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ずっと泣いた。
我慢するのは無理だった。
涎と鼻水もひどい。
汗もだらだら。
メイド長が話しかけるし抱き締めてくれるけど涙が止まらない。
ルーラさんが目元に唇をつけてもだめだった。
今日は休んでいいって言われてずっと部屋ごもり。
泣きすぎた。
目が痛い。
瞼がじんじんする。
開けても少ししか開かない。
がっつり腫れた。
もうふて寝だ。
寝よう。
あの忌まわしい荷物はメイド長がどっか持っていった。
多分捨ててくれた。
ベッドに丸く転がってじっとしてた。
なかなか眠れない。
どのくらいたったのか分からないけど通路から足音が近づいてくる。
部屋の前で止まって扉が開く。
誰か分からない。
でも顔を見せたくない。
すぐに背中を向けて布団で顔を隠した。
コツンって、机に何か置いた音。
それから頭を撫でる手。
ルーラさんより大きい。
誰?
ゴツゴツしてる。
めっちゃデカイ手。
……男の人?!
びっくりしてガバッと起きた。
「起きてたのか」
「リカルド王子?!」
薄目を開けて見えるのはリカルド王子。
「ぶっ」
顔見て笑うな。
「く、くく……わ、悪い、ぶっ、ふ」
両手で覆って隠すけど今さらだ。
もうパンパンに腫れた顔は見られた。
「そんなに楽しいならもっとお見せしましょうか?」
「いや、いい。ふーっ、」
何度も深呼吸して落ち着かせてる。
そこまでしないと笑ってしまうんですか。
「あとでメイド長に目薬を持たせる」
「ありがとうございます」
「それでお前は。……飴は嫌いだったか?」
「へ?好きです。なんでですか?」
「……どれも減ってない」
「あ、」
机の上に貰った瓶を並べてる。
勿体無くてどれも食べてない。
「食べたいけど、キレイだから飾ってます。食べたら、なくなりますし」
「観賞用か。それでもいいが。……古くなると食べられなくなる。夏になれば暑さで溶ける。これは多分溶けて飴が引っ付いてる。振っても中身が転がらん。もう中身は取れない」
「え?!」
知らなかった!
「も、勿体ない。すいません。せっかく頂いたのに」
やっちゃった……
「気にするな。新しいのをやるから」
カラカラと転がる音。
「新しい飴ですか?」
涎が出た。
口がへらって緩んでる。
「ああ、そろそろ読み終わる頃だったから。薄い緑と黄色のマーブル。柑橘の匂いの飴だ。さっぱりして旨い」
「うう、」
パンパンに腫れた顔を見せて手元の瓶を見るか、音だけで我慢するか躊躇してる。
「食べたいか?」
「食べないと勿体ないです」
「ふふ、食い意地が張ってる。毎回、涎垂らしそうな顔で受けとるから」
「そ、そんなことないです。……多分」
きゅぽんっと瓶の蓋が開く音。
「口開けろ。入れてやる」
「はい!」
あがっと口を開けて上を向いた。
「餌付けだな」
呆れてる。
でもいいんだ。
食べたいもん。
待ってるとくくって含み笑いが聞こえた。
笑ってないで早くちょうだいよ。
あーっともう少し頑張って開けた。
ぶっ、てまた吹き出して笑ってる。
笑いをこらえながら。
ころんって口の中に。
ふあ、いい匂い。
甘くて美味しい。
でも柑橘の酸味が爽やか。
これ好き。
「美味しいです」
顔がまた、にぱーってなる。
「そうか。ふ、ふふ」
ご機嫌ですね、リカルド王子。
餌付けは楽しいですか。
私は楽しいです。
美味しいもの食べられて。
「んふふ」
美味しくて笑っちゃう。
「安上がりな娘だなぁ。飴くらいで」
ひどくない?
