5 / 20
05
しおりを挟む
あの日、体育館ほどの広さを持つ貯蔵庫に秘められた無限の可能性に胸躍らせてから、数日が流れた。
エリアーナは今、カイウスの駆る馬車の窓から、ヴァルヘイム公国の山岳地帯の雄大な景色を眺めていた。
目指すは、この国、いや、大陸全ての職人たちの頂点に立つと謳われる、ドワーフの工芸師ギデオン・ボルガの工房だった。
「彼は気難しい男だ。特に、人間と貴族を毛嫌いしている」
手綱を握るカイウスが、静かな声で言った。
「だが、彼が忌み嫌うのは、己の腕を磨く努力を怠り、空疎な身分に安住する者だけだ。君なら、きっと彼の心を動かせるだろう」
その横顔はいつものように涼やかだが、金の瞳の奥には、わずかな懸念が滲んでいた。
「私が行っても、おそらく話すら聞かないだろう。だからこそ、君自身が彼を説き伏せる必要がある」
「はい。覚悟はしております」
エリアーナは、膝の上で握りしめた拳に、さらに力を込めた。
「……今度こそ、私の言葉がただの空想ではないと、証明してみせます」
最高の設備と、無限とも思える材料。
カイウスが与えてくれたものは、エリアーナがかつて夢想することすらできなかった、まさに天恵とも呼べる、研究者にとっての楽園だった。
だが、カイウスが言う通り、それだけでは足りなかった。
頭の中に脈打つ、精緻を極めた設計図を、現実の物質世界に寸分の狂いなく刻み込むためには、神の指先すら凌駕するほどの、究極の精密加工技術が不可欠だった。
そして、それを成し得る唯一の存在が、ギデオン・ボルガなのだという。
「……彼らは、なぜそれほど人間を?」
ふと浮かんだ疑問を、エリアーナは口にした。
カイウスは少しだけ間を置いてから、静かに答えた。
「ドワーフは、自らが創り出したものが正しく使われることを何よりも重んじる。だが、人間の王侯貴族は、彼らの技術をただの贅沢品か、あるいは人を殺すための道具としか見なしてこなかった」
「……その歴史が、彼らを頑なにさせた」
その言葉の端々には、同族である人間、特に過去の愚かな支配者たちへの静かな軽蔑が滲んでいた。
きっとその中には、エリアーナの元婚約者であるアルフォンスのような人間も、含まれているのだろう。
やがて馬車は、ごうごうと流れる川のほとりに建てられた、巨大な水車が回る石造りの建物の前で止まった。
あれが、ギデオン・ボルガの工房らしかった。
建物に近づくにつれて、リズミカルに響く金属音と、熱気を帯びた空気が肌を撫でた。
扉を開けると、むせ返るような鉄と油の匂いが二人を迎えた。
工房の中は、さながら機械仕掛けの迷宮だった。
壁には無数の工具が整然と掛けられ、床には設計図らしき羊皮紙や、用途のわからない金属の塊が所狭しと並べられている。
その中央。真っ赤に焼けた鉄を巨大な金床の上に乗せ、ハンマーを振り下ろしている小柄な人影があった。
人間の尺度で六十代と見紛うばかりの、しかし並外れた膂力(りょりょく)を感じさせる小柄な男だった。
その肩や腕は丸太のように太く、全身が凝縮された鋼のような筋肉で覆われている。編み込まれた赤茶色の髭は、胸元まで豊かに垂れ下がっていた。
彼こそが、ギデオン・ボルガ、その人だった。
エリアーナたちの存在に気づいていながら、ギデオンは一瞥もくれず、ただ一心不乱にハンマーを振るい続けた。
キィン、と甲高い音が工房に響き渡り、真っ赤な火花が滝のように飛び散る。
その一打ち一打ちに込められた、圧倒的なまでの集中力と、神がかり的な技術。
エリアーナは、息を呑んでその光景に見入っていた。
やがて、納得のいく形になったのか、ギデオンは真っ赤な鉄塊を水槽に叩き込み、ジュッという激しい音と共に白い蒸気を立ち昇らせた。
そこでようやく、彼は顔を上げ、不機嫌そうな眼差しを二人に向けた。
「……公爵様が、こんな油臭ぇ場所に何の御用で」
その声は、深淵の底から響くかのように低く、まるで岩と岩とが擦れ合うような、野太い嗄声だった。
「紹介したい者がいる」
カイウスが簡潔に告げると、ギデオンの視線が、値踏みするようにエリアーナへと突き刺さった。
「ほう。グランツ王国から追放されたっていう、例の空想癖のお嬢様か。噂は聞いてるぜ」
その言葉には、棘を通り越して、あからさまな侮蔑が込められていた。
「ひょろりとした貴族のお嬢様が、ワシのような頑固爺に何の用だ? 壊れた首飾りの修理でも頼みに来たか?」
「ギデオン」
カイウスが咎めるように名を呼んだ。
「彼女は私の客人だ。それ以上の無礼は許さんぞ」
