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あれから三週間ほど経ちました。
腕のアザが薄く黄色くなり、体力を戻す為に松葉杖を使って動く許可が出ました。
松葉杖を使うより、ヨルンガに支えられていることの方が多いのですけど。
宮殿で過ごす間、ランディック夫妻とウォルおじ様がそれぞれお見舞いに来てくれて、話し相手になってくださいました。
ウォルおじ様は、ザボン公爵には物申しておいたと言われるのですが、私の為にわざわざ、現役の筆頭公爵家に逆らうなど止めてほしいとお願いしました。
心配しているのに、ウォルおじ様は気にした風もなく笑っていました。
こんなに心配していますのに。
ニールおじ様とマリエおば様は、キース様とバン様の差し入れを、手紙と一緒に届けて下さいました。
意外なことにキース様はクリス様と、バン様はアンバー様との婚約が決まったと書かれてありとても驚きました。
キース様が辺境伯を世襲され、バン様はニールおじ様が所有されている伯爵位を引き継ぐそうです。
乗馬の好きなクリス様は妙に納得出来ましたが、バン様とアンバー様は意外でした。
妻より馬の方が好きな夫など考えられないと仰っていたのですから。
「バンはね、ああしているけど意外と一途なのよ。アンバー嬢が出席するパーティーに欠かさず参加して、その日のファーストダンスを必ず誘っていたわ。断られることの方が多かったようですけど。ほほほ。」
バン様が社交界の薔薇を射止め、キース様は隣国の王女の姪に当たられるクリス様との婚約を誇らしげにされています。
先日、公表され、領内はお祭り騒ぎだそうです。
私も、大好きな方々のご婚約に喜びました。
その後、マリエおば様は社交界の華やかな様子を細かく教えてくださって、私の足が治ったら連れていくと約束して下さいました。
「シーズンの終わる前に、歩くだけなら参加できるかもとガレヌス医師が仰っていました。ダンスと乗馬は止められましたが。」
「なら、その時期に合わせてドレスの新調をしましょう。また体型が変わるでしょうから。…今は痩せてしまったわね。」
悲しそうに私の痩せた頬を撫でていました。
「ご飯を沢山食べます。戻しますね。」
そして、私は、王妃のように素敵なお体になるのです。
そう宣言すると、美容クリームを届けさせると仰っていました。
マリエおば様も王妃のように御胸がふくよかで、細い腰をお持ちです。
一生懸命教えを乞うと、毎日のマッサージや、コルセットの巻き方、食事など細かくお話しして、サラとディーナと3人で沢山メモを取り、ふと見ると横で聞いていたニールおじ様は目をつぶって石のように固まっていました。
「ああ、そうだわ。ロルフ様とはどんな関係かしら?仲は良いの?」
「ロルフ様とですか?お友達だと言われております。」
楽しそうなマリエおば様になぜか尋ねると、最終日のダンスが好評だったようで、ラストのパートナーを務めた私達のことが時折、噂になってるそうです。
「ロルフ様と背の釣り合うご令嬢がいなくて1度も会場で踊ったことがないのよ。それが、初めてで、あんな素敵に踊られたから皆驚いてしまったの。ふふっ。」
「まあ…。」
あの会場のことを思い出して、ふと不安になりました。
「マリエおば様。あの、…他はどんな噂がありますか?私、あの時…はしたなくも2曲続けて踊ってしまって。」
「ああ、その事ね。サフィア様との婚約でそんなに目立っていないから安心なさい。」
「…でも、我が家に、迷惑をかけていませんか?私、こんなに目立ってしまって。…ロルフ様とのことまで噂になってしまうなんて、私の身分で恐れ多い…。私、恥ずかしいです…」
「あら…もうすぐ第三王子とウルリカ嬢との婚約も公表されるのよ。めでたいことに我が国から二人も王族に輿入れをするの。不要な噂はすぐに消えるわ。ふふ、大丈夫。ザボン公爵がお許しにならないから。」
項垂れる私の手を握り、励ましてくださいました。
「ロルフ様とのダンスが好評でまた見たいと周りは望んでるのよ。足が治ったら披露なさい。ロルフ様の評判のお役に立つから。分かった?」
「…はい。」
本当に私で良いのでしょうか。
不安は消えません。
こうしてランディック夫妻とウォルおじ様が来られましたが、お母様達は来ないのです。
お手紙も。
きっと、何か失敗してしまったのです。
何が失敗かも分かっていないのだと。
第二王子とのお話も、耳を塞いで嫌がってしまって。
どこから失敗していたのでしょうか。
いつからでしょうか。
小さい頃のお転婆のせいでしょうか。
本当に、皆さんと同じようにしているつもりなのです。
私の何がいけないのか。
本当に、自分の頭が悪くて。
頭がぐるぐるしてるはずなのに、胸が回るような気持ち悪さでその夜はまた、ガレヌス医師の吐き気止めを口に突っ込まれました。
この臭いは、シピ達には刺激になるそうで側に寄ってくれません。
