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番外編※ラド
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「婿どのは災難だったのぉ」
「すいません」
心配そうに眉を下げた義父に頭を下げた。
あの時は回りの協力でなんとか馬は捕まえた。
幸い怪我人はいなかった。
馬に蹴られた俺だけ。
だけどいくつか屋台や出店を壊して弁償しなきゃならなくなった。
あいつのことを役所に訴えたいけど狭い通路で荷車が回りの視界を遮ってしまい、見ていた人間がいなかった。
「本当にすいません。こんなことになって」
悔しくて泣けてきた。
「いい、いい。休みなさい。こういうことはね、商売人には商売人のやり方があるから。そう気落ちすることはない。おっと、いかんいかん。ついいつもの調子で」
俺を慰めようと手を伸ばしたけど肩と腕を折れていた。
義父は出した手を慌てて引っ込める。
「それより頭を打ってることが心配だ。娘達が泣くから私も胃が痛い。心配しすぎてこっちが倒れそうだ。医者が治ったと言うまでしっかり寝ときなさい。いいね?」
寝台から一歩も出るなときつく言われた。
愚痴もこぼさず本当に俺への心配と気遣いを見せる。
それが余計居たたまれなくて目頭が熱いし、隠せないくらいズルズルと鼻をすすってしまった。
義父が寝室を出てからしばらくすると嫁が来た。
泣き腫らして、でも負けん気で目が血走ってて一瞬怖かった。
「ラド、何か食べれる?用意するけど」
馬の騒動のあとから何にも食ってない。
あの場に店の者を呼んで対応しなきゃだったし、夜遅くに帰ったら腕がパンパンに腫れて医者を呼んだりと忙しくてもう次の日の朝だ。
腹は減ってるような。
でも心労と骨折の痛み。
馬を追いかけて顔から何度も転んだから顔も痛い。
ぶっちゃけ全身痛い。
「いや、いいよ。食欲ない。それより俺が心配かけて、あの、お腹は?大丈夫か?張ってないか?」
「あなたと私の子よ。強いに決まってる」
フンッと小さく鼻を鳴らして顎をしゃくる。
ヤバい。
怖い。
「アリエッタ、その、ごめん。俺がヘマした」
「何がヘマなのよ」
「え、あの、喧嘩を売るようなやり取りだった。あいつの沸点を理解してなかった」
もっと上手くやるべきだった。
俺が下手くそだった。
もっとやり方があったと頭ん中はぐるぐる。
「仕事しただけよ。そういうのは客じゃないからいいの」
見たことないくらい冷たい目付きと態度にびくびくする。
「そっちはお父さんに任せて。顔の傷を見せて」
「あ、あぁ」
寝台の端に腰かけるから俺も体の向きを傾けて見易いようにした。
「これ、お母さんから」
「うちの高い奴じゃん」
肌を綺麗にする貴婦人向けの化粧品。
今日、揉めた限定の品。
「こういう怪我にも効果あるのよ」
「知ってるけど、うう!いぃてぇっ」
べったりと顔にどろどろの軟膏を塗ったくられた。
「もったいねぇ、男の俺には」
貴族が買う高級品なのに。
「何言ってんのよ。傷だらけで接客なんてお客様がびっくりするじゃない。あのね、あなたが働き者で私が遣り繰り上手だからこれ1つ買って余るくらいの貯金があるし私とアディの大好きな顔なのよ。もとに戻してよ」
「戻んなかったら?傷が残るよ、これ」
転ぶのさえヘマした。
顔にはたくさんの擦り傷。
「それでも好きよ。……愛してる」
「おお、デレた」
「うるさい」
睨むのに可愛いとはどういうこと?
真っ赤だから?
涙目に心配だって浮かべてるから?