ドワーフの工芸師は鼻を鳴らしてそっぽを向いた。
「公爵様のご威光も、ワシの炉の前じゃただの風だ。用がねぇならとっととお帰り願おう。こっちは、あんたらの遊びに付き合ってるほど暇じゃねぇんでな」
完全に、門前払いだった。
しかし、エリアーナは怯まなかった。
むしろ、その揺るぎない職人としての矜持に、エリアーナは尊敬の念すら覚えていた。
彼女は一歩、前に進み出た。
「ギデオン様。私は、あなた様のお力をお借りしたく、参りました」
凛とした声で、エリアーナは告げた。
「作りたいものがあるのです。この世界にはまだ存在しない、全く新しい……奇跡の道具を」
「奇跡、だと!?」
ギデオンは、腹の底から可笑しいといったように、げっ、と喉を鳴らした。
「嬢ちゃん。ワシは職人だが、魔法使いじゃねぇ。奇跡なんぞ起こせるもんか。大方、王太子に聞かせたっていう『光で話す石』とやらの戯言だろう。そんなもんは、吟遊詩人にでも語って聞かせるんだな」
「戯言ではありません」
エリアーナは、きっぱりと否定した。
「精製土水晶に、万を超える極小の回路を刻み込むことで、それは実現できます」
「精製土水晶、だと!?」
ギデオンは、初めて興味らしき光をその目に宿した。
「ただの石ころじゃねぇか。ありふれた、何の価値もねぇ石ころだ。あれから不純物を取り除くなんざ、天地を創造した神でもなけりゃ無理な相談だ」
試されている。
エリアーナは直感した。これは、ギデオンが突きつけてきた、最初の試練なのだと。
「いいえ。神でなくとも可能です」
エリアーナは、すぅ、と息を吸い込んだ。
「ギデオン様は、不純物が多く混じった金属を精製する時、どうなさいますか?」
「……どう、とは?」
「一度全てを溶かし、ゆっくりと冷やしていく。そうすれば、純度の高い金属は先に固まり、不純物はまだ液体である部分へと追いやられる。その端を切り落とせば、より純粋な塊が手に入ります。あなた様も、そのようにされているはずです」
ギデオンは答えなかった。
だが、その眉がぴくりと動いたのを、エリアーナは見逃さなかった。
カイウスは、そんなエリアーナの背中に、静かな視線を送っていた。
その金の瞳には、「後は君の言葉でなければ意味がない」とでも言うかのような、深い信頼と期待の色が宿っている。
「それと同じことを、精製土水晶の塊で行うのです」
エリアーナは、まるで目の前に装置が浮かび上がっているかのように、澱みなく語り続けた。
その紫の瞳は、未来のビジョンを映し出すかのように爛々と輝き、熱を帯びていた。
「棒状にした水晶の端から、魔法で制御した熱源をゆっくりと移動させていく。溶けて、再び固まる、その境界面に、水晶に含まれる不純物が集められていくのです。それを何度も、何度も繰り返す」
「まるで、箒で塵を掃き集めるように、不純物を一方の端へと追いやっていく……。そうすれば、理論上は限りなく純粋に近い結晶が手に入ります」
エリアーナが語っているのは、ゾーンメルティング法、あるいはゾーンクリーニング法と呼ばれる、半導体製造の基礎となる技術だった。
この世界の誰も知らない、天から与えられた知識。
それを、目の前のドワーフが理解できる言葉に、エリアーナは必死で翻訳していく。
工房には、沈黙が落ちた。
ただ、炉の燃える音と、巨大な水車の回る音だけが、静かに響いている。
ギデオンは、腕を組み、エリアーナを睨みつけるように見つめていた。
その顔に浮かんでいた侮蔑の色は、いつの間にか消え失せ、代わりに驚愕と、深い思索の色が浮かんでいた。
「……嬢ちゃん。お前さん、なんでそんなことを知ってる?」
ようやく絞り出したような声で、ギデオンは尋ねた。
「ワシらドワーフは、長年の経験則で知っている。特定の熱の加え方をすると、鉱石の『癖』が変わることを。だが、それがなぜ起こるのか、その理屈までは誰も説明できなかった」
「……お前さんの話は、まるで、ワシの頭の中にあったもやもやとした霧が、一気に晴れていくようだ」
「まだ、お話ししたいことは山ほどあります」
エリアーナは続けた。
その声には、知への飽くなき探究心と、確固たる信念が宿っていた。
「結晶構造の歪みが、なぜ流電の通りを阻害するのか。なぜ、特定の元素をほんの僅かだけ混ぜ込むことで、流電の流れを自在に操れるようになるのか……」
「……やめろ」
ギデオンは、絞り出すような声で言った。その喉は、溢れんばかりの感動に詰まっているようだった。
「もういい。もうわかった。……お前さんの言うことは、戯言なんぞじゃねぇ。こいつは……ワシが一生をかけて追い求めてきた、モノづくりの『真理』そのものだ」
