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最果ての森編
47. 恋路
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ソルツァンテを独立国家にまで発展させたリーナさん。そしてそんな彼女の好意を一身に受けながらも全く気づいていないジル。
昨日のあの様子だと、リーナさんがはっきりとした言葉でしっかりきっちりストレートに伝えない限り、ジルに届くことは難しいだろう。でもリーナさんの方も、奥手な感じだったしな。うーん、なんとももどかしい。
あ、ライはリーナさんの気持ち、知っているのだろうか。
「リーナさん、昨日はすぐに帰っちゃったんでしょう?忙しいみたいだね」
ライにどう聞けばいいだろうかと考えていると、ライがジルに話しかけた。
「ああ。ウィルと話した後、すぐに帰ったな」
「へえ、そうなんだ。もしかして、私の弟子の話から、ジルに結びつけたのかな。森に住んでいるなら、ジルと暮らしている可能性が高いからね。ふふ、相変わらず耳が早いね」
「ファムと仲が良いからな。そこからかもしれん」
「あ、そっか。そうかもね。ふふ、リーナさん、慌ててなかった?」
ライがいたずらっぽい笑みを浮かべる。あ、これ、もしかして、もしかする?
「···?いつものように、忙しそうに見えたが」
ああ、ジルは分かっていないようだ。
「ふふ、そうじゃなくてね。うーん、···あ、父親がジルなら母親は誰なのかって、聞かれなかったかい?」
おお!やっぱりライはリーナさんの好きな人が誰か、知っているようだ。
ファムと仲が良いってことは、ファムがリーナさんに、ジルが父親になったと伝えたのだろうか。
「ああ、母親はいるのかと聞かれたな」
「やっぱり、そうなんだ。それじゃあ、母親がいないなら私はどうかって、言われなかったかい?」
おお!核心に近づいている気がする!
「言われたが···何故分かった?」
おおお!ついに!ついに、運命の時が来るのか!
「ふふ、ジル以外なら、みんな分かると思うよ」
おおお!ライさん、ここで焦らすのか!
「···?何故だ?」
心底不思議そうに、ジルが聞く。···僕はなぜ分からないのかが不思議だよ!
思わず叫びそうになりながらも、二人の会話を邪魔しちゃだめだと我慢する。
「それはジルが気づくことに意味があるんだよ。もしくは、リーナさんの勇気かな」
「リーナの勇気···?何か、俺が気づいていない大変なことでもあるのか?」
ライは言わないのかーーー!まあ、自分の気持ちを知らない所で暴露されるのも可哀想なのかな?ライの言葉から察するに、知らないのはジルだけのようだが。
そしてジルは、リーナさんを心配している。リーナさんが、勇気を振り絞る必要があるくらいに大変なことに直面していると勘違いしているようだ。あ、いや、あながち勘違いでもないのか?
「俺に出来ることがあれば協力するが···」とか言っちゃってるジルを、思わず半目で見る。
「ふふ、ウィル君も、生暖かく見守ろうね」
ライが僕の視線に気づき、そう言った。
「あう」
首を傾げているジルはそのままに、僕は頷く。
リーナさんの恋路は、まだまだ続きそうだ。
「ふふ、ウィル君。自力でファイアショットを習得したようだけど、他の魔法はやってみたかい?」
ライがジルの様子を見てちょっと笑いながら、次の話題に移る。
「あーう」
まだだよ、と首を横に振る。
「それなら、ショット系の魔法を全部やっちゃおうか。残りの属性は、風と光、闇、それから無属性だよね?」
お、ついにショットの魔法を全属性コンプリートできるのか!
「無属性は魔力をそのまま撃ち出すだけだから、基本的には属性のあるショットの方が攻撃力は高くなるんだ」
なるほど。火なら熱さ、土なら硬さなど、属性の特徴がプラスされていると、与えられるダメージも大きくなるのだろう。状況によってより効果的な属性を選べるような判断力も、身に着けたいところだ。
「風属性の特徴は、不可視なことかな。風自体に色はついていないから、魔力視や魔力感知が出来ない相手にはかなり有効な属性だよ。それから、風属性は他属性との複合属性にしやすいんだ。風が加わることで、攻撃範囲が広がり、速度が増して威力が上がる。単純だけど、その効果は侮れないよ」
どこに攻撃が飛んでくるのか分からないのは恐怖だ。かなり神経を尖らせる必要があるし、そうしていると精神的にも負担になりそうだ。それに、単純な強さほど、対処するには同じく強さを要するものだ。風との複合属性というのは、厄介だろうな。
そういえば、ライの得意属性は風だと言っていたな。ライは複合属性も操るようだし、味方で良かったと本気で思った。
「それから、光属性と闇属性についてなんだけどね、この両者は相対する性質を持っているよ。光属性の魔法には回復や強化などの魔法が多いのに対し、闇属性は弱体化の魔法が豊富なんだ」
ほうほう。これはおおむねイメージ通りだ。確かファムは回復が得意と言っていたな。ファムの得意属性は、光なのだろう。
「それから、光属性はアンデッドが苦手としていてね、とてもよく効くんだ。だけど闇属性への耐性があるから、アンデッドには闇以外の属性で対処する必要があるよ。でもね、闇属性の弱体化は耐性を持っていない限りどの魔物にもよく効くから、使い勝手がいいんだ」
なるほど。この世界では、闇属性にマイナスイメージがあるといったことはないようだ。属性の一つとして、受け入れられているのだろう。
「ふふ、簡単な説明はこれくらいにして、外に出てみようか。あとは練習しながら説明していくよ」
ライに促され、僕は外に出た。
目に飛び込んできた元・アースウォールは、キラキラしていてとても綺麗だった。
昨日のあの様子だと、リーナさんがはっきりとした言葉でしっかりきっちりストレートに伝えない限り、ジルに届くことは難しいだろう。でもリーナさんの方も、奥手な感じだったしな。うーん、なんとももどかしい。
あ、ライはリーナさんの気持ち、知っているのだろうか。
「リーナさん、昨日はすぐに帰っちゃったんでしょう?忙しいみたいだね」
ライにどう聞けばいいだろうかと考えていると、ライがジルに話しかけた。
「ああ。ウィルと話した後、すぐに帰ったな」
「へえ、そうなんだ。もしかして、私の弟子の話から、ジルに結びつけたのかな。森に住んでいるなら、ジルと暮らしている可能性が高いからね。ふふ、相変わらず耳が早いね」
「ファムと仲が良いからな。そこからかもしれん」
「あ、そっか。そうかもね。ふふ、リーナさん、慌ててなかった?」
ライがいたずらっぽい笑みを浮かべる。あ、これ、もしかして、もしかする?
