伯爵令嬢、溺愛されるまで

うめまつ

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25、交換

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昼食の時間になり、食堂へヨルンガを連れて入室しました。

遅れてお姉様がいらっしゃって、側に控えるヨルンガにお姉様が驚いて声をかけます。

「まぁ!あなた、ヨルンガではなくて?」

「ご無沙汰しております。ご挨拶が遅れて申し訳ありません、ウルリカお嬢様。」

早朝、屋敷に到着し、午前中にお母様への報告も済んだこと説明すると、

「リリィが先に知ったの…」

どうやらまだ知らされてなかったことを不満に思われたようで、眉をしかめて私を見つめます。


「屋敷に戻ったなんて知らなかったわ。お母様どういうこと?どうしてちゃんと知らせないの?」

「リリィと一緒に呼びましたよ。あなたが忙しいといって来なかっただけよ。」

「忙しいのは当たり前でしょう?演奏会の練習で忙しいのだから。」

勉強も手を抜いてないのよとお母様に強い口調で詰め寄ります。
剣呑な空気を察したメイドがしずしずと食事を運びます。

「ヨルンガ、あなたもよ。もっと早く私に挨拶すべきだったわ。」

「はい。申し訳ございません。」

ヨルンガの謝罪で落ち着きを取り戻し、あれこれとお姉様がお母様とヨルンガに話しかけていました。
お姉様もヨルンガの帰還が嬉しいのだと、穏やかに微笑むお姉様の姿が嬉しくて、私も笑みがこぼれました。

「お父様の使いならまたすぐ戻るのかしら?」

「いいえ、これからはリリィの侍従として勤めるのよ。」

「ヨルンガをリリィの侍従に?どういうこと?」

お姉様の苛立った声が食堂に響き、お母様はゆったりと頷きます。
目を見開き私に視線を向けますが、私は返事もできず背を丸め小さく小さくなりました。

「リリィの側仕えが決まってないでしょう?お父様に相談したらヨルンガを付けるようにと寄越したの。誰をつけるか困ってたから助かるわ。」


「ヨルンガは優秀だと聞いてるわ。なら、婚約者探しに忙しい私へ当てるのが当たり前でなくて?なぜ私じゃないの?」

「何を言ってるの?ウルリカには3人のメイドと二人の侍女をつけてるのよ。ヨルンガまで付けたらリリィに当てる者がいなくて困るわ!」

そうです。

屋敷の優秀な者はお姉様付きになっているので、残ったのは経験の浅い者か側仕えに向かない者ばかりでした。

お母様はお姉様付きの中から1人を選んで私付きへ変える予定でしたが、この大事な時期に減らされては困るとお姉様が許さなかったのです。

「仕方ないわね。なら私付きのメイドをふたり譲りましょう。」

側に控えているメイドたちの顔色が変わるのが分かりました。

「もともとはお母様が私付きの者を寄越せと仰ったのだからかまわないでしょう?」

「ウルリカ、あなたが手放したくないと嫌がってたじゃない?」

「当たり前よ。私には不利益なだけで受け入れられないわ。でもヨルンガがいるなら話は別よ。見目がよろしいし能力も充分だわ。」


二人の睨み合いにおののきながらオズオズと声を出します。


「お姉様の優秀な側仕えを預けてくださるのは嬉しいですが、今、替えたらお姉様がお困りになるのではないかしら…王都に行ってお父様にお願いしてからにしませんか?」

「いいえ、必要ないわ。現地で変えるなんて余計侍女たちが戸惑うわよ。あなたにヨルンガを付けても別にメイドか侍女は必要なの。それなら今すぐヨルンガを私の従者にして、私付きの者を二人、あなたに付ける方が無駄がないわ。」

もうあなた分からないのだから黙ってなさいとすげなくあしらわれ、高位貴族の方々はご令嬢が侍従を従えてることはステータスだそうで、演奏会の時に侍従を連れていかないと見劣りするとお母様にこんこんと訴えます。

お姉様がこんなにヨルンガを欲しがるとは思いませんでした。
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