頑固なドワーフの工芸師は、まるで神託を聞くかのように、エリアーナの言葉に聞き入っていた。
少し離れた場所でその様子を見守っていたカイウスの口元に、満足げな笑みが浮かんだ。
エリアーナの、ほとばしるような知識と情熱が最高潮に達した、その瞬間だった。
工房の隅にあった廃材の山が、がさりと音を立てた。
三人の視線が、一斉にそちらへ向いた。
現れたのは、一匹の小動物だった。
大きさはイタチほど。しなやかな体は、月光を思わせる美しい銀色の毛皮で覆われている。
大きな黒い瞳が、好奇心に満ちた光をたたえて、じっとこちらを見ていた。
「おい、ライテイじゃねぇか。なんでこんなところに……」
ギデオンが驚きの声を上げた。
「ライテイ?」
「ああ。この山に住み着いてる、珍しい聖獣だ。雷の魔力を微かに帯びてるってんで、そう呼ばれてる。だが、極端に臆病でな。ワシですら、滅多に姿を見ねぇんだが……」
ギデオンの言葉を裏切るように、ライテイと呼ばれた聖獣は、臆する様子もなく工房の中へと入ってきた。
そして、ギデオンやカイウスには目もくれず、まっすぐにエリアーナの元へと歩み寄る。
エリアーナが、恐る恐るその場にしゃがみ込むと、ライテイはクン、と小さく鼻を鳴らし、彼女の足にすり、と頭をこすりつけてきた。
まるで、ずっと昔から知っている主人に甘えるかのように。
「な……」
ギデオンが絶句している。
エリアーナがそっと手を差し伸べると、ライテイは、その小さな頭を彼女の掌に乗せた。
その瞬間。
パチッ、と小さな音がして、エリアーナの指先に、静電気のような微かな痺れが走った。
ライテイの体毛が、淡い光を帯びて逆立っているのが見えた。
「こいつ……嬢ちゃんに懐いてやがる……」
信じられないものを見る目で、ギデオンが呟いた。
エリアーナは、その温かく柔らかな毛皮の感触に、思わず頬を緩ませた。
グランツ王国を追われて以来、心の奥底で凍り付いていた何かが、この温かさによって溶かされていくような心地がした。
エリアーナは、愛らしい聖獣をそっと抱き上げた。
「……まあ、お前さんの知識が本物だってことは、わかった」
しばらくして、ギデオンがぶっきらぼうに言った。
彼の声には、先ほどの興奮がまだ残っているようだった。
「だがな、嬢ちゃん。理論だけじゃ、物は作れん。現実はもっと厳しい」
ドワーフの工芸師は、視線を工房の奥に向けた。
「例えば、だ。公爵様が用意されたという、あの貯蔵庫の一番デカい水晶の原石。あれは、特別だ。あまりに純度が高く、結晶構造が完璧すぎるせいで、ワシの秘伝のタガネですら、傷一つつけられん」
「あんな化け物みてぇな石塊を、どうやって髪の毛よりも薄く切り出すってんだ? 不可能だ」
それは、職人としての最後の抵抗であり、同時に現実的な問題提起でもあった。
どんなに素晴らしい理論があっても、最初の工程である「素材の加工」ができなければ、全ては絵に描いた餅に終わる。
エリアーナが返答に窮していると、その腕の中にいたライテイが、ぴくりと耳を動かした。
そして、まるでギデオンの言葉がわかったかのように、彼女の腕からひらりと飛び降りると、貯蔵庫に繋がる扉の方へと駆け出した。
「お、おい、ライテイ!」
三人は、慌ててその後を追った。
貯蔵庫に入ると、ライテイは迷うことなく、小山のように積み上げられた原石の中でも、一際大きく、異様な存在感を放つ巨大な水晶へと飛び乗った。
ギデオンが「加工は不可能だ」と匙を投げた、あの原石だった。
次の瞬間、信じられない光景が、エリアーナたちの目の前で繰り広げられた。
ライテイが、その小さな前足で、そっと水晶の表面に触れる。
すると、それまでただの巨大な石塊にしか見えなかった水晶が、まるで生命を宿したかのように、内部から淡いプラズマの光を放ち始めたのだ。
青白い光の線が、複雑な幾何学模様を描きながら、水晶の内部を縦横無尽に駆け巡る。
それは、まるで夜空に浮かぶ、壮大な星座のようだった。
「な……なんだ、こりゃあ……。石が……光ってやがる……」
大陸一と謳われたドワーフの工芸師が、呆然自失の体(てい)で立ち尽くし、ただ茫然と光景を見つめていた。
カイウスもまた、その冷徹な仮面をかなぐり捨て、驚きに金の瞳を見開いていた。
だが、エリアーナだけは違った。
彼女の脳裏に、天から与えられた知識、すなわち集積回路の精緻な設計図が閃光のように蘇る。
そして、目の前を走る光の奔流と、その設計図のパターンが、寸分違わず重なり合った。
