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第11章 宇宙
第11章 本星(地球の未来)
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Data201411M は、海辺のカフェでくつろぐ上品そうな男性が映っていた。こちらは、パーティの映像で終わっていた。どこかで見た人物だと思いながら眺めていたが、パーティの映像のときに やっと 小説家だと気が付いた。ネット検索をかけてみると昨年亡くなっていた。このときの死亡を伝えた新聞記事も読んだ。
第11章 本星(地球の未来)
ツクル氏が、21世紀地球担当になって、ほぼ1世紀が過ぎようとしている。この時代とエリアを任されている理由を、ツクル自身よく理解していた。アンドロイド化が少ないからだ。担当者は、そのエリアと時代に溶け込んでこそ、より成果を得られる。
ツクルが生まれたとき、全人類の92パーセントは、程度の差こそあれ、アンドロイド化していた。その分健康寿命は脅威的に延びた。が、アンドロイドが暮らす社会は、安全で清潔かつ無機質となった。
担当者ではあっても、好きなだけ本星にもどることが許されているのだが、ツクルは、もどりたくなくなっていた。本星との往来には、かなりの負荷がかかる。修復可能限度を超えないよう往来するとなれば、おのずと回数は決まってくる。が、本人の望む通りとは、往来について自己責任とするとの暗黙の了解なのだ。
21世紀地球の暮らしは、一言で言うなら総天然色なのである。生物的には危険に満ち溢れていても、危険すら脳は愉しんでいる。
比べて、アンドロイド化のすすんだ社会は、モノトーンなのである。生物的破損や老朽化を 医学の進歩により非生物利用を含めて補って長命になった人類は、脳も機械装置に似通ってきた。感情の起伏がどんどん少なくなっていった。事件も事故もない安全清潔な社会だが、面白みがない。
もっとも面白みを求めているのは、アンドロイド化していない8パーセントの人類だ。が、絶滅危惧種の100パーセント生物の人類を保護しなくてはならない。なぜなら生物人類はルーツだからだ。保護といっても、本人に「保護されている感」を与えずに、自分は自然に自由に暮らしていると思わせるには、やっかいなことに総天然色の世界が必要なのである。
完璧に近い安全安心清潔な社会では、脳は育たないのだ。さまざまな刺激が、破壊しない程度に必要なのである。
それなら生物人類を21世紀地球に送り込めばよさそうなものだが、生物度が高い場合、タイムトラベルには耐えられない。ツクルは、タイムトラベルに耐えうるぎりぎりのラインでアンドロイド化していた。
絶滅危惧種の求める「面白み」に応えるべく、開発された商品が、ドリームカンパニーの「リアル体験」なのである。古書に接触させることで、提供者に残りの人生を前倒しさせ、エネルギーを充填、能力を増幅させて、成功体験に導く。そのデータをそっくり盗んで、リアル体験として販売している。鍵付き古書は、増幅器であり、転送機でもある。突然死になんらかの関わりを疑ったとしても、それ以上に踏み込むことはできない。元データ提供者の寿命は、謎を解く前に尽きるからだ。
第11章 本星(地球の未来)
ツクル氏が、21世紀地球担当になって、ほぼ1世紀が過ぎようとしている。この時代とエリアを任されている理由を、ツクル自身よく理解していた。アンドロイド化が少ないからだ。担当者は、そのエリアと時代に溶け込んでこそ、より成果を得られる。
ツクルが生まれたとき、全人類の92パーセントは、程度の差こそあれ、アンドロイド化していた。その分健康寿命は脅威的に延びた。が、アンドロイドが暮らす社会は、安全で清潔かつ無機質となった。
担当者ではあっても、好きなだけ本星にもどることが許されているのだが、ツクルは、もどりたくなくなっていた。本星との往来には、かなりの負荷がかかる。修復可能限度を超えないよう往来するとなれば、おのずと回数は決まってくる。が、本人の望む通りとは、往来について自己責任とするとの暗黙の了解なのだ。
21世紀地球の暮らしは、一言で言うなら総天然色なのである。生物的には危険に満ち溢れていても、危険すら脳は愉しんでいる。
比べて、アンドロイド化のすすんだ社会は、モノトーンなのである。生物的破損や老朽化を 医学の進歩により非生物利用を含めて補って長命になった人類は、脳も機械装置に似通ってきた。感情の起伏がどんどん少なくなっていった。事件も事故もない安全清潔な社会だが、面白みがない。
もっとも面白みを求めているのは、アンドロイド化していない8パーセントの人類だ。が、絶滅危惧種の100パーセント生物の人類を保護しなくてはならない。なぜなら生物人類はルーツだからだ。保護といっても、本人に「保護されている感」を与えずに、自分は自然に自由に暮らしていると思わせるには、やっかいなことに総天然色の世界が必要なのである。
完璧に近い安全安心清潔な社会では、脳は育たないのだ。さまざまな刺激が、破壊しない程度に必要なのである。
それなら生物人類を21世紀地球に送り込めばよさそうなものだが、生物度が高い場合、タイムトラベルには耐えられない。ツクルは、タイムトラベルに耐えうるぎりぎりのラインでアンドロイド化していた。
絶滅危惧種の求める「面白み」に応えるべく、開発された商品が、ドリームカンパニーの「リアル体験」なのである。古書に接触させることで、提供者に残りの人生を前倒しさせ、エネルギーを充填、能力を増幅させて、成功体験に導く。そのデータをそっくり盗んで、リアル体験として販売している。鍵付き古書は、増幅器であり、転送機でもある。突然死になんらかの関わりを疑ったとしても、それ以上に踏み込むことはできない。元データ提供者の寿命は、謎を解く前に尽きるからだ。
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