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宣戦布告
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「お嬢、兄君と仲がよろしいところすんません。ちょっといいですかい?」
端から見ればいつも通りいちゃついてるようにしか見えない二人にご機嫌なイグナスが声をかけた。
「どうですか?試合、してみませんか?」
「えー?いいの?やりたぁい」
簡単に乗りたがるエヴを止めてどういうつもりだと尋ねた。
「おお、旦那、そんなカリカリしないで。いやー、ヤンとダリウスから文句を言われちまって」
姫扱いされた旦那様は気にされてないんすけどねぇ、と頭をかいて笑う。
「他の奴らも物足りなくて何かないかって聞いてくるし、それならお嬢がご褒美を出す賭け試合をどうかなぁって。旦那様はお嬢のお小遣いからの報償金なり、手を繋ぐだけのデートとか膝枕とか健全なものであればお嬢次第ってことで許可得てきました」
高位貴族の令嬢でありながら手繋ぎだの膝枕だのどこが健全だ。
婚前前なら婚約者のみに許された特権だと言うのに。
「だめ、」
「やるー!はーいはーい!やろうよ!」
「こら!」
「エヴ!」
ロバート殿と二人、止めようとした手をすり抜けて、ぴょんっと飛び出すと、団員らが壊れた樽をどかして新しく置かれた樽の前に進み出た。
「こら、待て、イグナス」
首を背後から締めているのに、お前ら準備しろぉと先に支度をする奴らに声をかけていた。
「強化ありよね?なしなら全然勝てないもん」
「もちろんですよ!そっちの方が盛り上がりますからねぇ!」
樽に両手をついて足を跳ねて遊ぶエヴに側の団員が答えた。
「くそ」
間に合わなかったことに苦虫を潰して腕に巻いたイグナスを睨むとうぐ、と呻き声をこぼして苦しさに腕を叩いていた。
渋々自由にしてやるとむせて肩で息をしている。
「あー苦しかった、げほっ、」
「金はともかくエヴが餌になるような真似はするな。もっと絞めるぞ」
「クレインの愛娘を何だと思ってる?お堅いアグネリアもお前のせいでそういうことに関わったと知ったら軽蔑するはずだ。主の娘に何を考えてると納得はしない。イグナス、お前は守銭奴にも程がある」
ラウルに今すぐ鳥を飛ばさせるとロバート殿と二人で胸ぐらを掴んで脅すと首をすくめて頷いた。
こちらがそんなやり取りをしていると早速、魔導師長を食いついていたがジェラルド伯とベアードが二人でだめだと引き留めている。
「幻覚に驚いて暴れたら誰も止めようがありません」
逆にかけなければ豪腕のエヴが有利ということと、単純に手当たり次第サバトに誘う変態はお断りだと言い渡していた。
「げほっ、ちょっと失礼します」
揉めた様子にイグナスが咳き込みながら寄っていった。
「魔導師長はさっきの報償金をもらったんだから参加は控えてくださいね?次の試合は他の奴らの救済措置ですから」
「むぅ、それなら仕方ない」
賞金を得た上位三名の参加は不可だと伝えて次の試合だとを宣言を始めた。
「さっきと同じ腕相撲だ。参加したい奴はいるか?」
人数次第で金の分配を考えると言うとちらほらと前に進み出てくる。
金目当ての他に、一度手合わせしたいと言う猛者と臆する者と極端だった。
「ぼちぼちな人数だなぁ。減らすか。またさっきと同じ」
イグナスが全体を見回していたらダリウスがエヴの隣に樽を投げつけるように置く。
「俺もやる。俺を倒してからエヴ様の相手しろ。特にさっき俺を笑っていた奴らは出てこい」
選手が増えたことで周囲が喜んだ。
「いいじゃねぇか。ヤンもやれよ」
「ああ、暇してたろ?」
「…いいですよ。能力ありなんでしょう?ドレインも」
回りの誘いにしばらく思案して前に進み出る。
「私の試合は?」
