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シービー決意す
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魔王城の大広間に、冷たい風が流れ込んできた。
混乱し、呆然と立ち尽くす俺に、ルクスが声を掛けてくれた。
「……行くのか」
その背中を押してくれるような優しい声に、頭の霧が晴れた気がした。
「すまねぇ、ルクス。ボルトリアに、大切な仲間がいるんだ」
そう言うと、ルクスは一瞬だけ視線を伏せ、すぐに凛とした表情を作った。
「そうか……」
ルクスは、それ以上、何も返さなかった。けれど、彼女の瞳に一瞬だけ揺らぎが走ったのを俺は見逃さなかった。
「王や姫様が心配です。電次郎殿、急ぎましょう」
クレアが俺の腕を引いた。
真剣な顔の中に、どこか焦りが滲んでいる。
サンダルは肩に担いだバスターソードを叩きながら、ジェダくんを見て叫んだ。
「坊主、外に出ろ。俺達を乗せてすぐにでも飛んでもらう。これは命令だ」
「で、でも……」
「……頼む、俺が居ない間に、ミカ様にもしものことがあったら……」
戸惑うジェダくんに、サンダルはゆっくりと頭を下げた。
あの勝ち気なサンダルが……。
「わかりました。でも、今度は俺の頼みも聞いてもらいますからね」
ジェダくんは、人の姿に戻り、魔王城の外へと歩き出す。
心強い仲間たち。けれど同時に、この先に待つものへの不安で胸が詰まる。
それでも立ち止まるわけにはいかない。
「おっさん……」
みんなの不安を感じてか、シービーが俺の服をつまみ、見上げて来る。
「悪いなシービー、ちょっと用事ができちまった」
「でも、いや……そうか、そうだよな」
シービーは自分に言い聞かせるようにそう呟くと、俺から少し離れ背中を向ける。
突然の別れだけど、今はそれどころじゃない。
ミカちゃん、王様、城や城下町の皆……姫様は、学園だよな? とにかく、心配だ。使える物はなんでも使う。急いでボルトリアに戻ろう。
ジェダくんの後を追うと、シービーがルクスのもとへ走り出したのが分かった。
すまないな二人とも、状況を確認できたら、きっと戻ってくる。
♦-/-/-//-/-/--/-/-/--/♦
重い扉が閉じ、足音が遠ざかっていく。
広間には、ルクスとシービーだけが残された。
「……魔王様、おっさんのやつ、行っちまうけど、いいのか?」
「あの顔を見ただろう? 今の私に彼を止める術はない……もっと一緒にいられたら、少しは状況が変わっただろうか……」
ルクスの寂し気な顔を見上げ、シービーは唇を噛んだ。
「なぁ、魔王様……あたい、どうすりゃいいんだ?」
この状況に困惑しルクスに理解を求めるしかできない自分をシービーに、いつもの威勢はなかった。
「魔王様の命令は、おっさんの世話だろ? 付いていった方がいいのか?」
シービーの少し震えた声に、ルクスは表情を緩めた。
「気付いているのだろう? 君はもう私の眷属ではない」
「……魔王様」
電次郎に蘇生されたあの日から、自分の中のマナが消えたことは分かっていた。
ルクスとの繋がりが途切れてしまったことも。
けれど、それを言葉にするのが怖かった。
「シービー、もう君は自由だ。自分の信じる道を進めばいい」
ルクスは静かに膝を折り、シービーの瞳と同じ高さで見つめた。
シービーは、その魔王らしからぬ優しい声に、涙を浮かべる。
「だが忘れるな。君が私の子であることは、揺るぎない事実。ここは君の帰ってくる場所だ」
ルクスはそう囁き、シービーを抱きしめた。
「魔王様……あたいは、おっさんを追うよ」
「ああ」
「絶対に魔王様のところに連れて帰るから待っててくれよな」