あれは、ただの光ではない。
結晶格子が持つ、目には見えないはずの『歪み』。
原子の結合が僅かに乱れた、構造上のウィークポイント。
その全てが、ライテイの持つ微弱な電気の力によって、可視化されているのだ。
エリアーナの脳内に、閃光が走った。
「そうか……!」
歓喜の声が、思わず漏れた。
「この光は……結晶の『道』……! これなら、切れる……!」
だが、その光の道をどう辿り、どう力を加えれば良いのか、具体的な術はまだ見えていない。
不可能を可能にする、天啓の光。
エリアーナは、自らの天命を照らし出すかのように輝く水晶と、その上で誇らしげに胸を張る小さな聖獣を、爛々と輝く瞳で見つめていた。
まだ誰も知らない革命の歯車が、今、確かに音を立てて回り始めた。
エリアーナは今、カイウスの駆る馬車の窓から、ヴァルヘイム公国の山岳地帯の雄大な景色を眺めていた。
目指すは、この国、いや、大陸全ての職人たちの頂点に立つと謳われる、ドワーフの工芸師ギデオン・ボルガの工房だった。
「彼は気難しい男だ。特に、人間と貴族を毛嫌いしている」
手綱を握るカイウスが、静かな声で言った。
「だが、彼が忌み嫌うのは、己の腕を磨く努力を怠り、空疎な身分に安住する者だけだ。君なら、きっと彼の心を動かせるだろう」
その横顔はいつものように涼やかだが、金の瞳の奥には、わずかな懸念が滲んでいた。
「私が行っても、おそらく話すら聞かないだろう。だからこそ、君自身が彼を説き伏せる必要がある」
「はい。覚悟はしております」
エリアーナは、膝の上で握りしめた拳に、さらに力を込めた。
「……今度こそ、私の言葉がただの空想ではないと、証明してみせます」
最高の設備と、無限とも思える材料。
カイウスが与えてくれたものは、エリアーナがかつて夢想することすらできなかった、まさに天恵とも呼べる、研究者にとっての楽園だった。
だが、カイウスが言う通り、それだけでは足りなかった。
頭の中に脈打つ、精緻を極めた設計図を、現実の物質世界に寸分の狂いなく刻み込むためには、神の指先すら凌駕するほどの、究極の精密加工技術が不可欠だった。
そして、それを成し得る唯一の存在が、ギデオン・ボルガなのだという。
「……彼らは、なぜそれほど人間を?」
ふと浮かんだ疑問を、エリアーナは口にした。
カイウスは少しだけ間を置いてから、静かに答えた。
「ドワーフは、自らが創り出したものが正しく使われることを何よりも重んじる。だが、人間の王侯貴族は、彼らの技術をただの贅沢品か、あるいは人を殺すための道具としか見なしてこなかった」
「……その歴史が、彼らを頑なにさせた」
その言葉の端々には、同族である人間、特に過去の愚かな支配者たちへの静かな軽蔑が滲んでいた。
きっとその中には、エリアーナの元婚約者であるアルフォンスのような人間も、含まれているのだろう。
やがて馬車は、ごうごうと流れる川のほとりに建てられた、巨大な水車が回る石造りの建物の前で止まった。
あれが、ギデオン・ボルガの工房らしかった。
建物に近づくにつれて、リズミカルに響く金属音と、熱気を帯びた空気が肌を撫でた。
扉を開けると、むせ返るような鉄と油の匂いが二人を迎えた。
工房の中は、さながら機械仕掛けの迷宮だった。
壁には無数の工具が整然と掛けられ、床には設計図らしき羊皮紙や、用途のわからない金属の塊が所狭しと並べられている。
その中央。真っ赤に焼けた鉄を巨大な金床の上に乗せ、ハンマーを振り下ろしている小柄な人影があった。
人間の尺度で六十代と見紛うばかりの、しかし並外れた膂力(りょりょく)を感じさせる小柄な男だった。
その肩や腕は丸太のように太く、全身が凝縮された鋼のような筋肉で覆われている。編み込まれた赤茶色の髭は、胸元まで豊かに垂れ下がっていた。
彼こそが、ギデオン・ボルガ、その人だった。
エリアーナたちの存在に気づいていながら、ギデオンは一瞥もくれず、ただ一心不乱にハンマーを振るい続けた。
キィン、と甲高い音が工房に響き渡り、真っ赤な火花が滝のように飛び散る。
その一打ち一打ちに込められた、圧倒的なまでの集中力と、神がかり的な技術。
エリアーナは、息を呑んでその光景に見入っていた。
やがて、納得のいく形になったのか、ギデオンは真っ赤な鉄塊を水槽に叩き込み、ジュッという激しい音と共に白い蒸気を立ち昇らせた。
そこでようやく、彼は顔を上げ、不機嫌そうな眼差しを二人に向けた。
「……公爵様が、こんな油臭ぇ場所に何の御用で」