ああ、なんでもいいや。
無事だった片手で嫁の手を握りしめてじっと顔を見つめた。
「……何よ?」
「……天使だぁ」
「バカ。……バーカ」
嫁の悪口はご褒美だ。
いくらでも言ってくれ。
ぐしゃぐしゃに顔を歪めて涙を流してさ。
出会った頃より可愛くてどうしたらいいって悩んじゃう。
「ママ、パパ……パパァ。ひっく、ひっく、パパァ~……」
「アディ?」
コンコンと小さなノックの音。
「ごめん、お姉ちゃん。アディが不安がってて。私が側にいるんだけどママとパパじゃないとダメかも。ごめん」
「ママァ、ママ、ひっく、ふぇ、ふええっ、開けてぇ。ねえ、パパがいいよぉ」
ドア越しにアディの泣き声とマイラの声。
鼻声でかすれてる。
「どうしよう!こんな顔じゃアディが怖がるよな?マイラも。俺って分からないかも!?会えないよ!部屋に入れるな!」
「えぇ?ちょっと落ち着いてよ、待ってて」
お腹を抱えて扉に近寄るのにアディが待てずにドアノブをガチャガチャ回してマイラが開けさせないように必死で止めてるみたい。
「待って、アディってば!ママに聞いてから!」
「やだー!どいて!開けてよ!開けてぇー!パパがいい!パパ!」
「アディ!ママが来るから!」
「もうやだー!ママ!パパ!ああああっ!あー!あー!」
聞いたことないくらいデカイ泣き声。
耳が裂けそう。
キーンって耳鳴りがヤバい。
アリエッタは隙間から話しかけるつもりだったのに乱暴に開いたドアに弾かれて転ぶし、慌てて寝台から俺は飛び出すけど俺も転ぶ。
アディは床に這う俺の顔を見て死ぬほど泣いた。
パパじゃないって。
マジでショック。
カーテンを半分閉めていつもより薄暗い部屋にでこぼこの擦り傷と打撲、油軟膏でテカテカの顔が床に這いつくばってりゃァ怖いか。
あとから考えれば仕方ねぇ。
でもそれよりアリエッタが転んで俺は動転してる。
その横でアディが奇声混じりで息が出来ないくらいの号泣、床に這って近寄る俺の惨状にマイラはダバダバ泣きながら医者を呼ぶと騒いでいた。
落ち着いてるのは嫁だけでこの状況にそれも半泣き。
嫁はマイラにあんたまで泣くな狼狽えるなと叱り、腹をつっかえながらアディを抱っこして、俺には足は折れてないんだから自力でベッドに戻れと怒鳴る。
義父と義母は今回の後始末に不在。
二人の存在がどれだけ我が家の頼りなのか身に染みた。
時間はかかったけど夜には全員落ち着いてアディはマイラと、嫁は義母と俺は一人寝ってことで話はついた。
でも頭を打ってるからまだ夜中に何かあるとヤバいってことで義父が同室。
お互い添い寝は遠慮した。
さすがに嫁と娘以外は無理ぃ。
「すいません」
心配そうに眉を下げた義父に頭を下げた。
あの時は回りの協力でなんとか馬は捕まえた。
幸い怪我人はいなかった。
馬に蹴られた俺だけ。
だけどいくつか屋台や出店を壊して弁償しなきゃならなくなった。
あいつのことを役所に訴えたいけど狭い通路で荷車が回りの視界を遮ってしまい、見ていた人間がいなかった。
「本当にすいません。こんなことになって」
悔しくて泣けてきた。
「いい、いい。休みなさい。こういうことはね、商売人には商売人のやり方があるから。そう気落ちすることはない。おっと、いかんいかん。ついいつもの調子で」
俺を慰めようと手を伸ばしたけど肩と腕を折れていた。
義父は出した手を慌てて引っ込める。
「それより頭を打ってることが心配だ。娘達が泣くから私も胃が痛い。心配しすぎてこっちが倒れそうだ。医者が治ったと言うまでしっかり寝ときなさい。いいね?」
寝台から一歩も出るなときつく言われた。
愚痴もこぼさず本当に俺への心配と気遣いを見せる。
それが余計居たたまれなくて目頭が熱いし、隠せないくらいズルズルと鼻をすすってしまった。
義父が寝室を出てからしばらくすると嫁が来た。
泣き腫らして、でも負けん気で目が血走ってて一瞬怖かった。
「ラド、何か食べれる?用意するけど」
馬の騒動のあとから何にも食ってない。
あの場に店の者を呼んで対応しなきゃだったし、夜遅くに帰ったら腕がパンパンに腫れて医者を呼んだりと忙しくてもう次の日の朝だ。
腹は減ってるような。
でも心労と骨折の痛み。
馬を追いかけて顔から何度も転んだから顔も痛い。
ぶっちゃけ全身痛い。
「いや、いいよ。食欲ない。それより俺が心配かけて、あの、お腹は?大丈夫か?張ってないか?」
