婚約破棄? 国外追放?…ええ、全部知ってました。地球の記憶で。でも、元婚約者(あなた)との恋の結末だけは、私の知らない物語でした。

aozora

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 夕暮れの静かな裏路地に、震える声が響き渡った。

「エリアーナお嬢様……! ああ、本当に……生きていらしたのですね、お嬢様!」

 その言葉は、リナの心臓を直接鷲掴みにするような衝撃を与えた。胸の奥が、ぎゅうっと締め付けられる。

 エリアーナ。

 その名が、リナの頭に鋭い痛みを走らせた。まるで、強固に閉ざされていた蓋が軋む音を立てるかのように。脳裏には、混沌とした光景が嵐のように渦巻く。豪華なシャンデリアが輝く広間、陽光が降り注ぐ美しい庭園。そして、冷たい紫の瞳に見つめられる、あの、背筋が凍るような瞬間――。

「うっ……!」

 思わずこめかみを押さえるリナの肩を、背後から大きな手がそっと支える。ケインだった。

「大丈夫か、リナ」

 彼の低い声が、混乱する意識をかろうじて繋ぎとめてくれる。

 目の前では、アンナと名乗った女性が、散らばった荷物もそのままに駆け寄ろうとしていた。その目からは大粒の涙がとめどなく溢れている。

「お嬢様! ああ、お嬢様! 夢では……夢ではないのですね!? 私、ずっと信じておりました……! お嬢様が、あのような罪を犯すはずがないと……っ! ……いえ、何でもございません! ただ、無事でいらして、本当に……!」

 アンナの言葉は、リナにとって意味の分からない単語の羅列でしかなかった。けれど、彼女の瞳に宿る純粋な喜びと安堵は、確かにリナの胸を打つ。

 リナはケインの腕に支えられながら、かろうじて声を絞り出した。

「ごめんなさい……。私、あなたのことだけでなく、自分のことも、よく思い出せなくて……。ただ、あなたの涙が、胸に痛くて……」

 その言葉に、アンナはハッとしたように動きを止め、それから一層悲しげに顔を歪ませた。

「そう、でしたわ……。『忘却の罰』……。ああ、なんて酷いことを……!」

 アンナが再び何かを言い募ろうとした、その時だった。

 路地の入り口から、複数の足音が響いてきた。それは統率の取れた、硬質な響き。反射的に視線を向けたケインの表情が、瞬時に険しくなる。

 現れたのは、王家の紋章を刻んだ銀色の鎧に身を包んだ、五人の騎士たちだった。その佇まいは、ケインのような辺境警備のそれとは明らかに違う、精鋭だけが放つ冷徹な空気をまとっている。

 先頭に立つ隊長らしき男が、鷲のような鋭い目でリナを捉え、手にした羊皮紙を広げた。

「貴様が、例の『辺境の奇跡の薬師』とやらか」

 威圧的な声に、アンナがびくりと肩を震わせ、リナを庇うように一歩前に出る。

「な、何ですの、あなたたちは! この方に何かご用ですの!?」

 しかし、隊長の視線はリナから外れない。彼はアンナを一瞥だにせず、冷ややかに告げた。

「黙れ。余計な口を挟むな。用があるのはその女だ。リナと名乗る者よ。貴様を、王宮御用達の薬師の名を騙り、違法な薬を売りさばいた詐欺及び不敬の罪で、この場で逮捕する!」

「な……!?」

 ケインが息を呑む。そんな馬鹿なことがあるか。

 リナが作った薬は、シエル・テラ村の人々を救った奇跡の薬だ。違法であるはずがない。ましてや、彼女が王宮の名を騙ったことなど一度もない。

 これは、罠だ。

 ケインは即座に理解した。王都に来てからずっと感じていた、まとわりつくような不穏な視線。その正体が、今、牙を剥いたのだ。

「待て! これは明らかに罠だ! リナがそのようなことをするはずがない! ……すぐに、この件の再調査を申し入れる!」

 ケインはリナの前に立ちはだかり、腰の剣の柄に手をかけた。彼の紫の瞳が、怒りの炎で燃え上がっている。

 だが、隊長の男は鼻で笑った。

「ほう、辺境帰りの騎士がかばうか。だが無駄だ。これは国王陛下の名の下、近衛騎士団が発行した正式な逮捕令状だ。一介の騎士ごときに、これを覆す権限はない」

 隊長はひらりと令状を見せつける。そこには、確かに国王の印璽が押されていた。

 ケインは歯を食いしばる。アリステア王子としての身分を明かせば、この場を収めることはできるかもしれない。だが、記憶を失った今、自身の正体を明かすことが、どれほどの波紋を呼び、王家を、ひいてはこの国を揺るがすことになるか、想像もつかない。

