伯爵令嬢、溺愛されるまで

うめまつ

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41、デビュタント

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デビュタント当日、会場で久しぶりに両親と会いました。
無事、陛下の謁見とファーストダンスを終えたので、割愛します。
二人ともキース様にエスコートされて現れた私に喜んでくださいました。

お姉様はご友人と行動されるとのことでまだお会いしておりません。

どうやらお屋敷でも気が立っているようです。
今日、お会いしても怒らせないようにと忠告されました。

お母様は難しい年頃だからと疲れた顔で仰っています。

「私もお姉様の年齢になったら気難しくなるのかしら?」

「あなたまでやめてちょうだい。それにウルリカと違って物が分からないからあり得ないわ。」

昔、父方のお祖母様にお金のかかる女ばかりと言われてお母様とお姉様が怒り狂ってたのに、物が分からない私はお祖母さまにニコニコしていた話をされました。
 
もうよしなさいとお父様が宥めますが、お母様は庇わなかったことを根に持ってるので持っていた扇からみしりと鈍い音が聞こえました。

その事があってお祖母様達の仲は良くありません。

でもお会いすると必ず、持参金は任せなさいと仰るから他意はないのだと思うのです。


まあ、少し…誤解がありまして…

お姉様の優秀さはお父様譲りと仰ったり、私の活発さはお母様の血筋だと仰ったり…

確かに母方のひいお祖母様は先代の戦時中、貴族令嬢の立場でありながら平民の看護師を大勢率いて従軍されていたので、貴族界隈では女傑として名を知られています。

先代の陛下からは、ひいお祖母様が多くの兵士の命を救ったと褒賞を授賞しています。

本日の陛下への謁見でも、女だてらに戦争に尽力したひいお祖母様の縁の者としてお言葉を賜りました。


このように誉れ高き血筋とお祖母様は誉めたつもりでも、関係が悪くお転婆に手を焼いていたお母様には嫌味にしか聞こえなかったようです。

今は不機嫌なお母様と狼狽えるお父様を見て、不用意なことを言ってしまったと反省して謝罪しようとしたのですが、謝罪する前にキース様にダンスの広間へ連れられてしまいました。

「夫婦のことは本人に任せて会場に行くぞ。」

バカらしいと呆れてました。

広間の中央では、色鮮やかな華々しいドレス姿のご令嬢方がダンスを披露されているところでした。

私を含めた今年デビューのご令嬢は白やクリーム色の淡いドレスを召して参加しています。

ダンスの輪の中からきれいなご令嬢とダンスをするバン様がこちらに手を振っています。

こうやってダンスを眺めている間にキース様は女性に囲まれてダンスのお誘いを受けてます。

女性からお誘いするのははしたないと教えられていましたが、サラたちに聞いた通り人気のご令息に令嬢の皆さん、積極的です。

ご令嬢方の華々しいご様子に見とれていると、情熱的な赤い髪のご令嬢がこんなおチビさんの子守りいつまでしているのと鼻で笑いました。

キース様がご令嬢を一瞥し、いじめないでくれるかな?と曖昧に微笑みました。
私は小説の世界が目の前に繰り広げられたと感動して、庇ってくださるキース様を押し退けてご令嬢に詰め寄っていました。


「これが社交界の洗礼というものですのね。名乗りをする前からクリティカル入れてくるなんてさすがです。お姉様、後学のためにぜひもう一声お願い致します。」

「はあ?何よ、この子…!」

「リリィ、待て、落ち着け。」

「私も百戦錬磨のお姉様みたいにお強くなりたいです。もっと体験しなくては。」

ずいずいっとにじり寄る私にご令嬢が怯んでいます。

「嫌みを言われて喜ぶな。」

「キース様、こんな流れるように言えるのは才能かと思いまして。」

「なんですって!」

「才能を磨いたお姉様ならここで洗礼された一言を発すると信じてます。ぜひお聞かせください。」

「ちょっ、ちょっと!もうやめてちょうだい!なんなの!この子は!」

「まあ、まあ!ほほほ、あなたの負けね。アンバー、あなたが意地悪するのがいけないのよ。小さなレディ、こんな意地悪な人の真似しちゃダメよ。ほほほ。」

「泣くかと思ったのに…クスクス。」

「くくっ、イヤだ、こんなに焦ったアンバーを見るなんて。ほほっ。」

「アンバー様と仰るのですね。小説に出ていた高位のご令嬢のように言葉を的確に刺す姿が素敵です。」

アンバー様はお顔を真っ赤にして、ふんっとそっぽを向かれました。
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