一人で眠るのが寂しいです。
腕のアザが薄く黄色くなり、体力を戻す為に松葉杖を使って動く許可が出ました。
松葉杖を使うより、ヨルンガに支えられていることの方が多いのですけど。
宮殿で過ごす間、ランディック夫妻とウォルおじ様がそれぞれお見舞いに来てくれて、話し相手になってくださいました。
ウォルおじ様は、ザボン公爵には物申しておいたと言われるのですが、私の為にわざわざ、現役の筆頭公爵家に逆らうなど止めてほしいとお願いしました。
心配しているのに、ウォルおじ様は気にした風もなく笑っていました。
こんなに心配していますのに。
ニールおじ様とマリエおば様は、キース様とバン様の差し入れを、手紙と一緒に届けて下さいました。
意外なことにキース様はクリス様と、バン様はアンバー様との婚約が決まったと書かれてありとても驚きました。
キース様が辺境伯を世襲され、バン様はニールおじ様が所有されている伯爵位を引き継ぐそうです。
乗馬の好きなクリス様は妙に納得出来ましたが、バン様とアンバー様は意外でした。
妻より馬の方が好きな夫など考えられないと仰っていたのですから。
「バンはね、ああしているけど意外と一途なのよ。アンバー嬢が出席するパーティーに欠かさず参加して、その日のファーストダンスを必ず誘っていたわ。断られることの方が多かったようですけど。ほほほ。」
バン様が社交界の薔薇を射止め、キース様は隣国の王女の姪に当たられるクリス様との婚約を誇らしげにされています。
先日、公表され、領内はお祭り騒ぎだそうです。
私も、大好きな方々のご婚約に喜びました。
その後、マリエおば様は社交界の華やかな様子を細かく教えてくださって、私の足が治ったら連れていくと約束して下さいました。
「シーズンの終わる前に、歩くだけなら参加できるかもとガレヌス医師が仰っていました。ダンスと乗馬は止められましたが。」
「なら、その時期に合わせてドレスの新調をしましょう。また体型が変わるでしょうから。…今は痩せてしまったわね。」
悲しそうに私の痩せた頬を撫でていました。
「ご飯を沢山食べます。戻しますね。」
そして、私は、王妃のように素敵なお体になるのです。
そう宣言すると、美容クリームを届けさせると仰っていました。
マリエおば様も王妃のように御胸がふくよかで、細い腰をお持ちです。
一生懸命教えを乞うと、毎日のマッサージや、コルセットの巻き方、食事など細かくお話しして、サラとディーナと3人で沢山メモを取り、ふと見ると横で聞いていたニールおじ様は目をつぶって石のように固まっていました。
「ああ、そうだわ。ロルフ様とはどんな関係かしら?仲は良いの?」
「ロルフ様とですか?お友達だと言われております。」
楽しそうなマリエおば様になぜか尋ねると、最終日のダンスが好評だったようで、ラストのパートナーを務めた私達のことが時折、噂になってるそうです。
「ロルフ様と背の釣り合うご令嬢がいなくて1度も会場で踊ったことがないのよ。それが、初めてで、あんな素敵に踊られたから皆驚いてしまったの。ふふっ。」
「まあ…。」
あの会場のことを思い出して、ふと不安になりました。
「マリエおば様。あの、…他はどんな噂がありますか?私、あの時…はしたなくも2曲続けて踊ってしまって。」
「ああ、その事ね。サフィア様との婚約でそんなに目立っていないから安心なさい。」
「…でも、我が家に、迷惑をかけていませんか?私、こんなに目立ってしまって。…ロルフ様とのことまで噂になってしまうなんて、私の身分で恐れ多い…。私、恥ずかしいです…」
「あら…もうすぐ第三王子とウルリカ嬢との婚約も公表されるのよ。めでたいことに我が国から二人も王族に輿入れをするの。不要な噂はすぐに消えるわ。ふふ、大丈夫。ザボン公爵がお許しにならないから。」
項垂れる私の手を握り、励ましてくださいました。
「ロルフ様とのダンスが好評でまた見たいと周りは望んでるのよ。足が治ったら披露なさい。ロルフ様の評判のお役に立つから。分かった?」
「…はい。」
本当に私で良いのでしょうか。
不安は消えません。
こうしてランディック夫妻とウォルおじ様が来られましたが、お母様達は来ないのです。
お手紙も。
きっと、何か失敗してしまったのです。
何が失敗かも分かっていないのだと。
第二王子とのお話も、耳を塞いで嫌がってしまって。
どこから失敗していたのでしょうか。
いつからでしょうか。
小さい頃のお転婆のせいでしょうか。
本当に、皆さんと同じようにしているつもりなのです。
私の何がいけないのか。
本当に、自分の頭が悪くて。
頭がぐるぐるしてるはずなのに、胸が回るような気持ち悪さでその夜はまた、ガレヌス医師の吐き気止めを口に突っ込まれました。
この臭いは、シピ達には刺激になるそうで側に寄ってくれません。
一人で眠るのが寂しいです。
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