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第12章 宇宙
第12章 ブラックホール
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突然死になんらかの関わりを疑ったとしても、それ以上に踏み込むことはできない。元データ提供者の寿命は、謎を解く前に尽きるからだ。
第12章 ブラックホール
21世紀地球暦2015年初冬
河野社員独りだけが出勤した事務所で、山内さんのパソコンからファイルを読んでいるとき、 ツクル氏と山内さんは、宇宙船の中に居た。普段は、事務所近くのツクル氏の自宅から通っているが、定期的かつ随時「本星」との連絡に山内さんが宇宙船と地球を往復していた。
ツクル氏と山内さんの誕生した本星は、常に宇宙緯度で「地球」と一致していた。時間軸の違う河野社員属する時間軸から見て「未来の地球」と言い換えることが可能だ。
本星宇宙局は、観測データから、かなりのスピードで、巨大なブラックホールが接近しつつあり、全宇宙に警告を発していた。本星がブラックホールに飲み込まれるのを防ぐ手立てはなかった。時間を遅らせることも不可能だった。ブラックホールの迫る勢いより速く銀河系の外に逃げ出せる可能性はわずかながら残されていた。
巨大ブラックホール接近の緊急情報に接したとき、ツクル氏は、眼前に底知れぬ闇が広がり、引き込まれそうになった。倒れそうになったツクル氏をすばやく山内さんが支えた。
宇宙船内のベッドで目覚めたツクル氏は、とめどなく思考が流れるに任せていた。人類の進歩とは何をもっていうのか? タイムスリップが可能なほど科学が進歩しても、接近するブラックホールを直前までなぜ把握できなかったのか? ブラックホールに飲み込まれることが避けられないなら、人類が誕生したときから、滅びの道を歩んできたのか? 人類の純血種を守ることに生涯を捧げてきた自分の人生は、無駄だったのか?
山内さんは、ロボットであり、感情はないが、ツクル氏の感情の動きとその及ぼす影響については、常に感知しつづけてきた。ゆえにツクル氏は、山内さんに相談することができたのである。
自問自答と 山内さんとの話し合いの中で、未来の地球の危機的状況を 21世紀人類に伝えるべきとの結論に達していた。
2XXX年Y月Z日 本星は、ブラックホールに飲み込まれた。
同時に 2XXX年Y月Z日より先の 地球の未来 も 消滅した。
同時にツクル氏と山内さんも宇宙船も消えた。
河野社員は、始めのほうの3つのファイルを見終わった。新聞記事と照合しても、ファイルの中味が現実に起こったことだと認めざる得ない。ファイル名に含まれる数字は、年月と推定されるので、残りの膨大なファイルをみれば、このことははっきりする。3つを見ただけで、それぞれの人生を生きたかのように生気を吸い取られたかのように疲労が重く圧し掛かった。が、ツクル氏のパソコンを開かなくてはならないという脅迫観念のような思いに突き動かされた。
ツクル氏のパソコンは、すぐ開くことができた。開くと同時に、画面にツクル氏が現れ、河野くんと呼びかけてきた。
ツクル氏メッセージ
われわれが、なにをしてきたかは、河野くんがファイルを開いてみたとおりだ。われわれは、21世紀地球人の人生を盗んで商売にしてきた。
いま君がこの映像を見ているときには、未来において地球はブラックホールに飲み込まれる。その瞬間の未来時間において私と山内さんも消滅する。
この事実を21世紀地球人に伝える義務があると私は思っている。このメッセージを伝えたこの瞬間から、君たち21世紀地球人は、銀河系から逃げ出しブラックホールに飲み込まれない人類を残す対策にかかるのだ。
健闘を祈る!
第12章 ブラックホール
21世紀地球暦2015年初冬
河野社員独りだけが出勤した事務所で、山内さんのパソコンからファイルを読んでいるとき、 ツクル氏と山内さんは、宇宙船の中に居た。普段は、事務所近くのツクル氏の自宅から通っているが、定期的かつ随時「本星」との連絡に山内さんが宇宙船と地球を往復していた。
ツクル氏と山内さんの誕生した本星は、常に宇宙緯度で「地球」と一致していた。時間軸の違う河野社員属する時間軸から見て「未来の地球」と言い換えることが可能だ。
本星宇宙局は、観測データから、かなりのスピードで、巨大なブラックホールが接近しつつあり、全宇宙に警告を発していた。本星がブラックホールに飲み込まれるのを防ぐ手立てはなかった。時間を遅らせることも不可能だった。ブラックホールの迫る勢いより速く銀河系の外に逃げ出せる可能性はわずかながら残されていた。
巨大ブラックホール接近の緊急情報に接したとき、ツクル氏は、眼前に底知れぬ闇が広がり、引き込まれそうになった。倒れそうになったツクル氏をすばやく山内さんが支えた。
宇宙船内のベッドで目覚めたツクル氏は、とめどなく思考が流れるに任せていた。人類の進歩とは何をもっていうのか? タイムスリップが可能なほど科学が進歩しても、接近するブラックホールを直前までなぜ把握できなかったのか? ブラックホールに飲み込まれることが避けられないなら、人類が誕生したときから、滅びの道を歩んできたのか? 人類の純血種を守ることに生涯を捧げてきた自分の人生は、無駄だったのか?
山内さんは、ロボットであり、感情はないが、ツクル氏の感情の動きとその及ぼす影響については、常に感知しつづけてきた。ゆえにツクル氏は、山内さんに相談することができたのである。
自問自答と 山内さんとの話し合いの中で、未来の地球の危機的状況を 21世紀人類に伝えるべきとの結論に達していた。
2XXX年Y月Z日 本星は、ブラックホールに飲み込まれた。
同時に 2XXX年Y月Z日より先の 地球の未来 も 消滅した。
同時にツクル氏と山内さんも宇宙船も消えた。
河野社員は、始めのほうの3つのファイルを見終わった。新聞記事と照合しても、ファイルの中味が現実に起こったことだと認めざる得ない。ファイル名に含まれる数字は、年月と推定されるので、残りの膨大なファイルをみれば、このことははっきりする。3つを見ただけで、それぞれの人生を生きたかのように生気を吸い取られたかのように疲労が重く圧し掛かった。が、ツクル氏のパソコンを開かなくてはならないという脅迫観念のような思いに突き動かされた。
ツクル氏のパソコンは、すぐ開くことができた。開くと同時に、画面にツクル氏が現れ、河野くんと呼びかけてきた。
ツクル氏メッセージ
われわれが、なにをしてきたかは、河野くんがファイルを開いてみたとおりだ。われわれは、21世紀地球人の人生を盗んで商売にしてきた。
いま君がこの映像を見ているときには、未来において地球はブラックホールに飲み込まれる。その瞬間の未来時間において私と山内さんも消滅する。
この事実を21世紀地球人に伝える義務があると私は思っている。このメッセージを伝えたこの瞬間から、君たち21世紀地球人は、銀河系から逃げ出しブラックホールに飲み込まれない人類を残す対策にかかるのだ。
健闘を祈る!
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