 何より、この逮捕劇そのものが、ケイン―――いや、王子アリステアの動きを封じるための、敵の巧妙な罠である可能性すらあった。焦りが、彼の紫の瞳を鈍く揺らす。

「……っ、そんな……! お嬢様は、何も……!」

 アンナが悲痛な声を上げる。

 騎士たちが、じりじりと距離を詰めてくる。その無慈悲な目に、リナは唇を固く結んだ。

 恐怖で心臓が震える。けれど、それ以上に、この理不尽な状況に、自分を庇おうとするケインと、ようやく再会を果たしたアンナという女性を、巻き込むわけにはいかないという強い思いが胸を締め付けた。もし自分が抵抗すれば、彼らも無傷では済まされないだろう。その思いが、か細いリナの体に、不屈の力を与えた。

 リナは、自分を庇うケインの逞しい背中に、そっと手を触れた。

「ケインさん……お願い、やめてください。私が抵抗すれば、あなたまで……っ。……私なら、大丈夫ですから。あなただけは、無事でいて……」

「リナ……?」

「馬鹿なことを言うな! こんな理不尽な罪で、お前を渡せるものか! 俺が、絶対に守る!」

 ケインの叫びは悲痛だった。しかし、リナは静かに首を横に振る。彼女の翠の瞳には、恐怖を押し殺した、凛とした光が宿っていた。

 その瞳に、ケインは一瞬、記憶の奥底にいる誰かの姿を重ねた。常に冷静で、どんな時も気丈に振る舞っていた、蜂蜜色の髪の少女の姿を。

 リナが自ら一歩前に出たことで、騎士たちはためらいなく彼女の両腕を掴んだ。冷たい鉄の手甲の感触に、リナの体が小さくこわばる。

「連れて行け」

 隊長の命令一下、リナの体は無造作に引かれていく。

「リナッ!」

 ケインが手を伸ばすが、他の騎士たちが剣を抜き放ち、その行く手を阻んだ。

「お嬢様! エリアーナお嬢様ぁっ!」

 アンナの泣き叫ぶ声が、夕暮れの空に虚しく響く。

 石畳の上を引きずられるように連れて行かれながら、リナは一度だけ振り返った。

 自分を捕らえた騎士たちを、今にも斬りかからんばかりの形相で睨みつけるケインの姿。

 ―――どうして、そんな顔をするの。

 まるで、自分の半身を引き裂かれたかのような、絶望と怒りに満ちた顔を。

 胸が、きゅうっと痛んだ。

 やがて路地を抜け、待機していた馬車に押し込められると、リナの視界から王都の街並みは完全に遮断された。

 ◇◇◇

 リナが連れてこられたのは、王城の地下深くに設けられた牢獄だった。

 ひやりと冷たく、黴臭い空気が肌を刺す。遠くから滴り落ちる水の音だけが、不気味に響いていた。

 鉄格子が閉まる重々しい音と共に、リナは完全に一人になった。

 わらさえ敷かれていない硬い石の床に、力なく座り込むリナの心に、冷たい絶望が募っていく。

 これから自分はどうなるのだろう。処刑される、という言葉が現実味を帯びて迫ってくる。

 記憶がない。自分が誰で、何をしてきたのかも分からない。そんな自分が、詐欺師だと言われ、罪人としてここにいる。

 言いようのない孤独と不安が、冷たい霧のように心を覆っていく。

 (ケインさん……)

