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ちきしょう、逃げそびれた。
何だってこいつと婚姻せなならんのじゃ。
婚約破棄騒動のボケ王子。
***********
「ライラック伯爵が娘、四女のライン・ライラックでございます」
猫を被ってご挨拶。
ちきしょう、皆上手いこと逃げやがってと罵りしか出ない。
内心は血の涙流して歯軋りしとるわ。
しかも挨拶したのに返事がない。
何か言うてくれないとこっちは頭上げられないんだけど?
まだかまだかと王子の足先を睨みながら待つと小さく動いた気配。
「……うむ。ご苦労」
視線を上げるとパタパタと手を振って追い払ってる。
おい、キレるぞ。
あんまりだろ?
これはお見合いじゃないんだよ。
もう婚姻は決定事項の顔合わせだってのに。
ムカムカしながらその手を見つめていたけど、椅子にふんぞり返った王子は目をつぶって知らんふり。
手がふよふよと揺らぐだけ。
あー、ムカつく。
目の前の美形。
蜂蜜色のさらさら髪にエメラルドの輝きに負けないキラキラな翡翠の瞳。
すっと伸びた形のいい鼻と睫毛たっぷりのアーモンドアイ。
陶器のツヤ肌とスタイル抜群、長い手足。
御歳18才の美青年。
中身はポンコツ。
勉学一筋だった王子は庶民の女に入れあげて公爵家の婚約者を公衆の面前で糾弾して婚約破棄した前代未聞のうつけ者。
もともと仲が悪かったらしいけど、そんなに婚約解消したかったなら手順を踏めばいいだけなのに。
高貴な女性を人前で罵倒なんてやり方がひどいし、他に女を作った点でアウト。
真実の愛だとほざいた庶民の女は回りからの糾弾と王子の嫡廃でとっとと雲隠れ。
捨てられて放心の王子に回りはこれ幸いと次の婚約者を適当に宛がおうってしてんのよ。
嫡廃されて腹違いの幼い弟君に皇太子の座が譲られたけど、血筋は継承権第一位だもんね。
亡くなられた王妃のご実家の公爵家もまだ権威を奮ってらっしゃる。
さっさと子供をこさえさせて、せめてその子に継承権を移そうって亡くなられた王妃を忍ぶ親バカな陛下と下心満載の公爵家の思惑。
そんな中、逃げそびれたのが私。
ちきしょう、女は産む道具じゃないってのに。
「……リカルド王子」
「もう王子ではないよ。意味などない」
憂いたお顔もすんばらしいこと。
ため息さえも薔薇の香りがしそう。
「帰れ」
「は?」
「帰れと言った」
いきなりかい!
何だってこいつと婚姻せなならんのじゃ。
婚約破棄騒動のボケ王子。
***********
「ライラック伯爵が娘、四女のライン・ライラックでございます」
猫を被ってご挨拶。
ちきしょう、皆上手いこと逃げやがってと罵りしか出ない。
内心は血の涙流して歯軋りしとるわ。
しかも挨拶したのに返事がない。
何か言うてくれないとこっちは頭上げられないんだけど?
まだかまだかと王子の足先を睨みながら待つと小さく動いた気配。
「……うむ。ご苦労」
視線を上げるとパタパタと手を振って追い払ってる。
おい、キレるぞ。
あんまりだろ?
これはお見合いじゃないんだよ。
もう婚姻は決定事項の顔合わせだってのに。
ムカムカしながらその手を見つめていたけど、椅子にふんぞり返った王子は目をつぶって知らんふり。
手がふよふよと揺らぐだけ。
あー、ムカつく。
目の前の美形。
蜂蜜色のさらさら髪にエメラルドの輝きに負けないキラキラな翡翠の瞳。
すっと伸びた形のいい鼻と睫毛たっぷりのアーモンドアイ。
陶器のツヤ肌とスタイル抜群、長い手足。
御歳18才の美青年。
中身はポンコツ。
勉学一筋だった王子は庶民の女に入れあげて公爵家の婚約者を公衆の面前で糾弾して婚約破棄した前代未聞のうつけ者。
もともと仲が悪かったらしいけど、そんなに婚約解消したかったなら手順を踏めばいいだけなのに。
高貴な女性を人前で罵倒なんてやり方がひどいし、他に女を作った点でアウト。
真実の愛だとほざいた庶民の女は回りからの糾弾と王子の嫡廃でとっとと雲隠れ。
捨てられて放心の王子に回りはこれ幸いと次の婚約者を適当に宛がおうってしてんのよ。
嫡廃されて腹違いの幼い弟君に皇太子の座が譲られたけど、血筋は継承権第一位だもんね。
亡くなられた王妃のご実家の公爵家もまだ権威を奮ってらっしゃる。
さっさと子供をこさえさせて、せめてその子に継承権を移そうって亡くなられた王妃を忍ぶ親バカな陛下と下心満載の公爵家の思惑。
そんな中、逃げそびれたのが私。
ちきしょう、女は産む道具じゃないってのに。
「……リカルド王子」
「もう王子ではないよ。意味などない」
憂いたお顔もすんばらしいこと。
ため息さえも薔薇の香りがしそう。
「帰れ」
「は?」
「帰れと言った」
いきなりかい!
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