闇のきざはし ⁑ 狼の山城 と 薔薇の屋敷 の 物語 ⁑

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闇のきざはし 14

26 異時限空間 魔族の館

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  異時限空間 魔族の館


 黒いつむじ風によってさらわれ、異時限に瞬間移動した 香月と満は、ダンクシュートから落ちてくる香月を満が抱き留めたそのままの体制で、魔族の館に描かれた五芒星の上に出現した。つむじ風に巻かれたことと瞬間移動の衝撃で、二人の意識はなかった。

 魔族は二人が目覚める前に、時の棺に移し、満の背中に 呪いのナイフを近づけた。ナイフは意思のあるごとく、心臓を目指して、少しずつ深度を増して刺さってゆく。

 香月が意識を朦朧と取り戻したとき、魔族が香月を見下ろしていた。
 おまえに ナイフを抜くことは出来ない このものの命を少しでも長引かせたければ、お前が逆らうことは許されない。

 魔族の住む異時限空間でも 月は満ち、月は欠けた。

 新月深夜、五芒星の描かれた部屋に金彩のほどこされた蝋台がぐるりと配され、赤い蝋燭がともされた。

 魔族は、総レースの白いドレスを着せた香月を抱いて五芒星中心に座り、香月左手首にナイフを薄くはいて、滲んでくる血に唇をあてた。隠された真珠を持つ世界でたった一輪の薔薇の蕾の血液が 魔族の体内を巡りはじめた。恍惚、幻惑、そして沸騰した。体が耐え難く熱を持ち始めたとき、唇を離さなければと・・・・・・ 魔族の体は発火した。天井近くまで炎をあげ、燃え尽きた。灰の一粒さえ、残らなかった。

 魔族が燃え尽きたとき、呪いのナイフ刀紋は消滅した。呪いの解けたナイフを 狼の血をひく一族の生来の力で、体外に押し出し、傷口も塞がった。

 薔薇の一族の血液は、数滴を口にしただけで、肌は艶めき、エロスと若返りの秘薬とされてきた。

 おのれの魔力を一気に高め、永遠の寿命を得ようと 香月の血を吸うはずが、若い香月の血液の威力は いま枯れようとする魔族には 強力過ぎて 耐えられないかった。 


 動きを取り戻した満は、五芒星の部屋に飛び込んだ。そこには、血の海に横たわる香月が。満は部屋を見まわしワイングラスを手に香月を抱き起し、血の海からグラスで掬って、口移しで香月に飲ませた。香月がグラスから飲めるころになると、冷たく青白かった肌は温もりを取り戻してきた。グラスで掬えない血のりを 満は自身の肌に付けて、香月に舐めさせた。香月の舌が、満の手を腕を胸を首すじを肩を舐めてゆく。満は生死の境にいる愛しい人にすべきことではないと頭の片隅で思ってはいても、耐え難かった。香月の舌が触れると体は熱くなり全身に電流が走り震えがくる。香月、おれはもう・・・・・・

 満、来て! ふたりが一体になった瞬間、五芒星全体から光を発し、中心にいる二人を光の柱が包み込んだ。



  海の一族プレミアクルーズ船
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