伯爵令嬢、溺愛されるまで

うめまつ

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37、乗馬

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朝起きるとだいぶ日が高くなっていました。

ランディック夫人から休ませるようにと指示があったそうです。

部屋で食事を取り、身支度を始めるとランディック夫人が来られて驚きました。

娘がいたらこういうことをしてあげたかったと言って髪を整えたら、ランディック夫人の衣装まで引っ張り出してあれでもないこれでもないと念入りに選び、少しだけお化粧をしてくれました。 

選んだ衣装が動きやすい外出着だったので、今日の予定を察します。

「ねえ、リリィさん、サンマルク夫人の許可を頂いてるのだけど、良かったら我が家にしばらく滞在しない?」

「はい、お母様の許可があるなら私は構いません。」

お母様の許可があるなら、それは実行しなさいという意味です。

「お母様とお姉様はどうされるのですか?」

「あぁ、お二人は…そうね。明日のご予定の準備があって先にお帰りになったわ。」


「まぁ…そうですか。」

先に帰ったと聞いて少なからずショックを受けました。
不問になったとは言え、お母様たちは昨日のことをまだお許しになってないのかもしれなません。

ランディック夫人はそんな私を気遣って、優しくお話しします。

「夜、お喋りしただけじゃ物足りなくて。私たちが強引に引き留めたのよ。昨日の手綱さばきは素晴らしかったわ。」

「ありがとうございます。でも人前で馬に跨がって恥ずかしいです。」

「いいのよ。私もよくやるから。それで王都では女性の一人乗りが流行ってるんだけどご存知かしら?」


「え?!」

「ウフフ、隣国の女王が流行らせていらっしゃるのよ。」

驚く私に、淑女の乗馬を教えるわと囁かれました。

玄関を抜けて広場に着くと、そこには見たことのない鞍を着けた2頭の馬が準備してありました。

「ここに足をかけて跨がらずに座るのよ。」

ランディック夫人がお手本を見せてくださいました。

スカートが美しく広がり、優雅に腰かけているだけなのに、長い鞭を使って自在に馬をに操作されます。

私も見よう見真似で騎乗します。

しばらく練習し、ランディック夫人のご指導のおかげで不安なく乗れるようになりました。

斜めに座り体を進行方向に曲げる為、少々腰に痛みがありますが、いずれ慣れてくるそうです。

いつの間にか、回りには道中を共にしたランディック家の護衛たちが様子を見に来ていて、乗れたと喜ぶ私に拍手をしてくれました。

その中に泥んこのランディック辺境伯とぼろぼろのご兄弟がいらっしゃいました。

「がんばったなぁ、リリィ様。」

「初めてでそこまで乗りこなしたんだな。」

「妻と二人で並んで実に壮観だ。ああ、私に娘がいたらこんな風景だったのか。素晴らしい。」

「3人とも汚いわ。寄らないで。早く身なりを整えなさい。」

しかめっ面のランディック夫人がしっしと手を振って追い払います。

私が驚いているとランディック夫人が、剣のお稽古をしていたのよと説明されました。
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