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番外編※ルルドラ
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「ごめんね、政務の最中に」
「……」
「ゆっくり話をしたくて。ご公務の邪魔するよりは良いと思ったの」
確かに外での公務活動を抜け出すのは良くないけど。
「……何しに来たの?僕の部屋に来るとは思わなかった」
僕の秘書を勤めるライオネルはいない。
終わった書類を父と兄上のところへ届けに行った。
そのタイミングで来るなんて。
僕の部屋で二人っきりで。
嫌われて、憎まれて当然のことをしたのに。
罵りに来たのだと怯えたのに、目の前では何事もなかったかのように振る舞う義姉様のことが分からなくて混乱していた。
ちぐはぐさが気持ち悪くて吐きそう。
「部屋に籠ること多くなったよね。使用人も、誰も寄せ付けないし。心配だったから」
「だからって、来なくていいのに」
あんなことをした僕のことなんか。
「顔色が悪いけど、食事できてる?」
食事なんか。
食べれば吐く。
今は少しのお粥と飲み物だけ。
やつれて体がボロボロだった。
鏡を嫌う自分でも知ってる。
このまま消えたい。
大好きだったライン義姉様が死んだ母より怖くて怯えていた。
なのに以前のように、寄り添って顔を覗くから驚いた僕は後ろへ飛びす去った。
「放っといて。変だよ、義姉様は。僕を気にかけるなんておかしいよ。何されたのかわかってるの?」
「リカルド王子と同じことをしただけで何か変わる?私達の何が変わったの?私は私のままだし。ルルドラ王子もそうだよ」
リカルド王子より荒くて痛かったけどとつけ足した。
「何言ってるの?」
「ここにね、火傷があるの。もう薄くなってあんまり見えないけど。少しだけ料理番してたから」
肘の裏をこちらに向けて、服の上からなぞってる。
見えないけどそこにあるらしいけど、料理番ってなんのこと?
義姉様の言葉の意味が分からない。
何を言いたいの?
「怪我していたらおかしい?残ってたっておかしくないよ。それって見掛けだけだよね。私の中身は変わらないよ。だから体に何かあったからって私は私のままだと思うの。またあんな荒っぽくされるのは怖いし嫌だけど、しないって約束してくれたもの。大丈夫よ」
自信満々の態度に開いた口が塞がらない。
「ば、」
「ば?」
「ばっかじゃないの?!」
「わぁ」
馬鹿と思ってたけどこんなに馬鹿なの?!
「おかしい!おかしいよ!」
「そうかなぁ」
「そうだよ!僕は、義姉様を」
「大好きなんだよね。リカルド王子と同じことをしたいくらい。でも二度としないんだよね?私もさせる気ないし、嫌われるのは怖いよね?ルルドラ王子のこと、好きだけどそこは間違えないでね。私はリカルド王子だけだし、また同じことをしたら嫌いになるから。あ、ダメ。ルルドラ王子から寄らないでね。ここで何かしたらリカルド王子を連れて王宮を出ていくから」
ペラペラと流れるように話す義姉様なんて初めて見た。
「……信じらんない」
「うふ、本気だよ?」
何も変わらないようで何かが変わった。
これは本当にライン義姉様なの?
この女は誰?
今まで水の底をぼんやり見ていたような感覚。
何かが出てきた。
「まずは食事しようよ。頭が回らないでしょ?」
おいで、と固まって動けない僕の手をひいて外へ行こうとする。
振り払って逃げたい。
外は怖い。
みんな、僕を憎んでる。
「いや、だ」
「わかった。ライオネルさん、やっぱり部屋に運んでください!」
「敬称は不要でございます。奥様」
すぐに持ち込まれた食事、お菓子。
「お前、なんで義姉様を」
入室を手助けしたライオネルを睨む。
人を入れるなとあれだけ言ったのに。
こいつはわかってたのに逆らった。
「申し訳ありません」
「怒らないで」
「だって、こいつ」
「ライオネルさん、じゃなかった。ライオネルも心配してるの」
「嘘だ」
こいつも兄上を望んでる。
僕じゃない。
「僕なんかいらないくせに!」
「私もそうだよ。みんな私のことはいらなかった」
家族の口癖だと言う。
「だから何?!自分みたいで可哀想って言いたいの?!見下すな!」
思わず手を振り上げた。
怯えた顔に“これが本心だ”とはっきり浮かんだ。
「あっちへ行け!出ていけ!」
「きゃ!」
軽く突き飛ばしただけで簡単にひっくり返る。
このくらいの力で。
なぜかこのひ弱さにいら立つ。
「出ていけ!出ていけよ!」
怒鳴って地団駄を踏んで。
手に触れた物を投げる。
いくつも。
何もかも割れて壊れた。
ぺたんと座ってただ眺めるライン義姉様。
カートの取手を強く握りしめて僕らを見つめるライオネル。
ここから連れ出せよ。
お前が。
兄上を呼ぶなりなんなり。
みんな僕を罵ればいい。
「はぁ、……はぁ、」
投げる物もなくなったら疲れてこっちが座りこんでしまった。
なぜこれだけ暴れて人が来ないんだ。
「えらーい」
ふと気づくとライン義姉様はニコニコ笑って楽しそうに拍手してる。
訳がわからない。
頭が痛くなってきた。
喉がヒリヒリして声が出ない。
ライン義姉様、気が狂ってるの?
