伯爵令嬢、溺愛されるまで

うめまつ

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40、デビュタント

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お父様が訪問された日から皆さんが一段と甘やかすようになりました。

やはりお父様の態度は誤解を受けてしまったようで… 


数年ぶりの再会で素っ気なかっただけだと、誤解を解く為に皆さんにお話しするのですが、私の方が大人だと言ってあまり解けた気がしません。

ランディック夫人はしょっちゅう私の身支度のお世話をされ
て、庭で馬に乗れば護衛や御者がわざわざ会いに来てくれますし、それに毎日のように辺境伯とご兄弟がお菓子の差し入れをくれます。

ドレスのサイズが変わると困るので、少し頂いたらサラに頼んでお屋敷の女性達に配り親しくなりました。


あれからヨルンガはランディック辺境伯の要請で隊員に組手を教えることになりました。

1度、見学したのですが、ヨルンガより一回り大きな体躯の方を投げ飛ばして私は驚きました。

全く見たことのない体術です。

ヨルンガに尋ねると、砂漠を越えてたキャラバンの傭兵から学んだそうです。

キャラバン隊の国より、ずっと遠くの異国から来た男で見た目は小柄な少年のようだったとか。

「あの年齢と見た目は東洋の神秘でございましょう。詐欺も良いところです。」

ヨルンガが染々と語っていました。
 
機会があればお会いしてみたいです。

私は、今日も午後からダンスのレッスンをします。

こちらでお世話になってからも休まず続けています。

仕事の合間を縫って、ランディック辺境伯夫妻も来られダンスのご指導下さいます。
今は、マリエおば様とニールおじ様と親しく呼ばせていただいてます。

「娘がいたらこんな感じかぁ…。やはりデビュタントのエスコートは私がしたい。ダメかな?」

「あなた、デビュタントは乙女の夢なのよ。わざわざ父親と変わらない人と踊るなんて。令嬢の間で侮られるわ。リリィはキースと踊るのよ。」

「でもマリエおば様…キース様は人気の方でしょう?」

「そうよ、リリィ。あら?何か気がかり?バンが良かった?」

不安げな私の顔をランディック夫人の手が撫でます。


「お二人とも素敵なので、どちらと踊っても他のご令嬢の反発を受けそうなのが不安で。書庫の本に書いてありました。」

小説に書いてあったヒロインは人気の令息と踊り、ワインをかけられたりドレスを踏んで転ばされたり意地悪をされてしまいます。
そんなバカなことを現実でする方はいらっしゃらないでしょうが、お友達が出来ない不安がありました。
知らなかったのですが、デビュー前のご令嬢の多くは王都で暮らし、王宮のお茶会や貴族同士の集まりでそれなりに親交を深めお友達を作るそうです。
領地に引きこもっていた私はそういったことをしていなかったので、どのように受け入れられるか分かりません。
お父様とお母様がそういった場に私を連れて行かなかったこともショックでした。

「ほら、リリィ。不安ならやっぱり私のエスコートがいいんじゃないか?ニールおじ様がいいと言ってくれ。」

「あなた。」

すかさずご自身を挟むニールおじ様に、マリエおば様が諌めてます。

「マリエおば様。私、キース様のエスコートを受けて上手に立ち回れるでしょうか?」

「あらあら、大変。勇猛果敢なリリィが怖がりになってしまったわ。」

本当なら夢のような時間を過ごすはずなのにね、と寂しそうに呟きました。

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