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「なっ……何を!」


ネーディア公爵は大きな声で叫ぶ
まぁ、俺の言葉に驚いたのだろう


「す、すまない。もう一度言ってくれないか」

「ネーディア嬢との婚約しました」

「何でもう過去形なんだ!?」


バァン!と大きな音を立て机を叩くネーディア公爵
まぁ、公爵に通す前にレモに婚約を申し込んだからな
しかたない


「ネーディア嬢には彼女が嫌ならばいつでも破棄して構わないと伝えてあります」

「……はぁ……いや、まぁレモがいいのなら構わないのだが……」

「ネーディア公爵としても私との婚約と言うのはいいけどだと思うのですが」

「ふむ……」


少し悩んだあと、ネーディア公爵は頷いた


「貴方の家柄なら……私としても有り難いですが…やはり、利益ではなく、私は娘に幸せになってほしいのです。それだけは理解してください」

「わかっています。まだ年も私は7歳ほどです。ネーディア公爵の親心のすべてがわかるわけではありませんが………ネーディア嬢の幸せを私も願っています」


俺の言葉にネーディア公爵は頷いた
そして感極まったのか、上を向き、涙をこぼさないようにした


「レモンを、お願いします」

「はい。ネーディア嬢を必ずお守りします」



そうしてネーディア公爵の部屋を後にする
外に出るとレモのメイドのアンが立っていた


「リナリア様」

「アン、だね。どうかしたのかい?」

「……リナリア様には幸せになっていただきたい」

「それは……君が使なのも関係してるのかな?」


俺の言葉にアンは少し眉を動かした
そして首を横に振り、俺の前に跪く


「レモン様のことを守れるのは貴方だけだと思っています」

「やめてくれよ。君に頭を下げられるのは流石に困るな」

「すべてお見通し、でしたか」

「君だってそうじゃないか。でも、そうだね。レモの事は必ず幸せにする」

「…ありがとうございます」


そしてアンは俺に頭を下げると仕事に戻っていった


ネーディアの血。その意味を理解するまで時間はかからなかった


ネーディアの血筋は女にのみ受け継がれる魔法の力があるらしい

レモンの力は多分何者かによって封じられているのだろう
それが転生者として魔法が発動してしまったがために封じられているのか、はたまた別の要因か……


仮にレモの血筋が魔法が使える家系でも関係ない

俺はただ純粋に彼女に恋をした。
ただそれだけなのだから


俺は窓から外に出ると、レモの部屋の前まで走り出す。

またいつもの俺専用の出入り口から彼女にあうために

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