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52、2日目※アンバー
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演奏会の2日目はアンバーも参加する。
緊張で喉が乾き果実水を何度も舐めるように飲む。
最初はデビュー仕立ての若い子が続き、そのあとは爵位順に出演する。
侯爵令嬢の私の前にリリィの姉が出演するので何気なく姉のウルリカを見つめる。
ウルリカは芸術以外にとても礼儀正しく生真面目なご令嬢として有名だった。
リリィのような元気な妹がいるなんて意外だと思った。
気の強い見た目通りなアンバーと大人しいウルリカは社交場で会っても軽く挨拶をする程度の仲だ。
ウルリカはアンバーの視線に気づき、何事のなく目をそらした。
数多く存在する伯爵家の中で歴史が古く戦地で怪我人の看護に当たったリリィのひいお祖母様。
キンバリー様の生家として有名なサンマルク伯爵家の長女。
名前の由来‘’王家の要塞‘’に恥じないキンバリー様の子孫をじっと眺めた。
つい最近までアンバーの家は伯爵で、今年の春、近年の外交手腕と領地改革が評価され、侯爵に上がった。
まだ新興ということで、侯爵のグループからは最初になる。
ウルリカは逆に最後。
前後の出演となる。
昇進がなければアンバーはウルリカの前となったはずだ。
アンバーはウルリカが嫌いだった。
ウルリカも好いてはいない。
デビューして間もない頃、社交的なアンバーは同じ伯爵位ということでウルリカによく話しかけていた。
気が強い見た目だが、外交を得意とする家系らしく細やかな気配りで周囲に溶け込んだ。
一方でウルリカは音楽センスや刺繍などの芸術性を評価され、高位貴族に声をかけられるようになってから疎遠になった。
まわりはアンバーがウルリカを嫉妬して仲違いしたと思われているが、アンバーとしては違った。
社交場で会うと必ず話しかけるが、挨拶もそこそこに親しい高位貴族の元へ行ってしまう。
ひき止めることも出来ず、ただ眺めるだけしか出来なかった。
だが、見た目の強そうなアンバーは交流の少ない高位貴族のご令嬢たちに誤解されたまま、ウルリカを伯爵位のグループから追い出したという噂は止められなかった。
デビューして間もないアンバーはショックで寝込んだ。
社交界で高位から睨まれれば将来がないにも等しかった。
誤解があるなら非を認め謝りたい、この状況を助けてほしいとウルリカに手紙を送ったが、私にはどうしようもないと返信が来た。
結局、噂が消えるまで社交界からはじき出され、傷心のアンバーを支えたのは家族と親しくしていた同じ伯爵位のご令嬢達だった。
2年ほどたって社交界に戻ることが出来た。
15才から17才の、若い華やかな時代を壊された。
友人たちに守られながら、社交場で久しぶり会ったウルリカはアンバーを気遣い、どうにも出来なかったと謝った。
その時ウルリカの口の端が上がるのを見た。
目を細めて扇でサッと隠すが目には嘲りが浮かんでいた。
嘲りは2年間、社交界から受けていてウルリカは上手く隠していたが、敏感に感じることが出来た。
アンバーはデビューしたばかりのウルリカを思い出してよく見かけた表情だと今頃気づいた。
デビューして2年、辛酸を舐め、気が強い見た目以上に、自身の魅力的な容姿を冷静に見つめた。
ふくよかな胸元、コルセットで何年も細く締め上げたくびれ、赤ワインのように深みのある赤い髪、つり上がった目尻は意思の強さ。
それらが社交界の男性に好まれていると感じ、あれは女性たちの牽制だったのだと結論付けた。
高位貴族のご令嬢と狭く交流するウルリカは婚活には不利だと分析していた。
確かに高位貴族との交流は大事だが、ずっとそこに留まれば男性はまず侯爵や公爵のご令嬢を誘う。
わざわざあのメンバーの下の下を選ばない。
ウルリカの容姿は慎みがあると女性からは評価されるが、目立つところがなく男性からの評価は少なかった
アンバーは下位貴族から高位貴族に交流を広げ、両親の仕事を手伝い諸外国にも縁を拡げていった。
