婚約破棄? 国外追放?…ええ、全部知ってました。地球の記憶で。でも、元婚約者(あなた)との恋の結末だけは、私の知らない物語でした。

aozora

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 ケインは、静かに手のひらの上のガラス瓶を見つめていた。

 透明な液体が、わずかに揺れる。

 中に何が収められているのか、彼には知る由もない。

 しかし、その紫水晶の瞳に迷いはなかった。

 謁見の間の誰もが、固唾を呑んで彼の一挙手一投足に視線を集中させている。

「ケインさん! 駄目、そんなこと……やめてっ!」

 リナの悲鳴のような声が、張り詰めた静寂を微かに揺らした。

 だが、彼は振り返らない。

 ただ、一点を見据えるように、真っ直ぐに前を向いていた。

「もしこれが毒なら……お前を巻き込むわけにはいかん。俺が死ぬだけだ」

 低い声が、静寂を切り裂いた。

 その言葉は、まるで自分自身に言い聞かせているかのように、謁見の間に響き渡る。

 ケインは迷わず、瓶の口を自身の唇に当てた。

 ごくり、と喉が鳴る音が、やけに大きく響いた。

 迷いなく、一気に内容物を飲み干す。

 空になったガラス瓶が、カラン、と乾いた音を立てて大理石の床を転がった。

 その小さな音だけが、張り詰めた静寂の中に、どこまでも響き渡る。

「ケインさん……っ!」

 リナの悲鳴のような声が、再び彼の背中に突き刺さった。

 どうして。

 どうして、そんな無謀なことを。

 もし、イザベラ様の言う通り、あれが本当に毒だったら……?

 リナの全身から、すうっと血の気が引いていく。

 指先は氷のように冷たくなり、自分の心臓の音が、どくん、どくんと大きく耳に響いた。

 ケインは、リナを庇うように立ったまま、ぴくりとも動かない。

 その絶対的な沈黙が、リナの不安を極限まで煽り立てる。

「ふ、ふふ……あははははっ! ご覧なさいませ、陛下! あの下賤な村娘の作った薬を信じ、自ら毒を呷るとは……さすがは辺境帰りの蛮族騎士ですわね! 愚かしいこと、この上ありませんわ!」

 最初に静寂を破ったのは、イザベラの甲高い嘲笑だった。

 彼女は扇子で口元を隠し、勝利を確信したような目でケインを見つめている。その瞳には、嫌悪と、冷酷な歓喜が宿っていた。

「陛下! ご清聴くださいませ! あの男は罪人の作った毒を飲み、まもなく絶命するでしょう! これで、かの女の罪は、万人の前で確定したのですわ!」

 イザベラが勝ち誇ったように叫ぶ。

 衛兵たちが再び身構え、国王陛下は険しい表情のまま、玉座からわずかに身を乗り出した。

 違う、絶対に違う!

 あれは、毒なんかじゃない……!

 私が、魂を込めて作った、誰かを救うための薬なのよ……! 希望の光のはずなのに……っ。

 なぜ、ケインさん……なぜ、あなたは動かないの……?