その声は、深淵の底から響くかのように低く、まるで岩と岩とが擦れ合うような、野太い嗄声だった。
「紹介したい者がいる」
カイウスが簡潔に告げると、ギデオンの視線が、値踏みするようにエリアーナへと突き刺さった。
「ほう。グランツ王国から追放されたっていう、例の空想癖のお嬢様か。噂は聞いてるぜ」
その言葉には、棘を通り越して、あからさまな侮蔑が込められていた。
「ひょろりとした貴族のお嬢様が、ワシのような頑固爺に何の用だ? 壊れた首飾りの修理でも頼みに来たか?」
「ギデオン」
カイウスが咎めるように名を呼んだ。
「彼女は私の客人だ。それ以上の無礼は許さんぞ」
ドワーフの工芸師は鼻を鳴らしてそっぽを向いた。
「公爵様のご威光も、ワシの炉の前じゃただの風だ。用がねぇならとっととお帰り願おう。こっちは、あんたらの遊びに付き合ってるほど暇じゃねぇんでな」
完全に、門前払いだった。
しかし、エリアーナは怯まなかった。
むしろ、その揺るぎない職人としての矜持に、エリアーナは尊敬の念すら覚えていた。
彼女は一歩、前に進み出た。
「ギデオン様。私は、あなた様のお力をお借りしたく、参りました」
凛とした声で、エリアーナは告げた。
「作りたいものがあるのです。この世界にはまだ存在しない、全く新しい……奇跡の道具を」
「奇跡、だと!?」
ギデオンは、腹の底から可笑しいといったように、げっ、と喉を鳴らした。
「嬢ちゃん。ワシは職人だが、魔法使いじゃねぇ。奇跡なんぞ起こせるもんか。大方、王太子に聞かせたっていう『光で話す石』とやらの戯言だろう。そんなもんは、吟遊詩人にでも語って聞かせるんだな」
「戯言ではありません」
エリアーナは、きっぱりと否定した。
「精製土水晶に、万を超える極小の回路を刻み込むことで、それは実現できます」
「精製土水晶、だと!?」
ギデオンは、初めて興味らしき光をその目に宿した。
「ただの石ころじゃねぇか。ありふれた、何の価値もねぇ石ころだ。あれから不純物を取り除くなんざ、天地を創造した神でもなけりゃ無理な相談だ」
試されている。
エリアーナは直感した。これは、ギデオンが突きつけてきた、最初の試練なのだと。
「いいえ。神でなくとも可能です」
エリアーナは、すぅ、と息を吸い込んだ。
「ギデオン様は、不純物が多く混じった金属を精製する時、どうなさいますか?」
「……どう、とは?」
「一度全てを溶かし、ゆっくりと冷やしていく。そうすれば、純度の高い金属は先に固まり、不純物はまだ液体である部分へと追いやられる。その端を切り落とせば、より純粋な塊が手に入ります。あなた様も、そのようにされているはずです」
ギデオンは答えなかった。
だが、その眉がぴくりと動いたのを、エリアーナは見逃さなかった。
カイウスは、そんなエリアーナの背中に、静かな視線を送っていた。
その金の瞳には、「後は君の言葉でなければ意味がない」とでも言うかのような、深い信頼と期待の色が宿っている。
「それと同じことを、精製土水晶の塊で行うのです」
エリアーナは、まるで目の前に装置が浮かび上がっているかのように、澱みなく語り続けた。
その紫の瞳は、未来のビジョンを映し出すかのように爛々と輝き、熱を帯びていた。
「棒状にした水晶の端から、魔法で制御した熱源をゆっくりと移動させていく。溶けて、再び固まる、その境界面に、水晶に含まれる不純物が集められていくのです。それを何度も、何度も繰り返す」
「まるで、箒で塵を掃き集めるように、不純物を一方の端へと追いやっていく……。そうすれば、理論上は限りなく純粋に近い結晶が手に入ります」
エリアーナが語っているのは、ゾーンメルティング法、あるいはゾーンクリーニング法と呼ばれる、半導体製造の基礎となる技術だった。
この世界の誰も知らない、天から与えられた知識。
それを、目の前のドワーフが理解できる言葉に、エリアーナは必死で翻訳していく。
工房には、沈黙が落ちた。
ただ、炉の燃える音と、巨大な水車の回る音だけが、静かに響いている。
ギデオンは、腕を組み、エリアーナを睨みつけるように見つめていた。
その顔に浮かんでいた侮蔑の色は、いつの間にか消え失せ、代わりに驚愕と、深い思索の色が浮かんでいた。
「……嬢ちゃん。お前さん、なんでそんなことを知ってる?」
ようやく絞り出したような声で、ギデオンは尋ねた。
「ワシらドワーフは、長年の経験則で知っている。特定の熱の加え方をすると、鉱石の『癖』が変わることを。だが、それがなぜ起こるのか、その理屈までは誰も説明できなかった」