だが、やはり心の中で、辛酸な時期に助けてくれた家族と友人を理想に掲げ、争いを好まず人を大切にするようにした。
緊張で喉が乾き果実水を何度も舐めるように飲む。
最初はデビュー仕立ての若い子が続き、そのあとは爵位順に出演する。
侯爵令嬢の私の前にリリィの姉が出演するので何気なく姉のウルリカを見つめる。
ウルリカは芸術以外にとても礼儀正しく生真面目なご令嬢として有名だった。
リリィのような元気な妹がいるなんて意外だと思った。
気の強い見た目通りなアンバーと大人しいウルリカは社交場で会っても軽く挨拶をする程度の仲だ。
ウルリカはアンバーの視線に気づき、何事のなく目をそらした。
数多く存在する伯爵家の中で歴史が古く戦地で怪我人の看護に当たったリリィのひいお祖母様。
キンバリー様の生家として有名なサンマルク伯爵家の長女。
名前の由来‘’王家の要塞‘’に恥じないキンバリー様の子孫をじっと眺めた。
つい最近までアンバーの家は伯爵で、今年の春、近年の外交手腕と領地改革が評価され、侯爵に上がった。
まだ新興ということで、侯爵のグループからは最初になる。
ウルリカは逆に最後。
前後の出演となる。
昇進がなければアンバーはウルリカの前となったはずだ。
アンバーはウルリカが嫌いだった。
ウルリカも好いてはいない。
デビューして間もない頃、社交的なアンバーは同じ伯爵位ということでウルリカによく話しかけていた。
気が強い見た目だが、外交を得意とする家系らしく細やかな気配りで周囲に溶け込んだ。
一方でウルリカは音楽センスや刺繍などの芸術性を評価され、高位貴族に声をかけられるようになってから疎遠になった。
まわりはアンバーがウルリカを嫉妬して仲違いしたと思われているが、アンバーとしては違った。
社交場で会うと必ず話しかけるが、挨拶もそこそこに親しい高位貴族の元へ行ってしまう。
ひき止めることも出来ず、ただ眺めるだけしか出来なかった。
だが、見た目の強そうなアンバーは交流の少ない高位貴族のご令嬢たちに誤解されたまま、ウルリカを伯爵位のグループから追い出したという噂は止められなかった。
デビューして間もないアンバーはショックで寝込んだ。
社交界で高位から睨まれれば将来がないにも等しかった。
誤解があるなら非を認め謝りたい、この状況を助けてほしいとウルリカに手紙を送ったが、私にはどうしようもないと返信が来た。
結局、噂が消えるまで社交界からはじき出され、傷心のアンバーを支えたのは家族と親しくしていた同じ伯爵位のご令嬢達だった。
2年ほどたって社交界に戻ることが出来た。
15才から17才の、若い華やかな時代を壊された。
友人たちに守られながら、社交場で久しぶり会ったウルリカはアンバーを気遣い、どうにも出来なかったと謝った。
その時ウルリカの口の端が上がるのを見た。
目を細めて扇でサッと隠すが目には嘲りが浮かんでいた。
嘲りは2年間、社交界から受けていてウルリカは上手く隠していたが、敏感に感じることが出来た。
アンバーはデビューしたばかりのウルリカを思い出してよく見かけた表情だと今頃気づいた。
デビューして2年、辛酸を舐め、気が強い見た目以上に、自身の魅力的な容姿を冷静に見つめた。
ふくよかな胸元、コルセットで何年も細く締め上げたくびれ、赤ワインのように深みのある赤い髪、つり上がった目尻は意思の強さ。
それらが社交界の男性に好まれていると感じ、あれは女性たちの牽制だったのだと結論付けた。
高位貴族のご令嬢と狭く交流するウルリカは婚活には不利だと分析していた。
確かに高位貴族との交流は大事だが、ずっとそこに留まれば男性はまず侯爵や公爵のご令嬢を誘う。
わざわざあのメンバーの下の下を選ばない。
ウルリカの容姿は慎みがあると女性からは評価されるが、目立つところがなく男性からの評価は少なかった
アンバーは下位貴族から高位貴族に交流を広げ、両親の仕事を手伝い諸外国にも縁を拡げていった。
だが、やはり心の中で、辛酸な時期に助けてくれた家族と友人を理想に掲げ、争いを好まず人を大切にするようにした。
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