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4日目
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まどろみの中夢を見た
何十年ぶりだろう
もしかしたら忘れている1年間にも見たことがあるかもしれないけれど
それはとても暖かい夢で
まだ見ていたくなるくらいで……
「ぃ……ぉ…………」
優しい声が聞こえる
もう少し、もう少しだけ
「お……ろ」
もう少しだけ寝かせてってば…
「起きろー。椛ー」
「んー………」
「起きないとキスするぞ」
慌てて目を開けて体を起こす
横を見ると笑いをこらえているカスミがいた
「オハヨーゴザイマス」
思ったより距離も近くてつい棒読みになってしまった
変に思われなかっただろうか…
「俺のこと、わかる?」
「カスミセンセー」
「あれ、覚えてた?」
その言葉に少しカチンとする
いくら私が記憶が飛ぶと言っても失礼だと思う
少しムッとしつつも、自分の記憶が眠る前からほぼ変化がないとこに気がついた
空白の時間が殆ど無い
「なんで……」
動揺している私を見て、カスミは真剣な眼差しを私に向けてきた
「椛」
「なんですか?」
カスミの顔がさっきより真面目になり、その瞳で私をじっと見つめてくる
なんだかいたたまれなくて目をそらす
「椛がさ、俺と一緒にいる間は記憶がほとんど無くならないって言ったら、信じる?」
カスミの言葉に私は茫然としてしまう
この人は一体何を言っているのだろう
カスミがいるときは記憶をほとんどなくさない?
そんなことがあるわけがない
「馬鹿な事言わないでください!!」
「ちょ、椛…」
頭にきたせいで、カスミの声は私にはもう届いていなかった
「先生のそばに居るだけでずっと悩んできたことがどうにかなるなら、私の病気はとっくに治ってます!!」
イラついているせいか口調もきつくなってしまう
こんなのただの八つ当たりだ
わかってる
でもこの人はなんでも受け入れてくれそうで……
いつの間にか閉じていた目を開け、カスミを見ると、優しいけどどこか寂しそうな眼をして私を見ていた
「そうだよな。ごめん」
その言葉に胸が痛くなる
無くした記憶の一年弱……
カスミの存在が私の中でどんな存在だったのかなんて知らないけど
私の中で大切な存在だったということは痛むこの胸が教えてくれた
でも
私の中の何かがこの人を拒絶する……
「先生なんて大っ嫌いです」
「うん。知ってる」
カスミの言葉に、動揺してしまう
「な……んで」
「なんでって……」
クスっと笑ってカスミは私の頭をなでた
「変わんないな。おまえ」
「意味わかりません」
「それでいいよ。今は」
わからないけど、もう少し……この人に甘えてみたいと思ってしまった
何十年ぶりだろう
もしかしたら忘れている1年間にも見たことがあるかもしれないけれど
それはとても暖かい夢で
まだ見ていたくなるくらいで……
「ぃ……ぉ…………」
優しい声が聞こえる
もう少し、もう少しだけ
「お……ろ」
もう少しだけ寝かせてってば…
「起きろー。椛ー」
「んー………」
「起きないとキスするぞ」
慌てて目を開けて体を起こす
横を見ると笑いをこらえているカスミがいた
「オハヨーゴザイマス」
思ったより距離も近くてつい棒読みになってしまった
変に思われなかっただろうか…
「俺のこと、わかる?」
「カスミセンセー」
「あれ、覚えてた?」
その言葉に少しカチンとする
いくら私が記憶が飛ぶと言っても失礼だと思う
少しムッとしつつも、自分の記憶が眠る前からほぼ変化がないとこに気がついた
空白の時間が殆ど無い
「なんで……」
動揺している私を見て、カスミは真剣な眼差しを私に向けてきた
「椛」
「なんですか?」
カスミの顔がさっきより真面目になり、その瞳で私をじっと見つめてくる
なんだかいたたまれなくて目をそらす
「椛がさ、俺と一緒にいる間は記憶がほとんど無くならないって言ったら、信じる?」
カスミの言葉に私は茫然としてしまう
この人は一体何を言っているのだろう
カスミがいるときは記憶をほとんどなくさない?
そんなことがあるわけがない
「馬鹿な事言わないでください!!」
「ちょ、椛…」
頭にきたせいで、カスミの声は私にはもう届いていなかった
「先生のそばに居るだけでずっと悩んできたことがどうにかなるなら、私の病気はとっくに治ってます!!」
イラついているせいか口調もきつくなってしまう
こんなのただの八つ当たりだ
わかってる
でもこの人はなんでも受け入れてくれそうで……
いつの間にか閉じていた目を開け、カスミを見ると、優しいけどどこか寂しそうな眼をして私を見ていた
「そうだよな。ごめん」
その言葉に胸が痛くなる
無くした記憶の一年弱……
カスミの存在が私の中でどんな存在だったのかなんて知らないけど
私の中で大切な存在だったということは痛むこの胸が教えてくれた
でも
私の中の何かがこの人を拒絶する……
「先生なんて大っ嫌いです」
「うん。知ってる」
カスミの言葉に、動揺してしまう
「な……んで」
「なんでって……」
クスっと笑ってカスミは私の頭をなでた
「変わんないな。おまえ」
「意味わかりません」
「それでいいよ。今は」
わからないけど、もう少し……この人に甘えてみたいと思ってしまった
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