 リナの翠の瞳から、大粒の涙が零れ落ちそうになった、その瞬間だった。

「ぐっ……ぅ……!」

 ケインの喉から、押し殺したような呻き声が漏れた。

 彼の屈強な体が、がくりと大きく揺れる。

 片手で額を強く押さえ、もう片方の手は胸元を鷲掴みにしていた。

 その姿は、確かに毒に苦しんでいるようにも見えた。

「ケイン様!」

 イザベラが、歓喜に震える声を上げた。

 しかし、リナだけは気づいていた。

 彼の様子は、単なる肉体的な苦痛とはどこか違う。

 まるで、その魂が内側から引き裂かれるような、もっと根源的な何かに苛まれているように見えた。

「あ……がっ……!」

 ケインの紫水晶の瞳が、苦悶に見開かれる。

 その瞳に映っているのは、もはやこの謁見の間ではない。

 彼の精神は、今、別のどこか遠い場所へ飛ばされているのだ。

 ――――白銀の騎士の脳裏に、記憶の奔流がなだれ込んでいた。

 知らないはずの光景。

 聞いたこともないはずの音。

 感じたことのないはずの香り。

 陽光が降り注ぐ、王宮の庭園。

 ガラス張りの温室の中で、蜂蜜色の髪をした少女が、一冊の本を熱心に読んでいる。

 風に揺れる柔らかな髪。

 真剣な眼差しで頁を追う、穏やかな翠の瞳。

「何を読んでいるんだ、エリアーナ?」

 自分のものとは思えない、少しだけ若い声が響いた。

 少女が顔を上げ、驚いたように目を見開く。

「……殿下。アリステア殿下」

 アリステア?

 誰だ、それは。

 俺は、ケインだ。

 だが、思考とは裏腹に、記憶の光景は止まらない。

「古代魔法言語の文献を。……殿下こそ、剣の訓練中では?」

「少し、息抜きにな。……君も、たまには息抜きをしたらどうだ」

 少女の隣に腰を下ろす。

 ふわりと、甘く爽やかな薬草の香りがした。

 リナの香りだ。

 いや、違う。この少女はリナではない。

 もっとずっと華やかで、どこか近寄りがたい雰囲気を纏っている。

 なのに、なぜだ。この胸を締め付けるほどの愛おしさは……一体、何なのだ……?

 場面が変わる。

 夜会だ。

 煌めくシャンデリアの下、着飾った貴族たちが談笑している。

 自分は、第一王子として、多くの令嬢に囲まれていた。

 だが、視線はただ一人を追っていた。

 壁際に立ち、喧騒から逃れるように静かに佇む、婚約者の姿を。

 彼女は、こういう場所が苦手なのだと、自分は知っていた。

 聡明で、冷静で、誰にも媚びない。

 政略で結ばれた関係。

 だが、いつしか自分は、本気で彼女に惹かれていた。

 その本心を、一度も伝えられないまま……。

 そして、最悪の記憶が蘇る。

 卒業パーティーの夜。

 大勢の貴族たちの前で、愛する女に婚約破棄を告げている自分の姿。

 イザベラが差し出した、偽りの証拠。

 禁術に手を出したという、ありえない罪状。

 信じたくなかった。

 だが、王族として、私情を挟むことは許されない。

 苦悩の末に下した決断。

 彼女は、どんな顔をしていた?

