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7章 大切な人
話し合うこと
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「なんだよ、それ……」
その一言を呟いたきり雪愛は再び黙り込んでしまった
何をどう言っていいのかわからず私も黙り込んでしまう
意を決したように雪愛は口を開いた
「……海愛は、……俺が海愛といる事が幸せだって、何があってもお前といるのが幸せだっていったら……一緒にいてくれんの?」
「え?」
「俺は…正直さ、海愛が好きだって思った時に、海愛を好きなのかそれとも夢で見た女に似てるから好きなのかわからなくて、すごく悩んだんだ」
その気持ちは私は嫌というほどにわかる
前世を覚えているからこそ私はその苦しみがあった
前までは二人とも記憶を持っていたり、持ってなくても惹かれたりと幾度となくお互いを探してお互いに恋をしていた
けれど今世は雪愛にはイケ男の時の記憶はない
それに最初から惹かれてたわけでもないはず
だからこそ余計に、私は私の事情に雪愛を巻き込みたくないと思っていた
「でもさ、どっちの理由だとしても俺は海愛が好きだ。異性として…ちゃんと見てる」
「雪愛……」
「告白とかさ、返事はいらない。多分お前は人一倍悩むだろうから。だからお前の中で答えが出たら俺に聞かせてくれるか?」
「雪愛はそれで、いいの?」
「お前といれるならなんでもいいさ」
雪愛だけじゃない、恭介くん、セナ…
私に好意を寄せてくれてる人たちに対してちゃんと答えたい
「ちゃんと、ちゃんと答えるから、待ってて」
「ん、わかった。とりあえず飯食えよ」
そっと普段の笑い方に戻り、そのまま雪愛はスマホへ目線を落とした
私は進むべきだと、そう感じてる
雪愛への思いを捨てて、先に進もうとした
きっと恭介くんは私の答えをわかってるんだろう
私も、私自身の気持ちに答えを出さなくちゃいけない
トーストをカリカリとかじりながら、これからのことを考える
まず、恭介くんに向き合おう
それからセナ
そして、雪愛への気持ちを整理したい
心を決めた私はそっとチャットアプリを開いて、恭介くんにメッセージを送った
『今から会えるかな』
すぐに既読がついて、了解と言うスタンプが来る
待ち合わせ場所を送り、私は残りのご飯を食べれば服を着替えに自室へと戻る
「雪愛、私出かけてくるね」
「ん、遅くならないようにな」
「雪愛はお母さんかっ!」
「お前の保護者ではあるだろーが」
クスクスと笑う雪愛はやっぱり悔しいくらいにかっこいい
そうだね、不誠実になりたくない
私はちゃんと話してこなくては
簡単に着替えて、ふわりとカーディガンを羽織り、外へ出る
チャットアプリに通知が届く
待ち合わせ場所に指定した喫茶店についたという連絡だった
私も早く行かなくては
そう思い少し早足になりながら待ち合わせの喫茶店へと向かったのだった
その一言を呟いたきり雪愛は再び黙り込んでしまった
何をどう言っていいのかわからず私も黙り込んでしまう
意を決したように雪愛は口を開いた
「……海愛は、……俺が海愛といる事が幸せだって、何があってもお前といるのが幸せだっていったら……一緒にいてくれんの?」
「え?」
「俺は…正直さ、海愛が好きだって思った時に、海愛を好きなのかそれとも夢で見た女に似てるから好きなのかわからなくて、すごく悩んだんだ」
その気持ちは私は嫌というほどにわかる
前世を覚えているからこそ私はその苦しみがあった
前までは二人とも記憶を持っていたり、持ってなくても惹かれたりと幾度となくお互いを探してお互いに恋をしていた
けれど今世は雪愛にはイケ男の時の記憶はない
それに最初から惹かれてたわけでもないはず
だからこそ余計に、私は私の事情に雪愛を巻き込みたくないと思っていた
「でもさ、どっちの理由だとしても俺は海愛が好きだ。異性として…ちゃんと見てる」
「雪愛……」
「告白とかさ、返事はいらない。多分お前は人一倍悩むだろうから。だからお前の中で答えが出たら俺に聞かせてくれるか?」
「雪愛はそれで、いいの?」
「お前といれるならなんでもいいさ」
雪愛だけじゃない、恭介くん、セナ…
私に好意を寄せてくれてる人たちに対してちゃんと答えたい
「ちゃんと、ちゃんと答えるから、待ってて」
「ん、わかった。とりあえず飯食えよ」
そっと普段の笑い方に戻り、そのまま雪愛はスマホへ目線を落とした
私は進むべきだと、そう感じてる
雪愛への思いを捨てて、先に進もうとした
きっと恭介くんは私の答えをわかってるんだろう
私も、私自身の気持ちに答えを出さなくちゃいけない
トーストをカリカリとかじりながら、これからのことを考える
まず、恭介くんに向き合おう
それからセナ
そして、雪愛への気持ちを整理したい
心を決めた私はそっとチャットアプリを開いて、恭介くんにメッセージを送った
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