。
もう少し普通のご令嬢を想像していたのだろう。
「昨日より元気そうだ」
「ラウルが痛み止の術式を改良したんです。今、自分が実験台になるから喜んでます。傷や骨の固定も新しく思い付いたらしくて」
「相変わらず面白いことを思い付く」
「ラウル、研究熱心ですから」
がんばり屋ですよねぇとのんびりと目を細めて笑う。
「それでどれがお勧めかな?」
「どれも美味しいそうです。口を怪我したリーグが食べやすいようにとだけ伝えたら色々持ってきてくれて。素揚げは固いかなと思ったけどスープで柔らかく煮たそうです」
「食べてないのか?」
「まだ、ちょっと、えと、胸焼けが。スープは飲みました。美味しかったです」
一瞬目がさ迷って、胸焼けの単語を探したことに目を細めた。
以前、覚えた言葉遣いを気を付けて話す様子が可愛らしくて顔が緩む。
「体調がすぐれませんか?」
心配するガードに、大丈夫ですと笑う。
「水辺の、初討伐でしたから。見慣れないものにびっくりしすぎて。そのうち慣れます」
思い出してお腹を撫でながら顔をしかめている。
「皆さんはすごいですね、立ち向かっていくので」
ほう、と羨ましげにため息を吐いた。
「初討伐とは思えない頼もしいご活躍でした、姫君」
「いえ、まだまだです。今朝、リーグに心配されていた通りになりました」
ガードの誉め言葉に首を振って視線をリーグに向けるとダリウスの世話を嫌だとごねるリーグがいる。
それさえもダリウスは楽しいようだ。
どれも旨いぞと優しく宥めて構っていた。
エヴの柔らかい目線に気づいてニコニコ笑う。
ヤンは椀に注いだスープをエヴの前に置いた。
「ありがとう」
「こちらもよろしければ」
それと小さな果物を乗せた皿も隣に置く。
エヴは濃い紫の実を一つ摘まんで口に入れて頷いた。
次にヤンはワインを持つと私のグラスに継ぎ足して、順にガードとサライエにも同じように給仕をする。
「ふ、副官に当たられる方なのに、申し訳ありません」
サライエが肩を縮めてぽつりと呟く。
臨時とは言え陛下から賜った兵団。
ヤンは団長の地位につくエヴの次の副団長。
団は違えど、一般兵のサライエから見ればら彼らは上官になる。
「お気になさらず」
いつもの穏やかな仮面に包まれた笑みに二人が感心に見とれていた。
話しながらも手早く動く三人に目を丸くして右往左往している。
「やめ、てくださいっ!」
「え、だめ?」
掠れて慌てたリーグの声に注目が集まる。
ダリウスがリーグの足の上を跨ぐ形でテーブルを置いて、その上にエヴが寝台に上がって先程よけた盆を乗せて匙を握っている。
「だめっす!」
「えー…あーん、してあげようと思ったのに」
渋々下がるエヴは、くつくつと笑うダリウスに匙を渡した。
「ひ、姫君自ら、まさか」
ガードの口が開いたまま塞がらない。
エヴの行動はいつものことと気にせずヤンは私達へ座るように促す。
エヴは飲み物だけ置いた席に腰かけて、私達へ食事を勧めた。
その傍らヤンは一人一人に飲み物を注いで、ダリウスがリーグとガード達の妨げにならないように私達のテーブルの向かいに回ってリーグの傍らに胡座で座り食事の世話を焼いている。
「ダリウスも、いっすから」
「エヴ様と変わるか?」
それかヤンだと、恥ずかしがるリーグに白い牙をにゅっと出してニコニコ笑っている。
「相変わらず」
私もおかしくてくすくす笑った。
「わ、私が!代わります!」
サライエが勢いよく立ち上がって言うとエヴが、そちらを食べてからでどうぞとやんわり制した。
「誰でも好きに選べばいい」
それでどれから食べたいかと指を魚の上でさ迷わせてリーグに問い、舜巡していると端の魚に指を合わせた。
「左から順に食べさせようか?」
もともと甘やかし癖がある。
リーグを構うのが楽しいようだ。
上官と先輩の前で嫌だろうにと同情する。
「私もお世話したい。私じゃダメ?」
「エヴ嬢が、いち、ばん、だめっす」
赤い顔に睨まれて、はぁいと間延びした返事を返し、その様に思わず大きな笑い声をあげた。
「んんっ、悪い、くくっ」
真っ赤な顔で睨むリーグに手を振って謝った。
「皆さんもどうぞ食べてください」
少し会話をするだけのつもりで引き留めたガードはなぜこんなことにと隠せないほど悶絶している。
エヴの斜め上を理解してなかったようだ。
黒獅子を屠るわ、大型の首を素手で千切るわ普段から無茶苦茶なのに。
ガードの専門部隊は陸上討伐時は城内の守りか後方専門なので、前線専門で動くエヴの側で戦闘したことがない。
人となりを知らずに噂しか知らなかったのなら無理はないのか。
もう少し普通のご令嬢を想像していたのだろう。
「昨日より元気そうだ」
「ラウルが痛み止の術式を改良したんです。今、自分が実験台になるから喜んでます。傷や骨の固定も新しく思い付いたらしくて」
「相変わらず面白いことを思い付く」
「ラウル、研究熱心ですから」
がんばり屋ですよねぇとのんびりと目を細めて笑う。
「それでどれがお勧めかな?」
「どれも美味しいそうです。口を怪我したリーグが食べやすいようにとだけ伝えたら色々持ってきてくれて。素揚げは固いかなと思ったけどスープで柔らかく煮たそうです」
「食べてないのか?」
「まだ、ちょっと、えと、胸焼けが。スープは飲みました。美味しかったです」
一瞬目がさ迷って、胸焼けの単語を探したことに目を細めた。
以前、覚えた言葉遣いを気を付けて話す様子が可愛らしくて顔が緩む。
「体調がすぐれませんか?」
心配するガードに、大丈夫ですと笑う。
「水辺の、初討伐でしたから。見慣れないものにびっくりしすぎて。そのうち慣れます」
思い出してお腹を撫でながら顔をしかめている。
「皆さんはすごいですね、立ち向かっていくので」
ほう、と羨ましげにため息を吐いた。
「初討伐とは思えない頼もしいご活躍でした、姫君」
「いえ、まだまだです。今朝、リーグに心配されていた通りになりました」
ガードの誉め言葉に首を振って視線をリーグに向けるとダリウスの世話を嫌だとごねるリーグがいる。
それさえもダリウスは楽しいようだ。
どれも旨いぞと優しく宥めて構っていた。
エヴの柔らかい目線に気づいてニコニコ笑う。
ヤンは椀に注いだスープをエヴの前に置いた。
「ありがとう」
「こちらもよろしければ」
それと小さな果物を乗せた皿も隣に置く。
エヴは濃い紫の実を一つ摘まんで口に入れて頷いた。
次にヤンはワインを持つと私のグラスに継ぎ足して、順にガードとサライエにも同じように給仕をする。
「ふ、副官に当たられる方なのに、申し訳ありません」
サライエが肩を縮めてぽつりと呟く。
臨時とは言え陛下から賜った兵団。
ヤンは団長の地位につくエヴの次の副団長。
団は違えど、一般兵のサライエから見ればら彼らは上官になる。
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いつもの穏やかな仮面に包まれた笑みに二人が感心に見とれていた。
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