怒るべきなんだろうけど言い返す言葉が思い付かない。
嫡廃されても王子だし雇い主だし。
黙ってむうっと口を突き出すだけ。
「飴よりもっと良いものをねだっていい。何か欲しいものはあるか?」
「欲しいもの?……欲しいものは」
何も思い付かない。
“贅沢を知らないから”
よぎったのは姉達の笑い声。
本当にその通り。
「……何も、知らないので」
飴だってリカルド王子の気まぐれで貰わなかったら存在なんか忘れてた。
我慢するのは無理だった。
涎と鼻水もひどい。
汗もだらだら。
メイド長が話しかけるし抱き締めてくれるけど涙が止まらない。
ルーラさんが目元に唇をつけてもだめだった。
今日は休んでいいって言われてずっと部屋ごもり。
泣きすぎた。
目が痛い。
瞼がじんじんする。
開けても少ししか開かない。
がっつり腫れた。
もうふて寝だ。
寝よう。
あの忌まわしい荷物はメイド長がどっか持っていった。
多分捨ててくれた。
ベッドに丸く転がってじっとしてた。
なかなか眠れない。
どのくらいたったのか分からないけど通路から足音が近づいてくる。
部屋の前で止まって扉が開く。
誰か分からない。
でも顔を見せたくない。
すぐに背中を向けて布団で顔を隠した。
コツンって、机に何か置いた音。
それから頭を撫でる手。
ルーラさんより大きい。
誰?
ゴツゴツしてる。
めっちゃデカイ手。
……男の人?!
びっくりしてガバッと起きた。
「起きてたのか」
「リカルド王子?!」
薄目を開けて見えるのはリカルド王子。
「ぶっ」
顔見て笑うな。
「く、くく……わ、悪い、ぶっ、ふ」
両手で覆って隠すけど今さらだ。
もうパンパンに腫れた顔は見られた。
「そんなに楽しいならもっとお見せしましょうか?」
「いや、いい。ふーっ、」
何度も深呼吸して落ち着かせてる。
そこまでしないと笑ってしまうんですか。
「あとでメイド長に目薬を持たせる」
「ありがとうございます」
「それでお前は。……飴は嫌いだったか?」
「へ?好きです。なんでですか?」
「……どれも減ってない」
「あ、」
机の上に貰った瓶を並べてる。
勿体無くてどれも食べてない。
「食べたいけど、キレイだから飾ってます。食べたら、なくなりますし」
「観賞用か。それでもいいが。……古くなると食べられなくなる。夏になれば暑さで溶ける。これは多分溶けて飴が引っ付いてる。振っても中身が転がらん。もう中身は取れない」
「え?!」
知らなかった!
「も、勿体ない。すいません。せっかく頂いたのに」
やっちゃった……
「気にするな。新しいのをやるから」
カラカラと転がる音。
「新しい飴ですか?」
涎が出た。
口がへらって緩んでる。
「ああ、そろそろ読み終わる頃だったから。薄い緑と黄色のマーブル。柑橘の匂いの飴だ。さっぱりして旨い」
「うう、」
パンパンに腫れた顔を見せて手元の瓶を見るか、音だけで我慢するか躊躇してる。
「食べたいか?」
「食べないと勿体ないです」
「ふふ、食い意地が張ってる。毎回、涎垂らしそうな顔で受けとるから」
「そ、そんなことないです。……多分」
きゅぽんっと瓶の蓋が開く音。
「口開けろ。入れてやる」
「はい!」
あがっと口を開けて上を向いた。
「餌付けだな」
呆れてる。
でもいいんだ。
食べたいもん。
待ってるとくくって含み笑いが聞こえた。
笑ってないで早くちょうだいよ。
あーっともう少し頑張って開けた。
ぶっ、てまた吹き出して笑ってる。
笑いをこらえながら。
ころんって口の中に。
ふあ、いい匂い。
甘くて美味しい。
でも柑橘の酸味が爽やか。
これ好き。
「美味しいです」
顔がまた、にぱーってなる。
「そうか。ふ、ふふ」
ご機嫌ですね、リカルド王子。
餌付けは楽しいですか。
私は楽しいです。
美味しいもの食べられて。
「んふふ」
美味しくて笑っちゃう。
「安上がりな娘だなぁ。飴くらいで」
ひどくない?
怒るべきなんだろうけど言い返す言葉が思い付かない。
嫡廃されても王子だし雇い主だし。
黙ってむうっと口を突き出すだけ。
「飴よりもっと良いものをねだっていい。何か欲しいものはあるか?」
「欲しいもの?……欲しいものは」
何も思い付かない。
“贅沢を知らないから”
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本当にその通り。
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