「……お前さんの話は、まるで、ワシの頭の中にあったもやもやとした霧が、一気に晴れていくようだ」
「まだ、お話ししたいことは山ほどあります」
エリアーナは続けた。
その声には、知への飽くなき探究心と、確固たる信念が宿っていた。
「結晶構造の歪みが、なぜ流電の通りを阻害するのか。なぜ、特定の元素をほんの僅かだけ混ぜ込むことで、流電の流れを自在に操れるようになるのか……」
「……やめろ」
ギデオンは、絞り出すような声で言った。その喉は、溢れんばかりの感動に詰まっているようだった。
「もういい。もうわかった。……お前さんの言うことは、戯言なんぞじゃねぇ。こいつは……ワシが一生をかけて追い求めてきた、モノづくりの『真理』そのものだ」
頑固なドワーフの工芸師は、まるで神託を聞くかのように、エリアーナの言葉に聞き入っていた。
少し離れた場所でその様子を見守っていたカイウスの口元に、満足げな笑みが浮かんだ。
エリアーナの、ほとばしるような知識と情熱が最高潮に達した、その瞬間だった。
工房の隅にあった廃材の山が、がさりと音を立てた。
三人の視線が、一斉にそちらへ向いた。
現れたのは、一匹の小動物だった。
大きさはイタチほど。しなやかな体は、月光を思わせる美しい銀色の毛皮で覆われている。
大きな黒い瞳が、好奇心に満ちた光をたたえて、じっとこちらを見ていた。
「おい、ライテイじゃねぇか。なんでこんなところに……」
ギデオンが驚きの声を上げた。
「ライテイ?」
「ああ。この山に住み着いてる、珍しい聖獣だ。雷の魔力を微かに帯びてるってんで、そう呼ばれてる。だが、極端に臆病でな。ワシですら、滅多に姿を見ねぇんだが……」
ギデオンの言葉を裏切るように、ライテイと呼ばれた聖獣は、臆する様子もなく工房の中へと入ってきた。
そして、ギデオンやカイウスには目もくれず、まっすぐにエリアーナの元へと歩み寄る。
エリアーナが、恐る恐るその場にしゃがみ込むと、ライテイはクン、と小さく鼻を鳴らし、彼女の足にすり、と頭をこすりつけてきた。
まるで、ずっと昔から知っている主人に甘えるかのように。
「な……」
ギデオンが絶句している。
エリアーナがそっと手を差し伸べると、ライテイは、その小さな頭を彼女の掌に乗せた。
その瞬間。
パチッ、と小さな音がして、エリアーナの指先に、静電気のような微かな痺れが走った。
ライテイの体毛が、淡い光を帯びて逆立っているのが見えた。
「こいつ……嬢ちゃんに懐いてやがる……」
信じられないものを見る目で、ギデオンが呟いた。
エリアーナは、その温かく柔らかな毛皮の感触に、思わず頬を緩ませた。
グランツ王国を追われて以来、心の奥底で凍り付いていた何かが、この温かさによって溶かされていくような心地がした。
エリアーナは、愛らしい聖獣をそっと抱き上げた。
「……まあ、お前さんの知識が本物だってことは、わかった」
しばらくして、ギデオンがぶっきらぼうに言った。
彼の声には、先ほどの興奮がまだ残っているようだった。
「だがな、嬢ちゃん。理論だけじゃ、物は作れん。現実はもっと厳しい」
ドワーフの工芸師は、視線を工房の奥に向けた。
「例えば、だ。公爵様が用意されたという、あの貯蔵庫の一番デカい水晶の原石。あれは、特別だ。あまりに純度が高く、結晶構造が完璧すぎるせいで、ワシの秘伝のタガネですら、傷一つつけられん」
「あんな化け物みてぇな石塊を、どうやって髪の毛よりも薄く切り出すってんだ? 不可能だ」
それは、職人としての最後の抵抗であり、同時に現実的な問題提起でもあった。
どんなに素晴らしい理論があっても、最初の工程である「素材の加工」ができなければ、全ては絵に描いた餅に終わる。
エリアーナが返答に窮していると、その腕の中にいたライテイが、ぴくりと耳を動かした。
そして、まるでギデオンの言葉がわかったかのように、彼女の腕からひらりと飛び降りると、貯蔵庫に繋がる扉の方へと駆け出した。
「お、おい、ライテイ!」
三人は、慌ててその後を追った。
貯蔵庫に入ると、ライテイは迷うことなく、小山のように積み上げられた原石の中でも、一際大きく、異様な存在感を放つ巨大な水晶へと飛び乗った。
ギデオンが「加工は不可能だ」と匙を投げた、あの原石だった。
次の瞬間、信じられない光景が、エリアーナたちの目の前で繰り広げられた。
ライテイが、その小さな前足で、そっと水晶の表面に触れる。
すると、それまでただの巨大な石塊にしか見えなかった水晶が、まるで生命を宿したかのように、内部から淡いプラズマの光を放ち始めたのだ。