「···?いつものように、忙しそうに見えたが」
ああ、ジルは分かっていないようだ。
「ふふ、そうじゃなくてね。うーん、···あ、父親がジルなら母親は誰なのかって、聞かれなかったかい?」
おお!やっぱりライはリーナさんの好きな人が誰か、知っているようだ。
ファムと仲が良いってことは、ファムがリーナさんに、ジルが父親になったと伝えたのだろうか。
「ああ、母親はいるのかと聞かれたな」
「やっぱり、そうなんだ。それじゃあ、母親がいないなら私はどうかって、言われなかったかい?」
おお!核心に近づいている気がする!
「言われたが···何故分かった?」
おおお!ついに!ついに、運命の時が来るのか!
「ふふ、ジル以外なら、みんな分かると思うよ」
おおお!ライさん、ここで焦らすのか!
「···?何故だ?」
心底不思議そうに、ジルが聞く。···僕はなぜ分からないのかが不思議だよ!
思わず叫びそうになりながらも、二人の会話を邪魔しちゃだめだと我慢する。
「それはジルが気づくことに意味があるんだよ。もしくは、リーナさんの勇気かな」
「リーナの勇気···?何か、俺が気づいていない大変なことでもあるのか?」
ライは言わないのかーーー!まあ、自分の気持ちを知らない所で暴露されるのも可哀想なのかな?ライの言葉から察するに、知らないのはジルだけのようだが。
そしてジルは、リーナさんを心配している。リーナさんが、勇気を振り絞る必要があるくらいに大変なことに直面していると勘違いしているようだ。あ、いや、あながち勘違いでもないのか?
「俺に出来ることがあれば協力するが···」とか言っちゃってるジルを、思わず半目で見る。
「ふふ、ウィル君も、生暖かく見守ろうね」
ライが僕の視線に気づき、そう言った。
「あう」
首を傾げているジルはそのままに、僕は頷く。
リーナさんの恋路は、まだまだ続きそうだ。
「ふふ、ウィル君。自力でファイアショットを習得したようだけど、他の魔法はやってみたかい?」
ライがジルの様子を見てちょっと笑いながら、次の話題に移る。
「あーう」
まだだよ、と首を横に振る。
「それなら、ショット系の魔法を全部やっちゃおうか。残りの属性は、風と光、闇、それから無属性だよね?」
お、ついにショットの魔法を全属性コンプリートできるのか!
「無属性は魔力をそのまま撃ち出すだけだから、基本的には属性のあるショットの方が攻撃力は高くなるんだ」
なるほど。火なら熱さ、土なら硬さなど、属性の特徴がプラスされていると、与えられるダメージも大きくなるのだろう。状況によってより効果的な属性を選べるような判断力も、身に着けたいところだ。
「風属性の特徴は、不可視なことかな。風自体に色はついていないから、魔力視や魔力感知が出来ない相手にはかなり有効な属性だよ。それから、風属性は他属性との複合属性にしやすいんだ。風が加わることで、攻撃範囲が広がり、速度が増して威力が上がる。単純だけど、その効果は侮れないよ」
どこに攻撃が飛んでくるのか分からないのは恐怖だ。かなり神経を尖らせる必要があるし、そうしていると精神的にも負担になりそうだ。それに、単純な強さほど、対処するには同じく強さを要するものだ。風との複合属性というのは、厄介だろうな。
そういえば、ライの得意属性は風だと言っていたな。ライは複合属性も操るようだし、味方で良かったと本気で思った。
「それから、光属性と闇属性についてなんだけどね、この両者は相対する性質を持っているよ。光属性の魔法には回復や強化などの魔法が多いのに対し、闇属性は弱体化の魔法が豊富なんだ」
ほうほう。これはおおむねイメージ通りだ。確かファムは回復が得意と言っていたな。ファムの得意属性は、光なのだろう。
「それから、光属性はアンデッドが苦手としていてね、とてもよく効くんだ。だけど闇属性への耐性があるから、アンデッドには闇以外の属性で対処する必要があるよ。でもね、闇属性の弱体化は耐性を持っていない限りどの魔物にもよく効くから、使い勝手がいいんだ」
なるほど。この世界では、闇属性にマイナスイメージがあるといったことはないようだ。属性の一つとして、受け入れられているのだろう。
「ふふ、簡単な説明はこれくらいにして、外に出てみようか。あとは練習しながら説明していくよ」
ライに促され、僕は外に出た。
目に飛び込んできた元・アースウォールは、キラキラしていてとても綺麗だった。
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