鬼人の姉と弓使いの俺

うめまつ

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42,子犬の扱い

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疲れた。

ぐったりして、反応するだけで放置された下半身はむずむずするし、今度は髪の毛の手入れだと頭に香油をぶちまけられた。

「こんな綺麗な黒髪は珍しいから料金は取らないよ」

その代わり新人の練習台。

中休みから夕方までこの部屋を貸し切りにしていたし、俺が抵抗したせいでチイネェ放ったらかしで俺の世話をしたから俺だけ暇が余ってる。

皆を困らせた罰だとロブさんがからかってた。

新人だという女性三人に囲まれてエルドラさんが手入れの指導をしている。

髪質で薬や香油を変えると講義していた。

肌もここの客の中では珍しいくらい薄いと言って二の腕に色々塗って、これは使える、これは赤くなるからだめだと実験された。

自分の脇や下半身を見てぎょっとした。

つるつる。

ロブさんの腕くらい。

産毛もない体にされてしまった。

てか、ここの人の腕は全員つるつる。

最初の軟膏で根本から毛を溶かして香油で育たなくするらしい。

効果は個人差があるけど2、3か月だって。

女の人に子犬か何かのように構われて、俺は椅子の上で反応した下半身を隠すために足を曲げて小さくなってる。

仕事を絡めた真面目な空気だけど、俺の反応が楽しいらしく新人以外の人も俺を構いに来る。

「こんなに若い男の子の手入れは久しぶり」

「純な感じ。たまには新鮮でいいわ」

「そうね、渋いおじ様や肉体美の剣士も良いけど」

「私は花街のお客様のお世話が楽しいわ。太っ腹だし、同じ女性で気楽なのよね」

「あら、私は苦手。気難しい人もいるでしょう?」

それぞれが好みの客の話をしている。

「この子、反応が良くて楽しいわ」

ツンツンとうなじをつつかれてビクッと跳ねると回りは嬉しそうに笑った。

「ねえ、手入れ以外はしないの?エルドラさん、しちゃだめですか?」

「ひぅ、」

つるんと後ろから肩を滑って鎖骨まで撫でられ、息を飲むような悲鳴をこぼした。

クスクスと頭の上に降りかけながら鎖骨の溝をしつこくなぞって俺がびくびくと怯えるのを楽しんでる。

「こうやって血の巡りを良くするのよ?」

「手のひらのマッサージを教えてあげる」

「私は足ね」

エルドラさんが何と答えたか聞こえなかったし見てなかったけど次々に手が伸びてきた。

「ま、って」

「ふふ、からかい甲斐のある子ね。大丈夫よ、大事なことを教えてあげるから」

「ちゃんと教えてあげるからしっかり覚えるのよ?」

「打ち身なんかのマッサージはこうするの」

分かる?と聞かれて正直に分からないと答えた。

そう言うと何が違うとかどうしたらいいとか、細々教えてくれた。

「親切にありがとうございます」

「チサキ様のお連れだからね」

「遠征先でチサキ様のメンテナンスはお願いね。私達、とてもご贔屓にしていただいてるの」

「あなたも自分の体を大事にしてね?怪我をすると悲しいわ」

再度お礼を伝えて頭を下げた。

結局、むず痒い触り方は最初だけであとからは真面目に打ち身や捻挫なんかの対処やマッサージの指導だった。

落ち着かなかった下半身は大人しくなって腰巻きの中にちゃんと収まってる。

チイネェを待ってる間、飲み物や果物も用意されていたから少し飲み食いして過ごす。

おしゃべりも俺へのイタズラも済んでそれぞれが仕事を再開したら、衝立の奥で作業をするロブさんがこちらを振り向いた。

「そっちは終わったようだね。もう少しで終わるからまだ待っててね?それともお風呂にでも行ってくる?」

頷くと女性の一人が案内してくれると言うので招かれるまま立ち上がる。

「あ、わっ」

立ったら衝立の奥が見えると忘れていた。

慌てて背中を向けて目をそらしてしゃがみこんでしまった。

「あらあら」

「刺激的だったのかしら?」

かなりね!

かなり!

キセル片手にくつろいでるのはいつも通りだったけど、真っ裸のチイネェを中心に数人がかしずいてた。

背もたれの傾きが深い椅子に頭を預けて伸ばした片足に椅子に腰かけたエルドラさんがカミソリを当ててた。

もう片方の足は肘掛けにかけて、大きく開いた足の間にロブさんがしゃがんで手を女の人の大事なところに手を入れしてて。

なんで?

なんでロブさんがすんの?

固くなりそうなのに目に入った光景がショックで萎れた。

「う、ぐずっ」

くそ、マジで身内のこういうのはきっつい。

目をそらして豪華なこの個室を後にした。
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