青白い光の線が、複雑な幾何学模様を描きながら、水晶の内部を縦横無尽に駆け巡る。
それは、まるで夜空に浮かぶ、壮大な星座のようだった。
「な……なんだ、こりゃあ……。石が……光ってやがる……」
大陸一と謳われたドワーフの工芸師が、呆然自失の体(てい)で立ち尽くし、ただ茫然と光景を見つめていた。
カイウスもまた、その冷徹な仮面をかなぐり捨て、驚きに金の瞳を見開いていた。
だが、エリアーナだけは違った。
彼女の脳裏に、天から与えられた知識、すなわち集積回路の精緻な設計図が閃光のように蘇る。
そして、目の前を走る光の奔流と、その設計図のパターンが、寸分違わず重なり合った。
あれは、ただの光ではない。
結晶格子が持つ、目には見えないはずの『歪み』。
原子の結合が僅かに乱れた、構造上のウィークポイント。
その全てが、ライテイの持つ微弱な電気の力によって、可視化されているのだ。
エリアーナの脳内に、閃光が走った。
「そうか……!」
歓喜の声が、思わず漏れた。
「この光は……結晶の『道』……! これなら、切れる……!」
だが、その光の道をどう辿り、どう力を加えれば良いのか、具体的な術はまだ見えていない。
不可能を可能にする、天啓の光。
エリアーナは、自らの天命を照らし出すかのように輝く水晶と、その上で誇らしげに胸を張る小さな聖獣を、爛々と輝く瞳で見つめていた。
まだ誰も知らない革命の歯車が、今、確かに音を立てて回り始めた。
37
あなたにおすすめの小説
絶望?いえいえ、余裕です! 10年にも及ぶ婚約を解消されても化物令嬢はモフモフに夢中ですので
ハートリオ
恋愛
伯爵令嬢ステラは6才の時に隣国の公爵令息ディングに見初められて婚約し、10才から婚約者ディングの公爵邸の別邸で暮らしていた。
しかし、ステラを呼び寄せてすぐにディングは婚約を後悔し、ステラを放置する事となる。
異様な姿で異臭を放つ『化物令嬢』となったステラを嫌った為だ。
異国の公爵邸の別邸で一人放置される事となった10才の少女ステラだが。
公爵邸別邸は森の中にあり、その森には白いモフモフがいたので。
『ツン』だけど優しい白クマさんがいたので耐えられた。
更にある事件をきっかけに自分を取り戻した後は、ディングの執事カロンと共に公爵家の仕事をこなすなどして暮らして来た。
だがステラが16才、王立高等学校卒業一ヶ月前にとうとう婚約解消され、ステラは公爵邸を出て行く。
ステラを厄介払い出来たはずの公爵令息ディングはなぜかモヤモヤする。
モヤモヤの理由が分からないまま、ステラが出て行った後の公爵邸では次々と不具合が起こり始めて――
奇跡的に出会い、優しい時を過ごして愛を育んだ一人と一頭(?)の愛の物語です。
異世界、魔法のある世界です。
色々ゆるゆるです。
婚約破棄された堅物令嬢ですが、鬼の騎士団長の娘として宮廷の陰謀を暴くのに忙しいので、美貌のカストラート(実は王子)に溺愛される暇はありません
綾森れん
恋愛
「お前のような真面目くさった女はいらない。婚約は破棄させてもらう!」
婚約者だった公爵令息に冷酷に言い放たれたリラ・プリマヴェーラ。
だが、彼女の心にあったのは悲しみではなく―― 十年前の王族暗殺事件を調査したいという情熱だった。
伯爵令嬢であるリラは、鉄の掟を守る『鬼の騎士団長』の娘。
彼女には恋よりも何よりも優先すべき使命があった。それは、十年前に幼い王子が暗殺された事件の真相を暴き、父を、そして王国を陰謀から救うこと。
婚約破棄直後、彼女の前に現れたのは、天使の歌声を持つ美貌のカストラート(去勢歌手)、アルカンジェロだった。
彼が十年前の事件について密かに調べていることを、リラは知ってしまう。
真相を探るため、リラは彼を自分の音楽教師として迎え入れ、距離を縮めていく。
事件解決の協力者として彼と接するうち、リラは謎めいたアルカンジェロに危機を救われることになる。
しかし、リラは知らない。
アルカンジェロの正体が、十年前に暗殺されたはずの第三王子であることを。
そして彼にとってリラこそが、初恋の女性であることを。
彼は十年間、密かにリラを想い続けていたのだ。
王位を狙う者たちから身を隠すため、声楽の技術を駆使して、教会歌手として大聖堂で生き延びてきたアルカンジェロだったが、王家を巡る不穏な陰謀が静かに動き始めていた。
捜査に猪突猛進な堅物令嬢と、彼女を影から支え執着を見せる、カストラート歌手のふりをした王子。
宮廷の闇を切り裂く二人の恋と事件の行方は――?
