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おっさんゲームす
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魔王城に来て五日ほどが経った。
この数日で、シービーの様子が少し大人しくなったように思う。きっとエンペアが姿を消したせいだろう。どこへ行ったのか周囲に尋ねても、返ってくるのは曖昧な答えばかり。
シービー自身も「ヘマしたら、あたいも……」と怯えた声を漏らすことがある。俺が「気にしすぎじゃないか」と声を掛けても、反応は上の空だ。その姿を見るたびに、なんとなく胸の奥にモヤモヤが残った。
こんな時、電気屋としてどうするべきか。
答えはひとつ──娯楽だ。
俺は休憩室の片隅に立ち、召喚の手を広げた。現れたのは、どでかい百インチのスクリーンと家庭用ゲーム機。ケーブルを繋ぎ、電源を入れる。鮮やかな映像が壁一面に広がった。
この家電召喚の理屈はいまだ分からない。使ったことのある家電しか召喚できないし、異世界のマナとやらが絡んでいるのかもしれない。だがそんな細かいことは今はどうでもいい。重要なのは、この場の空気を変えることだ。
「……な、なんだその魔道具は!?」
さっそくシービーが食いついた。
「これはプロジェクターとマジカルパーティDXっていうゲームだ!」
「ゲーム?」
スクリーンに躍るカラフルなキャラクターたちに、シービーは思わず目を細める。
「このコントローラーでキャラを操作して、色んな競技で勝負するんだ。四人から八人まで同時に遊べる。やってみれば分かるさ」
コントローラーを渡すと、シービーは恐る恐る親指を動かした。
「……おお、動いた!」
画面のキャラが跳ね回る。若いだけあって、飲み込みが早い。
その様子に、遠巻きに見ていたメイドや研究者たちがざわざわと集まってくる。
「これは一体……?」
「うるさい、今いいところなんだ!」
シービーは舌を出し、すっかり夢中になっていた。
ゲームは単純だ。タイミングよくボタンを押したり、ひたすら連打したり。誰でも気軽に参加できるが、白熱すると立派な戦場になる。
「うおおお! わしのキャラが転落したぁ!」
「シービー、やめろ! コントローラーで殴るな!」
「勝つためなら手段を選ばないのが、魔物の誇りです!」
「誇りの使い方間違ってるぞ!」
最初は戸惑っていた魔物たちも、数ターン後には全員が本気モード。ミニゲームが始まるたびに歓声が飛び交う。
樽の上でバランスを取る競技では、研究者が足をもつれさせて大惨敗。爆弾をパスし合うゲームでは、メイド同士の火花散る応酬に他の魔物たちが息を呑む。シービーは相変わらず物理的妨害を繰り返し、ライバルのメイドはそれを見逃さずわめき散らす。
「くっ……次こそは必ずや勝利してみせる!」
「やれるものならやってみなさい!」
退屈と緊張に沈んでいた控え室に、笑い声と叫び声が響き渡った。
そして最終ターン。トップはシービー、二位に老研究員、三位が俺という展開。
最後のミニゲームは、丸太を転がしてゴールを目指す競争だ。
「うおおお、待てぇ!」
「ははは、若造には負けんぞ!」
シービーが先行するも、最後の直線で研究員が奇跡の逆転。優勝が決まった瞬間、広間は大歓声に包まれた。
「やった……これが人生初の一位か」
老研究員の目には涙さえ光っていた。
「な? たまにはこうやって笑った方がいいだろ」
俺はコントローラーを置き、にやりと笑った。
「おっさん、やっぱスゲーんだな。こんな楽しい城内初めてだ」
シービーも頬を紅潮させて笑っている。その姿に、俺も胸をなで下ろした。
「明日は、もっと人を集めて大会にしようぜ!」
俺の提案に、魔物たちは口々に賛同した。
この数日で、シービーの様子が少し大人しくなったように思う。きっとエンペアが姿を消したせいだろう。どこへ行ったのか周囲に尋ねても、返ってくるのは曖昧な答えばかり。
シービー自身も「ヘマしたら、あたいも……」と怯えた声を漏らすことがある。俺が「気にしすぎじゃないか」と声を掛けても、反応は上の空だ。その姿を見るたびに、なんとなく胸の奥にモヤモヤが残った。
こんな時、電気屋としてどうするべきか。
答えはひとつ──娯楽だ。
俺は休憩室の片隅に立ち、召喚の手を広げた。現れたのは、どでかい百インチのスクリーンと家庭用ゲーム機。ケーブルを繋ぎ、電源を入れる。鮮やかな映像が壁一面に広がった。
この家電召喚の理屈はいまだ分からない。使ったことのある家電しか召喚できないし、異世界のマナとやらが絡んでいるのかもしれない。だがそんな細かいことは今はどうでもいい。重要なのは、この場の空気を変えることだ。
「……な、なんだその魔道具は!?」
さっそくシービーが食いついた。
「これはプロジェクターとマジカルパーティDXっていうゲームだ!」
「ゲーム?」
スクリーンに躍るカラフルなキャラクターたちに、シービーは思わず目を細める。
「このコントローラーでキャラを操作して、色んな競技で勝負するんだ。四人から八人まで同時に遊べる。やってみれば分かるさ」
コントローラーを渡すと、シービーは恐る恐る親指を動かした。
「……おお、動いた!」
画面のキャラが跳ね回る。若いだけあって、飲み込みが早い。
その様子に、遠巻きに見ていたメイドや研究者たちがざわざわと集まってくる。
「これは一体……?」
「うるさい、今いいところなんだ!」
シービーは舌を出し、すっかり夢中になっていた。
ゲームは単純だ。タイミングよくボタンを押したり、ひたすら連打したり。誰でも気軽に参加できるが、白熱すると立派な戦場になる。
「うおおお! わしのキャラが転落したぁ!」
「シービー、やめろ! コントローラーで殴るな!」
「勝つためなら手段を選ばないのが、魔物の誇りです!」
「誇りの使い方間違ってるぞ!」
最初は戸惑っていた魔物たちも、数ターン後には全員が本気モード。ミニゲームが始まるたびに歓声が飛び交う。
樽の上でバランスを取る競技では、研究者が足をもつれさせて大惨敗。爆弾をパスし合うゲームでは、メイド同士の火花散る応酬に他の魔物たちが息を呑む。シービーは相変わらず物理的妨害を繰り返し、ライバルのメイドはそれを見逃さずわめき散らす。
「くっ……次こそは必ずや勝利してみせる!」
「やれるものならやってみなさい!」
退屈と緊張に沈んでいた控え室に、笑い声と叫び声が響き渡った。
そして最終ターン。トップはシービー、二位に老研究員、三位が俺という展開。
最後のミニゲームは、丸太を転がしてゴールを目指す競争だ。
「うおおお、待てぇ!」
「ははは、若造には負けんぞ!」
シービーが先行するも、最後の直線で研究員が奇跡の逆転。優勝が決まった瞬間、広間は大歓声に包まれた。
「やった……これが人生初の一位か」
老研究員の目には涙さえ光っていた。
「な? たまにはこうやって笑った方がいいだろ」
俺はコントローラーを置き、にやりと笑った。
「おっさん、やっぱスゲーんだな。こんな楽しい城内初めてだ」
シービーも頬を紅潮させて笑っている。その姿に、俺も胸をなで下ろした。
「明日は、もっと人を集めて大会にしようぜ!」
俺の提案に、魔物たちは口々に賛同した。
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