エヴが首をかしげて問うとダリウスがいじけた目で睨む。
「エヴ様も助けてくれなかったでしょう?今回は譲りませんからね?」
絶対だめと言うとエヴが渋々了承し、樽にひょいと登って座る。
「じゃあ、見とく」
ヤンとダリウスの参戦に喜ぶ奴らがいる中、エヴと対戦出来ないことに一部からブーイングが出た。
イグナスが取りなしにエヴの参加を勧めるが、ダリウスが頑なに譲らない。
エヴ様の御手を簡単に握れると思うなと仁王立ちで威圧する。
イグナスとしてはエヴをメインに選手を増やしたかったのにと頭を抱えていた。
「なら賭けの対戦に私が出ようか?二人相手に」
そう提案するとイグナスの目が光る。
「なら、大トリを頼めますか?」
「ああ、私もエヴより手強そうな二人とやってみたい」
「むう!なんで!?」
不貞腐れて頬を膨らませて拗ねた。
「鈍いから腕相撲には向かん」
エヴはかなりトロい。
最初から強化をかけておくか長期戦ならまだしも、勘の悪さと腕以外の全身を使った瞬発力勝負は望み薄だ。
「じゃあ、団長と勝負します!私の対戦は団長!」
「お、面白くなりそうだ」
「エヴ相手なら負ける気がしない。最初から強化をかけろ。それなら私も負けるかもしれん」
楽しそうだとそれだけ考えて顔を緩めて答えると思ったよりエヴが怒り出した。
「負けないし!今からやる!」
ばきんと音を立てて強化をかけると樽を担いで私の目の前に樽を叩きつけるように置いたが、力加減を間違えて樽が粉々に割れて破片が頬をかする。
「荒い」
「わわ、ごめんなさいぃ」
呆れてエヴを見ればここまでするつもりはなかったと謝っている。
そんなことは回りには伝わらずエヴの派手なパフォーマンスに今までにないほど大きな歓声な上がった。
「うおおおお!宣戦布告だぁぁ!」
「すげえええ!」
大盛り上がりに私とエヴの名前が団員らの野太い声の合唱で連呼された。
合間にヤンとダリウスの名も挟まって私とエヴ達の対戦の図が出来り、参加するよりこの勝負を見たいと先程のヤン達の騒動ほどの喧騒に広まった。
端から見ればいつも通りいちゃついてるようにしか見えない二人にご機嫌なイグナスが声をかけた。
「どうですか?試合、してみませんか?」
「えー?いいの?やりたぁい」
簡単に乗りたがるエヴを止めてどういうつもりだと尋ねた。
「おお、旦那、そんなカリカリしないで。いやー、ヤンとダリウスから文句を言われちまって」
姫扱いされた旦那様は気にされてないんすけどねぇ、と頭をかいて笑う。
「他の奴らも物足りなくて何かないかって聞いてくるし、それならお嬢がご褒美を出す賭け試合をどうかなぁって。旦那様はお嬢のお小遣いからの報償金なり、手を繋ぐだけのデートとか膝枕とか健全なものであればお嬢次第ってことで許可得てきました」
高位貴族の令嬢でありながら手繋ぎだの膝枕だのどこが健全だ。
婚前前なら婚約者のみに許された特権だと言うのに。
「だめ、」
「やるー!はーいはーい!やろうよ!」
「こら!」
「エヴ!」
ロバート殿と二人、止めようとした手をすり抜けて、ぴょんっと飛び出すと、団員らが壊れた樽をどかして新しく置かれた樽の前に進み出た。
「こら、待て、イグナス」
首を背後から締めているのに、お前ら準備しろぉと先に支度をする奴らに声をかけていた。
「強化ありよね?なしなら全然勝てないもん」
「もちろんですよ!そっちの方が盛り上がりますからねぇ!」
樽に両手をついて足を跳ねて遊ぶエヴに側の団員が答えた。
「くそ」
間に合わなかったことに苦虫を潰して腕に巻いたイグナスを睨むとうぐ、と呻き声をこぼして苦しさに腕を叩いていた。
渋々自由にしてやるとむせて肩で息をしている。
「あー苦しかった、げほっ、」
「金はともかくエヴが餌になるような真似はするな。もっと絞めるぞ」