※本作は、過去に投稿していた『真面目くさった女はいらないと婚約破棄された伯爵令嬢ですが、王太子様に求婚されました。実はかわいい彼の溺愛っぷりに困っています』の設定・キャラクター・構成を大幅に改稿し、新作として再構成したものです。
物語の結末やキャラクターの掘り下げを強化しておりますので、初めての方も、以前お読みいただいた方もお楽しみいただけます。
【白銀の迷宮】聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!
碧桜
恋愛
完結作品『聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!』の続編。
現代日本での日常に戻っていた美月は、再び顔面偏差値ハイスペックな近衛騎士団長レイファスとともに、異世界へ召喚される。
美月のお気に入りゲーム最推しキャラの騎士様と顔はそっくりだが中身はまるで違う黒王子アレクシス、すごい美貌の持ち主で腹黒な宰相ルーセル——変わらぬ面々に迎えられ、再会を喜ぶのもつかの間、新たな使命が告げられた。
美月とレイファスは、雪と氷に覆われた白銀の地ニブルヘイム辺境伯領へ、世界の命運を担うという「白銀の姫」に会うため、旅に出ることになる。二人は商人の娘とその用心棒として身を偽り、ニブルヘイムへ向かった。
旅の途中、白銀の姫に仕える少年騎士に出会うが、美月とは何かと衝突してしまう。一方、ニブルヘイムの地は、凶暴化した魔獣の増加により、想像以上の危機に晒されていた。
旅を重ねるほどに縮まるレイファスとの距離。しかし、二人の行く先に待つのは平穏ではなく——
使命も、恋も、前途多難な第二章が幕を開ける。
転生先が意地悪な王妃でした。うちの子が可愛いので今日から優しいママになります! ~陛下、もしかして一緒に遊びたいのですか?
朱音ゆうひ@『桜の嫁入り』発売中です
恋愛
転生したら、我が子に冷たくする酷い王妃になってしまった!
「お母様、謝るわ。お母様、今日から変わる。あなたを一生懸命愛して、優しくして、幸せにするからね……っ」
王子を抱きしめて誓った私は、その日から愛情をたっぷりと注ぐ。
不仲だった夫(国王)は、そんな私と息子にそわそわと近づいてくる。
もしかして一緒に遊びたいのですか、あなた?
他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5296ig/)
「偽聖女」と追放された令嬢は、冷酷な獣人王に溺愛されました~私を捨てた祖国が魔物で滅亡寸前?今更言われても、もう遅い
腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢フィーア・エメラインは、地味で効果が現れるのに時間がかかる「大地の浄化」の力を持っていたため、派手な治癒魔法を使う異母妹リシアンの嫉妬により、「偽聖女」として断罪され、魔物汚染が深刻な獣人族の国へ追放される。
絶望的な状況の中、フィーアは「冷酷な牙」と恐れられる最強の獣人王ガゼルと出会い、「国の安寧のために力を提供する」という愛のない契約結婚を結ぶ。
『異世界転生してカフェを開いたら、庭が王宮より人気になってしまいました』
ヤオサカ
恋愛
申し訳ありません、物語の内容を確認しているため、一部非公開にしています
この物語は完結しました。
前世では小さな庭付きカフェを営んでいた主人公。事故により命を落とし、気がつけば異世界の貧しい村に転生していた。
「何もないなら、自分で作ればいいじゃない」
そう言って始めたのは、イングリッシュガーデン風の庭とカフェづくり。花々に囲まれた癒しの空間は次第に評判を呼び、貴族や騎士まで足を運ぶように。
そんな中、無愛想な青年が何度も訪れるようになり――?
【完結】追放された私、宮廷楽師になったら最強騎士に溺愛されました
er
恋愛
両親を亡くし、叔父に引き取られたクレアは、義妹ペトラに全てを奪われ虐げられていた。
宮廷楽師選考会への出場も拒まれ、老商人との結婚を強要される。
絶望の中、クレアは母から受け継いだ「音花の恵み」——音楽を物質化する力——を使い、家を飛び出す。
近衛騎士団隊長アーロンに助けられ、彼の助けもあり選考会に参加。首席合格を果たし、叔父と義妹を見返す。クレアは王室専属楽師として、アーロンと共に新たな人生を歩み始める。
編み物好き地味令嬢はお荷物として幼女化されましたが、えっ?これ魔法陣なんですか?
灯息めてら
恋愛
編み物しか芸がないと言われた地味令嬢ニニィアネは、家族から冷遇された挙句、幼女化されて魔族の公爵に売り飛ばされてしまう。
しかし、彼女の編み物が複雑な魔法陣だと発見した公爵によって、ニニィアネの生活は一変する。しかもなんだか……溺愛されてる!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる