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51、苦言※ロルフ
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『これ以上は外交問題になります。』
その一言でやっと第二王子はこちらに目を向けた。
背の差があるのからどんだけこっちが背伸びしてると思ってるんだ。
屈めこのやろう、心の中で毒づいただけで、俺は煮えたぎる怒りを表情に出さなかった。
こんな各国の権力者が勢揃いした公の場所で、一介の令嬢に怒鳴るなど何を考えているんだ。
しかも他国の王子がエスコートしてるのに、絡んでくるなんて、他国を侮るにしても限度がある。
『あなたがリリィ嬢の髪の色を理由に公の場で叱責したことを貴国にお知らせせねばなりません。』
『なっ!そうじゃないっ!』
『今までのご令嬢達への暴言は個人としてなんとか片付けました。だが、今はこの国の王子である私がエスコートしています。あなたの行動は私と国への侮辱です。』
第二王子の表情から、言われてやっと理解したとわかった。
こちらも、この第二王子が無駄にワガママに育ったことだけは分かった。
もうすでに令嬢への暴言の数々を外交団には陳情している。
リリィのようにお国の違いかしらと呑気に構える令嬢があり得ないのだ。
『違うんだ、頼む。聞いてくれ。』
連れの公爵令嬢を放って、俺を側に引き込み何やら小声で密談が始まる。
『なんですか?そんなに彼女が気に入らないのですか?』
『違うんだ…。アイツに、私がエスコートしたかったとだけ伝えたいだけだ。なのに、余計なことばかり。私は上手く言えないんだ…。』
何を言い始めたのだ、この男は。
リリィをエスコートしたかったんだと必死で言い訳するが、意味がわからない。
他の女性を連れてるのに?
延々と続く言い訳を遮って尋ねてみた。
『あの、お連れの女性の名前はご存知ですか?』
『は?いや、知らん。サファイアかルビーか。宝石の名前だった。それがなんだ。』
『我が国の筆頭公爵ザボン家の一人娘のサフィア嬢です。ずっと連れていらしたでしょう?』
『は?王族でない者を私がなぜ覚えねばならん?』
尊大な態度に頭痛を覚えた。
この男はどれだけ他国を侮るのか。
貴族令嬢とメイドの区別がついてるかも怪しい。
『…彼女は分かります?』
こっそりリリィに視線を向ける。
リリィは俺たちの視線に気づいて口許を覆った扇をフワッと揺らした。
扇で隠しても、可愛らしい目元から好奇心が溢れて口許は笑ってるだろうと想像ついた。
『…リリィ・サンマルク。』
傲慢な第二王子が顔を真っ赤にして答えた。
不覚にも可愛いと思ってしまった自分の思考が受け入れられず、いや、これは気色悪いんだと思い直した。
『…そうですか。』
第二王子の拗れ具合がめんどくさい。
『そちらの外交団と、陛下への報告は避けられませんが…。貴国への陳情は止められると思います。リリィ嬢本人が大して問題にしていないようなので。』
第二王子に叱責されても、不思議そうにするだけで、今もニコニコとこちらへ笑顔を向けるリリィを見て、大事にすることは止めた。
これ以上問題を起こさないでくれと頼み、その場を離れた。
その際に、リリィに気持ちを伝えてくれと言い出したので、他国の王子を小間使いにするなと釘を指した。
王家の色を纏い玉座に1番近いと噂され、自分より背が高く年上の見目麗しい男の体たらくに、アイツはアホだと心の中で唾棄する。
「何をお話しされてましたの?」
「大したことじゃないよ。」
それとなく急に態度を変えた第二王子の思惑を、リリィに尋ねてみた。
「さあ、どうしてでしょうね?嫌われていますのに。」
途中、思い出して歩みよりが失敗したと話した。
髪を染めようと思うまで悩んでたのなら、やはりきつく陳情すべきか。
しかし、髪を染めると聞いてなぜあんなのぼせ上がったのか、理解が出来ない。
リリィにロルフ様はどう思いますかと聞かれたが、俺もわからないと答えるしかなかった。
その一言でやっと第二王子はこちらに目を向けた。
背の差があるのからどんだけこっちが背伸びしてると思ってるんだ。
屈めこのやろう、心の中で毒づいただけで、俺は煮えたぎる怒りを表情に出さなかった。
こんな各国の権力者が勢揃いした公の場所で、一介の令嬢に怒鳴るなど何を考えているんだ。
しかも他国の王子がエスコートしてるのに、絡んでくるなんて、他国を侮るにしても限度がある。
『あなたがリリィ嬢の髪の色を理由に公の場で叱責したことを貴国にお知らせせねばなりません。』
『なっ!そうじゃないっ!』
『今までのご令嬢達への暴言は個人としてなんとか片付けました。だが、今はこの国の王子である私がエスコートしています。あなたの行動は私と国への侮辱です。』
第二王子の表情から、言われてやっと理解したとわかった。
こちらも、この第二王子が無駄にワガママに育ったことだけは分かった。
もうすでに令嬢への暴言の数々を外交団には陳情している。
リリィのようにお国の違いかしらと呑気に構える令嬢があり得ないのだ。
『違うんだ、頼む。聞いてくれ。』
連れの公爵令嬢を放って、俺を側に引き込み何やら小声で密談が始まる。
『なんですか?そんなに彼女が気に入らないのですか?』
『違うんだ…。アイツに、私がエスコートしたかったとだけ伝えたいだけだ。なのに、余計なことばかり。私は上手く言えないんだ…。』
何を言い始めたのだ、この男は。
リリィをエスコートしたかったんだと必死で言い訳するが、意味がわからない。
他の女性を連れてるのに?
延々と続く言い訳を遮って尋ねてみた。
『あの、お連れの女性の名前はご存知ですか?』
『は?いや、知らん。サファイアかルビーか。宝石の名前だった。それがなんだ。』
『我が国の筆頭公爵ザボン家の一人娘のサフィア嬢です。ずっと連れていらしたでしょう?』
『は?王族でない者を私がなぜ覚えねばならん?』
尊大な態度に頭痛を覚えた。
この男はどれだけ他国を侮るのか。
貴族令嬢とメイドの区別がついてるかも怪しい。
『…彼女は分かります?』
こっそりリリィに視線を向ける。
リリィは俺たちの視線に気づいて口許を覆った扇をフワッと揺らした。
扇で隠しても、可愛らしい目元から好奇心が溢れて口許は笑ってるだろうと想像ついた。
『…リリィ・サンマルク。』
傲慢な第二王子が顔を真っ赤にして答えた。
不覚にも可愛いと思ってしまった自分の思考が受け入れられず、いや、これは気色悪いんだと思い直した。
『…そうですか。』
第二王子の拗れ具合がめんどくさい。
『そちらの外交団と、陛下への報告は避けられませんが…。貴国への陳情は止められると思います。リリィ嬢本人が大して問題にしていないようなので。』
第二王子に叱責されても、不思議そうにするだけで、今もニコニコとこちらへ笑顔を向けるリリィを見て、大事にすることは止めた。
これ以上問題を起こさないでくれと頼み、その場を離れた。
その際に、リリィに気持ちを伝えてくれと言い出したので、他国の王子を小間使いにするなと釘を指した。
王家の色を纏い玉座に1番近いと噂され、自分より背が高く年上の見目麗しい男の体たらくに、アイツはアホだと心の中で唾棄する。
「何をお話しされてましたの?」
「大したことじゃないよ。」
それとなく急に態度を変えた第二王子の思惑を、リリィに尋ねてみた。
「さあ、どうしてでしょうね?嫌われていますのに。」
途中、思い出して歩みよりが失敗したと話した。
髪を染めようと思うまで悩んでたのなら、やはりきつく陳情すべきか。
しかし、髪を染めると聞いてなぜあんなのぼせ上がったのか、理解が出来ない。
リリィにロルフ様はどう思いますかと聞かれたが、俺もわからないと答えるしかなかった。
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