 脳裏に浮かぶのは、あの銀色の騎士の姿ばかりだった。彼がそばにいてくれたら。あの温かい手に触れることができたなら。

 そんな叶わぬ願いを抱き、膝を抱えていた、その時。

 暗い廊下の向こうから、カツン、カツン、と優雅な靴音が近づいてきた。

 松明の明かりに照らされて現れたのは、牢の雰囲気にはおよそ不似合いな、豪華絢爛なドレスをまとった一人の令嬢だった。

 炎のように燃える赤い髪。計算高く輝く金の瞳。扇子で口元を隠したその顔には、見る者を凍てつかせるような、冷たい笑みが浮かんでいる。

 リナは、その女性の顔に見覚えはなかった。

 だが、全身の細胞が警鐘を鳴らす。魂が、この女は敵だと、本能で叫んでいた。

 令嬢は鉄格子の前で足を止め、品定めするようにリナを上から下まで眺めた。その視線は、路傍の石ころを見るように侮蔑に満ちている。

「ごきげんよう、エリアーナ・フォン・クライフォルト。……いいえ、今はしがない辺境の薬師、リナ、だったかしら?」

 絹のように滑らかな声には、隠しきれない悪意が蜜のように絡みついていた。

「あなたは……?」

 リナが問い返すと、令嬢はくすくすと喉を鳴らして笑った。

「まあ、わたくしのことまでお忘れになったの? イザベラ・マーロウですわ。あなたさえいなければ、次期王妃になるはずだった女、とでも言っておきましょうか」

 イザベラ、という名前に、リナの頭の中で何かが引っかかった。断罪の場で、偽りの証言をしたという、あの……。

 イザベラは、そんなリナの微かな反応を楽しんでいるかのように、言葉を続ける。

「本当に愚かな方ね。大人しく辺境で野垂れ死んでいれば、よかったものを。まさか、のこのこと王都へ戻ってきてくださるなんて。……ふふ、おかげで、二度手間が省けましたわ」

 扇子を広げ、優雅に顔を扇ぎながら、イザベラはうっとりと目を細める。

「あなたはいつもそう。わたくしが欲しいものを、いつも、いつも簡単に手に入れてしまう。アリステア殿下の隣も、その不思議な薬師の才能も……。本当に、虫唾が走る」

 嫉妬と憎悪に歪んだ声。

 リナは黙ってイザベラを見つめ返した。記憶はなくとも、この女が自分を陥れた張本人であることは、疑いようもなかった。

「目的?」

 イザベラは心底おかしそうに笑った。

「目的? あら、ご冗談を? 決まっているでしょう、あなたの完全なる排除、ですわ」

 金の瞳が、残酷な光を宿す。

 イザベラは鉄格子に指をかけ、リナの耳元に囁くように、決定的な宣告を告げた。

「あなたには、詐欺罪に加えて、禁術を用いて王家転覆を企てたという、大逆罪の容疑もかけさせていただきましたわ。もちろん、証拠も証人も、こちらで完璧に用意してあります」

「……!」

「裁判など、形式だけのもの。あなたの処刑は、明後日の朝に決定いたしましたのよ」

 処刑。

 その言葉が、冷たい刃のようにリナの胸を突き刺す。

 イザベラは、恐怖に目を見開くリナの顔を見て、満足げに微笑んだ。

「これでようやく、全てがわたくしのものになる。アリステア殿下も、この国の未来も。あなたは、歴史から消え去る罪人として、惨めに死んでいくのです。……殿下もきっと、安堵なさるでしょうね。国を脅かす穢れた魔女が、ようやくこの世から消え失せるのですから。……ええ、心底お喜びになるはずだわ」

 勝ち誇った笑い声を残し、イザベラは優雅に踵を返した。カツン、カツン、という靴音が、暗い廊下の向こうへと遠ざかっていく。

 再び、静寂と暗闇がリナを包んだ。

 わらさえ敷かれていない硬い石の床に、力なく座り込むリナの心に、冷たい絶望が募っていく。処刑。死。自分は何も知らないのに。何も覚えていないのに。理不尽な宣告が、まるで凍てつく鎖のように彼女を縛り付ける。

 だが、その底知れない絶望の淵で、リナの翠の瞳の奥に、小さな、しかし確かな炎が宿った。

 怒りだった。

「……っ、馬鹿なことばかり……! 私が何をしたというの! 記憶もない私を、こんな理不尽な罪で、奪おうとするなんて……! 決して、許さない……!」

 身体の奥底から、抗いがたい感情が湧き上がる。

 (私は、私自身を……誰にも渡さない……!)

 そして、もう一つ。心の奥底で、強く願う声があった。

 (ケインさん……)

 もう一度、会いたい。

 たとえ、これが最後になるのだとしても。

 彼の顔を、もう一度だけ。

 リナは唇を強く噛みしめた。鉄の味が、口の中に広がる。

 その頃。

 リナを乗せた馬車の砂埃が、夕闇に溶けて消える。ケインは、まるで魂の半分を引き裂かれたかのように、その場に立ち尽くしていた。だが、その胸に宿る怒りと絶望は、やがて、鋼のような決意へと変貌する。

 王都の夜を、一人の騎士が疾風のごとく駆けていた。

 向かう先は、彼がかつて住んでいた場所。彼が、王子として全てを采配できた場所。

 ケイン―――アリステアの紫の瞳は、夜の闇よりもなお深く、冷たく燃える決意の光を宿していた。

 彼女を、リナを、必ず奪い返す。

 たとえ、この身に宿る全ての記憶と、未来、そして王家の名誉すら賭けることになったとしても。

 もう二度と、失うものか。

 彼の魂が、そう絶叫していた。
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