 ああ、そうだ。

 彼女は……少し驚いたあと、全てを諦めたような、寂しい笑みを浮かべていたのだ。

 なぜ、あの時、彼女の無実を信じ抜いてやれなかったのだ。

 なぜ、守ると誓ったはずの手を、自ら振り払ってしまったのだ。

 後悔と絶望が、灼熱の炎となって魂を灼く。

 溢れ出す記憶の濁流の中で、ただ一つの名前だけが、光のように輝いていた。

 俺が愛し、そして裏切った、たった一人の女性の名前が。

「……エ……リ……ァ……ナ……」

 掠れた声が、ケインの唇からかろうじてこぼれ落ちた。それは、魂の奥底から絞り出された、切実な響きを持っていた。

 それは、謁見の間にいる誰もが知らないはずの名前。

 だが、その声は雷鳴のように、リナの心を貫いた。

 ケインが、ゆっくりと顔を上げる。

 額を押さえていた手がだらりと落ち、焦点の合わなかった紫の瞳が、まっすぐにリナを捉えた。

 その瞳に宿っていたのは、もはや単なる庇護欲や、説明のつかない引力ではなかった。

 そこには、深い後悔と、焦がれるような愛情と、そして、失われた時を取り戻そうとするかのような、痛切なまでの想いが渦巻いていた。

「エリアーナ……!」

 もう一度、彼ははっきりとその名を紡いだ。

 リナの肩が、びくりと震える。

 知らない名前。

 私の名前は、リナ。

 フィンがつけてくれた、大切な名前だ。

 なのに、なぜだろう。

 彼にそう呼ばれると、魂の奥底が、共鳴するように震えるのだ。

 まるで、ずっと昔から、その声で、その響きで、呼ばれ続けてきたかのように。

 ケインの視線が、リナの蜂蜜色の髪を、翠の瞳を、その全てを確かめるように彷徨う。

「そうか……お前、だったのか……ずっと……俺は……」

 途切れ途切れの言葉。

 その言葉が引き金になったかのように、リナの頭の中にも、まばゆい閃光が走った。

 ――――それは、優しい記憶の欠片。

 柔らかな陽射しが差し込むテラス。

 目の前には、銀色の髪をきらめかせる、美しい青年が座っている。

 今日の彼は、いつも着ている堅苦しい王族の礼服ではなく、もっとラフなシャツ姿だ。

 その姿が新鮮で、胸が、少しだけ高鳴ったのを覚えている。

「……殿下、何か?」

 自分の声が聞こえる。

 どこかよそよそしくて、感情を抑えた声。

 青年――――アリステアは、少し困ったように眉を下げて、小さな花束を差し出した。

「君が……好きだと言っていた、カモミールだ。薬草園の者に、少し分けてもらった」

 白い花びらと、黄色い花芯。

 甘く、心を落ち着かせる香り。

 驚いて彼を見つめると、彼は照れたように視線を逸らした。

「君はいつも、難しい本ばかり読んでいるだろう? たまには、心も休ませてやらないと、な」

 不器用な優しさ。

 政略結婚の相手。

 そう割り切っていたはずの胸に、温かい何かがじんわりと広がっていく。

 それが恋だと気づくのが、少しだけ、怖かった。

「……ありがとうございます」

 花束を受け取った指先が、ほんの少しだけ、彼の指に触れた。

 その瞬間の、心臓が跳ねる音まで、やけに鮮明に思い出せる。

 ――――はっ、とリナは息を呑んだ。

 目の前にいるケインの姿が、記憶の中の銀髪の王子と、完全に重なる。

 アリステア。

 そうだ、あの人の名前は、アリステア。

 私の……私の、大切な……。

「……エリアーナ」

 ケインが、リナに向かって、震える手を伸ばす。

 その指が、リナの頬に触れる、寸前。

「ぐ……っ!」

 彼の体が、限界を迎えたように大きく傾いだ。

 無理やりこじ開けられた記憶の奔流は、彼の精神と肉体に、あまりにも大きな負荷をかけていたのだ。

 膝が折れ、強靭なはずの体が、まるで糸の切れた人形のように崩れ落ちていく。

「ケインさん! ケインさん、しっかりしてっ!」

 リナは衛兵の制止を振り払い、叫びながら駆け寄った。

 床に倒れ込む寸でのところで、その体をかろうじて受け止める。

 腕の中に感じる、ずっしりとした重みと、荒い呼吸。

 彼の額には玉の汗が浮かび、紫の瞳は固く閉じられていた。

 意識を、失っている。

「しっかりして! ケインさん!」

 リナは彼の肩を揺するが、反応はない。

 ただ、その口元には、安堵したような、微かな笑みが浮かんでいるように見えた。

 まるで、長い旅の末に、ようやく探し人を見つけたかのように。

「な……何が起こっているのです……!?」

 イザベラが、狼狽した声を上げた。

 毒を飲んだはずの男が、死ぬどころか、意味不明な言葉を口にして倒れた。

 彼女の完璧な脚本には、こんな展開は一文字も書かれていなかったのだ。

 謁見の間は、完全な混乱に包まれる。

 衛兵たちは駆け寄るべきか躊躇し、貴族たちは何が起きたのかと囁き合っている。

 その喧騒の中心で、国王だけが、厳しい表情のまま、ある一点を凝視していた。

 それは、ケインが最後に口にした、聞き覚えのある名前。

「……エリアーナ、だと……?」

 国王の呟きは、誰の耳にも届かなかった。

 腕の中で意識を失った騎士を抱きしめながら、リナはただ、彼の名を呼び続けることしかできなかった。

 蘇り始めた記憶の欠片。

 魂が覚えている、切ないほどの愛おしさ。

 二人の運命が、今、再び大きく軋みながら動き出そうとしていた。
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