「クレインの愛娘を何だと思ってる?お堅いアグネリアもお前のせいでそういうことに関わったと知ったら軽蔑するはずだ。主の娘に何を考えてると納得はしない。イグナス、お前は守銭奴にも程がある」
ラウルに今すぐ鳥を飛ばさせるとロバート殿と二人で胸ぐらを掴んで脅すと首をすくめて頷いた。
こちらがそんなやり取りをしていると早速、魔導師長を食いついていたがジェラルド伯とベアードが二人でだめだと引き留めている。
「幻覚に驚いて暴れたら誰も止めようがありません」
逆にかけなければ豪腕のエヴが有利ということと、単純に手当たり次第サバトに誘う変態はお断りだと言い渡していた。
「げほっ、ちょっと失礼します」
揉めた様子にイグナスが咳き込みながら寄っていった。
「魔導師長はさっきの報償金をもらったんだから参加は控えてくださいね?次の試合は他の奴らの救済措置ですから」
「むぅ、それなら仕方ない」
賞金を得た上位三名の参加は不可だと伝えて次の試合だとを宣言を始めた。
「さっきと同じ腕相撲だ。参加したい奴はいるか?」
人数次第で金の分配を考えると言うとちらほらと前に進み出てくる。
金目当ての他に、一度手合わせしたいと言う猛者と臆する者と極端だった。
「ぼちぼちな人数だなぁ。減らすか。またさっきと同じ」
イグナスが全体を見回していたらダリウスがエヴの隣に樽を投げつけるように置く。
「俺もやる。俺を倒してからエヴ様の相手しろ。特にさっき俺を笑っていた奴らは出てこい」
選手が増えたことで周囲が喜んだ。
「いいじゃねぇか。ヤンもやれよ」
「ああ、暇してたろ?」
「…いいですよ。能力ありなんでしょう?ドレインも」
回りの誘いにしばらく思案して前に進み出る。
「私の試合は?」
エヴが首をかしげて問うとダリウスがいじけた目で睨む。
「エヴ様も助けてくれなかったでしょう?今回は譲りませんからね?」
絶対だめと言うとエヴが渋々了承し、樽にひょいと登って座る。
「じゃあ、見とく」
ヤンとダリウスの参戦に喜ぶ奴らがいる中、エヴと対戦出来ないことに一部からブーイングが出た。
イグナスが取りなしにエヴの参加を勧めるが、ダリウスが頑なに譲らない。
エヴ様の御手を簡単に握れると思うなと仁王立ちで威圧する。
イグナスとしてはエヴをメインに選手を増やしたかったのにと頭を抱えていた。
「なら賭けの対戦に私が出ようか?二人相手に」
そう提案するとイグナスの目が光る。
「なら、大トリを頼めますか?」
「ああ、私もエヴより手強そうな二人とやってみたい」
「むう!なんで!?」
不貞腐れて頬を膨らませて拗ねた。
「鈍いから腕相撲には向かん」
エヴはかなりトロい。
最初から強化をかけておくか長期戦ならまだしも、勘の悪さと腕以外の全身を使った瞬発力勝負は望み薄だ。
「じゃあ、団長と勝負します!私の対戦は団長!」
「お、面白くなりそうだ」
「エヴ相手なら負ける気がしない。最初から強化をかけろ。それなら私も負けるかもしれん」
楽しそうだとそれだけ考えて顔を緩めて答えると思ったよりエヴが怒り出した。
「負けないし!今からやる!」
ばきんと音を立てて強化をかけると樽を担いで私の目の前に樽を叩きつけるように置いたが、力加減を間違えて樽が粉々に割れて破片が頬をかする。
「荒い」
「わわ、ごめんなさいぃ」
呆れてエヴを見ればここまでするつもりはなかったと謝っている。
そんなことは回りには伝わらずエヴの派手なパフォーマンスに今までにないほど大きな歓声な上がった。
「うおおおお!宣戦布告だぁぁ!」
「すげえええ!」
大盛り上がりに私とエヴの名前が団員らの野太い声の合唱で連呼された。
合間にヤンとダリウスの名も挟まって私とエヴ達の対戦の図が出来り、参加するよりこの勝負を見たいと先程のヤン達の騒動ほどの喧騒に広まった。
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