「ふふふ、頼もしいことだ」
シービーは涙を拭い、電次郎を追い掛けた。
混乱し、呆然と立ち尽くす俺に、ルクスが声を掛けてくれた。
「……行くのか」
その背中を押してくれるような優しい声に、頭の霧が晴れた気がした。
「すまねぇ、ルクス。ボルトリアに、大切な仲間がいるんだ」
そう言うと、ルクスは一瞬だけ視線を伏せ、すぐに凛とした表情を作った。
「そうか……」
ルクスは、それ以上、何も返さなかった。けれど、彼女の瞳に一瞬だけ揺らぎが走ったのを俺は見逃さなかった。
「王や姫様が心配です。電次郎殿、急ぎましょう」
クレアが俺の腕を引いた。
真剣な顔の中に、どこか焦りが滲んでいる。
サンダルは肩に担いだバスターソードを叩きながら、ジェダくんを見て叫んだ。
「坊主、外に出ろ。俺達を乗せてすぐにでも飛んでもらう。これは命令だ」
「で、でも……」
「……頼む、俺が居ない間に、ミカ様にもしものことがあったら……」
戸惑うジェダくんに、サンダルはゆっくりと頭を下げた。
あの勝ち気なサンダルが……。
「わかりました。でも、今度は俺の頼みも聞いてもらいますからね」
ジェダくんは、人の姿に戻り、魔王城の外へと歩き出す。
心強い仲間たち。けれど同時に、この先に待つものへの不安で胸が詰まる。
それでも立ち止まるわけにはいかない。
「おっさん……」
みんなの不安を感じてか、シービーが俺の服をつまみ、見上げて来る。
「悪いなシービー、ちょっと用事ができちまった」
「でも、いや……そうか、そうだよな」
シービーは自分に言い聞かせるようにそう呟くと、俺から少し離れ背中を向ける。
突然の別れだけど、今はそれどころじゃない。
ミカちゃん、王様、城や城下町の皆……姫様は、学園だよな? とにかく、心配だ。使える物はなんでも使う。急いでボルトリアに戻ろう。
ジェダくんの後を追うと、シービーがルクスのもとへ走り出したのが分かった。
すまないな二人とも、状況を確認できたら、きっと戻ってくる。
♦-/-/-//-/-/--/-/-/--/♦
重い扉が閉じ、足音が遠ざかっていく。
広間には、ルクスとシービーだけが残された。
「……魔王様、おっさんのやつ、行っちまうけど、いいのか?」
「あの顔を見ただろう? 今の私に彼を止める術はない……もっと一緒にいられたら、少しは状況が変わっただろうか……」
ルクスの寂し気な顔を見上げ、シービーは唇を噛んだ。
「なぁ、魔王様……あたい、どうすりゃいいんだ?」
この状況に困惑しルクスに理解を求めるしかできない自分をシービーに、いつもの威勢はなかった。
「魔王様の命令は、おっさんの世話だろ? 付いていった方がいいのか?」
シービーの少し震えた声に、ルクスは表情を緩めた。
「気付いているのだろう? 君はもう私の眷属ではない」
「……魔王様」
電次郎に蘇生されたあの日から、自分の中のマナが消えたことは分かっていた。
ルクスとの繋がりが途切れてしまったことも。
けれど、それを言葉にするのが怖かった。
「シービー、もう君は自由だ。自分の信じる道を進めばいい」
ルクスは静かに膝を折り、シービーの瞳と同じ高さで見つめた。
シービーは、その魔王らしからぬ優しい声に、涙を浮かべる。
「だが忘れるな。君が私の子であることは、揺るぎない事実。ここは君の帰ってくる場所だ」
ルクスはそう囁き、シービーを抱きしめた。
「魔王様……あたいは、おっさんを追うよ」
「ああ」
「絶対に魔王様のところに連れて帰るから待っててくれよな」
「ふふふ、頼もしいことだ」
シービーは涙を拭い、電次郎を追い掛けた。
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