「あなたと私の子よ。強いに決まってる」
フンッと小さく鼻を鳴らして顎をしゃくる。
ヤバい。
怖い。
「アリエッタ、その、ごめん。俺がヘマした」
「何がヘマなのよ」
「え、あの、喧嘩を売るようなやり取りだった。あいつの沸点を理解してなかった」
もっと上手くやるべきだった。
俺が下手くそだった。
もっとやり方があったと頭ん中はぐるぐる。
「仕事しただけよ。そういうのは客じゃないからいいの」
見たことないくらい冷たい目付きと態度にびくびくする。
「そっちはお父さんに任せて。顔の傷を見せて」
「あ、あぁ」
寝台の端に腰かけるから俺も体の向きを傾けて見易いようにした。
「これ、お母さんから」
「うちの高い奴じゃん」
肌を綺麗にする貴婦人向けの化粧品。
今日、揉めた限定の品。
「こういう怪我にも効果あるのよ」
「知ってるけど、うう!いぃてぇっ」
べったりと顔にどろどろの軟膏を塗ったくられた。
「もったいねぇ、男の俺には」
貴族が買う高級品なのに。
「何言ってんのよ。傷だらけで接客なんてお客様がびっくりするじゃない。あのね、あなたが働き者で私が遣り繰り上手だからこれ1つ買って余るくらいの貯金があるし私とアディの大好きな顔なのよ。もとに戻してよ」
「戻んなかったら?傷が残るよ、これ」
転ぶのさえヘマした。
顔にはたくさんの擦り傷。
「それでも好きよ。……愛してる」
「おお、デレた」
「うるさい」
睨むのに可愛いとはどういうこと?
真っ赤だから?
涙目に心配だって浮かべてるから?
ああ、なんでもいいや。
無事だった片手で嫁の手を握りしめてじっと顔を見つめた。
「……何よ?」
「……天使だぁ」
「バカ。……バーカ」
嫁の悪口はご褒美だ。
いくらでも言ってくれ。
ぐしゃぐしゃに顔を歪めて涙を流してさ。
出会った頃より可愛くてどうしたらいいって悩んじゃう。
「ママ、パパ……パパァ。ひっく、ひっく、パパァ~……」
「アディ?」
コンコンと小さなノックの音。
「ごめん、お姉ちゃん。アディが不安がってて。私が側にいるんだけどママとパパじゃないとダメかも。ごめん」
「ママァ、ママ、ひっく、ふぇ、ふええっ、開けてぇ。ねえ、パパがいいよぉ」
ドア越しにアディの泣き声とマイラの声。
鼻声でかすれてる。
「どうしよう!こんな顔じゃアディが怖がるよな?マイラも。俺って分からないかも!?会えないよ!部屋に入れるな!」
「えぇ?ちょっと落ち着いてよ、待ってて」
お腹を抱えて扉に近寄るのにアディが待てずにドアノブをガチャガチャ回してマイラが開けさせないように必死で止めてるみたい。
「待って、アディってば!ママに聞いてから!」
「やだー!どいて!開けてよ!開けてぇー!パパがいい!パパ!」
「アディ!ママが来るから!」
「もうやだー!ママ!パパ!ああああっ!あー!あー!」
聞いたことないくらいデカイ泣き声。
耳が裂けそう。
キーンって耳鳴りがヤバい。
アリエッタは隙間から話しかけるつもりだったのに乱暴に開いたドアに弾かれて転ぶし、慌てて寝台から俺は飛び出すけど俺も転ぶ。
アディは床に這う俺の顔を見て死ぬほど泣いた。
パパじゃないって。
マジでショック。
カーテンを半分閉めていつもより薄暗い部屋にでこぼこの擦り傷と打撲、油軟膏でテカテカの顔が床に這いつくばってりゃァ怖いか。
あとから考えれば仕方ねぇ。
でもそれよりアリエッタが転んで俺は動転してる。
その横でアディが奇声混じりで息が出来ないくらいの号泣、床に這って近寄る俺の惨状にマイラはダバダバ泣きながら医者を呼ぶと騒いでいた。
落ち着いてるのは嫁だけでこの状況にそれも半泣き。
嫁はマイラにあんたまで泣くな狼狽えるなと叱り、腹をつっかえながらアディを抱っこして、俺には足は折れてないんだから自力でベッドに戻れと怒鳴る。
義父と義母は今回の後始末に不在。
二人の存在がどれだけ我が家の頼りなのか身に染みた。
時間はかかったけど夜には全員落ち着いてアディはマイラと、嫁は義母と俺は一人寝ってことで話はついた。
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お互い添い寝は遠慮した。
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