「叩かなかったね。私達に投げなかったし。約束守ってイイコね。ねぇ、いっぱい動いてお腹すいたでしょ?」
ご飯にしようと目を細めていた。
「ワインやミルクも用意してるよ。どれを飲みたい?邪魔ね、これ。先に片付けしなきゃ」
「奥様、私めが」
「テーブルをお願い。私もするわ。時間がかかるもの」
床やテーブルに散ったガラス片を二人が片付けている。
「……だれ、も、来ない。けほ、ごほ!」
「うん、みんなにそうお願いしたの。何があっても呼ぶまで来ないでって」
「なんで、」
「ルルドラ王子はみんなが怖いでしょ?」
「怖くない」
「じゃあ、嫌い?」
“怖い”が正解。
だけど図星はムカつく。
「その中で私だけ特別でしょ?今も好きだよね?」
「……」
「こんなに愛されて嬉しいの。だから私もあなたのことを特別に大事にしたい。喧嘩しても許したいし一緒に過ごしたい。そうしたいだけなんだけど」
「……ば、かだ」
「嫌いになる?」
「……ううん。げほっ、」
ならない。
高ぶった感情のせいで涙が出る。
「……」
「ゆっくり話をしたくて。ご公務の邪魔するよりは良いと思ったの」
確かに外での公務活動を抜け出すのは良くないけど。
「……何しに来たの?僕の部屋に来るとは思わなかった」
僕の秘書を勤めるライオネルはいない。
終わった書類を父と兄上のところへ届けに行った。
そのタイミングで来るなんて。
僕の部屋で二人っきりで。
嫌われて、憎まれて当然のことをしたのに。
罵りに来たのだと怯えたのに、目の前では何事もなかったかのように振る舞う義姉様のことが分からなくて混乱していた。
ちぐはぐさが気持ち悪くて吐きそう。
「部屋に籠ること多くなったよね。使用人も、誰も寄せ付けないし。心配だったから」
「だからって、来なくていいのに」
あんなことをした僕のことなんか。
「顔色が悪いけど、食事できてる?」
食事なんか。
食べれば吐く。
今は少しのお粥と飲み物だけ。
やつれて体がボロボロだった。
鏡を嫌う自分でも知ってる。
このまま消えたい。
大好きだったライン義姉様が死んだ母より怖くて怯えていた。
なのに以前のように、寄り添って顔を覗くから驚いた僕は後ろへ飛びす去った。
「放っといて。変だよ、義姉様は。僕を気にかけるなんておかしいよ。何されたのかわかってるの?」
「リカルド王子と同じことをしただけで何か変わる?私達の何が変わったの?私は私のままだし。ルルドラ王子もそうだよ」
リカルド王子より荒くて痛かったけどとつけ足した。
「何言ってるの?」
「ここにね、火傷があるの。もう薄くなってあんまり見えないけど。少しだけ料理番してたから」
肘の裏をこちらに向けて、服の上からなぞってる。
見えないけどそこにあるらしいけど、料理番ってなんのこと?
義姉様の言葉の意味が分からない。
何を言いたいの?
「怪我していたらおかしい?残ってたっておかしくないよ。それって見掛けだけだよね。私の中身は変わらないよ。だから体に何かあったからって私は私のままだと思うの。またあんな荒っぽくされるのは怖いし嫌だけど、しないって約束してくれたもの。大丈夫よ」
自信満々の態度に開いた口が塞がらない。
「ば、」
「ば?」
「ばっかじゃないの?!」
「わぁ」
馬鹿と思ってたけどこんなに馬鹿なの?!
「おかしい!おかしいよ!」
「そうかなぁ」
「そうだよ!僕は、義姉様を」
「大好きなんだよね。リカルド王子と同じことをしたいくらい。でも二度としないんだよね?私もさせる気ないし、嫌われるのは怖いよね?ルルドラ王子のこと、好きだけどそこは間違えないでね。私はリカルド王子だけだし、また同じことをしたら嫌いになるから。あ、ダメ。ルルドラ王子から寄らないでね。ここで何かしたらリカルド王子を連れて王宮を出ていくから」
ペラペラと流れるように話す義姉様なんて初めて見た。
「……信じらんない」
「うふ、本気だよ?」
何も変わらないようで何かが変わった。
これは本当にライン義姉様なの?
この女は誰?
今まで水の底をぼんやり見ていたような感覚。
何かが出てきた。
「まずは食事しようよ。頭が回らないでしょ?」
おいで、と固まって動けない僕の手をひいて外へ行こうとする。
振り払って逃げたい。
外は怖い。
みんな、僕を憎んでる。
「いや、だ」
「わかった。ライオネルさん、やっぱり部屋に運んでください!」
「敬称は不要でございます。奥様」
すぐに持ち込まれた食事、お菓子。
「お前、なんで義姉様を」
入室を手助けしたライオネルを睨む。
人を入れるなとあれだけ言ったのに。
こいつはわかってたのに逆らった。
「申し訳ありません」
「怒らないで」
「だって、こいつ」
「ライオネルさん、じゃなかった。ライオネルも心配してるの」
「嘘だ」
こいつも兄上を望んでる。
僕じゃない。
「僕なんかいらないくせに!」
「私もそうだよ。みんな私のことはいらなかった」
家族の口癖だと言う。
「だから何?!自分みたいで可哀想って言いたいの?!見下すな!」
思わず手を振り上げた。
怯えた顔に“これが本心だ”とはっきり浮かんだ。
「あっちへ行け!出ていけ!」
「きゃ!」
軽く突き飛ばしただけで簡単にひっくり返る。
このくらいの力で。
なぜかこのひ弱さにいら立つ。
「出ていけ!出ていけよ!」
怒鳴って地団駄を踏んで。
手に触れた物を投げる。
いくつも。
何もかも割れて壊れた。
ぺたんと座ってただ眺めるライン義姉様。
カートの取手を強く握りしめて僕らを見つめるライオネル。
ここから連れ出せよ。
お前が。
兄上を呼ぶなりなんなり。
みんな僕を罵ればいい。
「はぁ、……はぁ、」
投げる物もなくなったら疲れてこっちが座りこんでしまった。
なぜこれだけ暴れて人が来ないんだ。
「えらーい」
ふと気づくとライン義姉様はニコニコ笑って楽しそうに拍手してる。
訳がわからない。
頭が痛くなってきた。
喉がヒリヒリして声が出ない。
ライン義姉様、気が狂ってるの?
「叩かなかったね。私達に投げなかったし。約束守ってイイコね。ねぇ、いっぱい動いてお腹すいたでしょ?」
ご飯にしようと目を細めていた。
「ワインやミルクも用意してるよ。どれを飲みたい?邪魔ね、これ。先に片付けしなきゃ」
「奥様、私めが」
「テーブルをお願い。私もするわ。時間がかかるもの」
床やテーブルに散ったガラス片を二人が片付けている。
「……だれ、も、来ない。けほ、ごほ!」
「うん、みんなにそうお願いしたの。何があっても呼ぶまで来ないでって」
「なんで、」
「ルルドラ王子はみんなが怖いでしょ?」
「怖くない」
「じゃあ、嫌い?」
“怖い”が正解。
だけど図星はムカつく。
「その中で私だけ特別でしょ?今も好きだよね?」
「……」
「こんなに愛されて嬉しいの。だから私もあなたのことを特別に大事にしたい。喧嘩しても許したいし一緒に過ごしたい。そうしたいだけなんだけど」
「……ば、かだ」
「嫌いになる?」
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ならない。
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