110 / 130
クレア暴走す
しおりを挟む
幹部たちの反乱は、とりあえずは収まった。
ああいった“力”が全てだと思っている魔物達を、上手く統率しているから、やっぱりルクスはスゲーやつなんだな……というか、俺がルクスと結婚したら、今度は俺がその役目を担わなきゃなんないのか……お断りもアリだな。
って、急に不安が押し寄せ、視線を泳がせると、クレア達が目に入った。
「そ、そういえばさ……」
俺はおずおずと口を開いた。
「クレアにサンダル、それにジェダまで……わざわざ魔王城なんかに来て、いったい何の用だったんだ?」
すっとぼけた調子で言ったつもりだが、内心は気が気じゃない。
みんな俺のことが心配で来てくれたんだと思うが……。
サンダルが苦笑混じりに鼻を鳴らした。
「なんの用だ、だと? こっちはお前を助けに来てやったんだぜ。命がけでな」
そして肩をすくめ、ため息をつく。
「けどよ……実際に来てみりゃ、お前、なんだか割と歓迎されてるように見えるんだが」
図星だ。
俺はルクスに庇われ、シービーや魔王の部下たちからもそれなりに扱われ……囚われの身というより、妙に客人扱いを受けている。
「そ、それは……まぁ、いろいろあってな」
と、ごまかそうとした瞬間、鋭い声が飛んできた。
「電次郎殿!」
クレアだった。顔を真っ赤にして、俺に詰め寄る。
「大丈夫か!? 拷問など受けていないか!? ご飯はちゃんと食べられているか!? ……いや、それは後回しだ!」
矢継ぎ早に質問してきた後、彼女はぐっと顔を寄せてきた。
「結婚とはどういうことだ!? 私がいるのに、どういうことだ!?」
「け、けっこん……!? いや、それはだな……というか、“私がいるのに”ってどういうことか、俺の方が聞きたいんだが?」
思わず声が裏返った。
「なんだ? お前らそんな関係だったのか?」とサンダルが軽蔑の眼差しを向ける。
「おい、おっさん、どういうことだよソレ。このねーちゃんと良い仲なのか?」
シービーも話に割り込んできた。
「ちょ、ちょっと待て、話が分からん。クレアは恩人だけど、そんな仲じゃ……」
「そんな……私はお前の家電を……いや、お前を主夫に……いや、とにかく、他の誰かと結婚されると困るんだが?」
泣きそうなクレア。
この人、こんなキャラだったっけ?
訳の分からない話しだけど、クレアの涙で、他の皆の俺を見る目が軽蔑の眼差しへと変わっていくのが分かった。
「魔王様って婚約者が居るのに、他の女にも手を出してたのかよ。おっさんサイテーだな」
シービーが揶揄う様に言った。こういうときのコイツはたちが悪い。
「はぁ? 魔王が婚約者? とんだ玉の輿じゃねぇーか、やりやがったなこのオヤジ」
サンダルが大声で笑いながら俺の肩を叩いた。
「いや、まぁ……」
色々問題はあるけど、男に二言はねぇ。
俺はルクスと魔王領を復興させてやるんだ。
「魔王と結婚っ?」
クレアが今までにないくらいの裏返った声で詰め寄ってきた。
「魔王ってあれか?」
クレアはルクスを指差して続けた
「あの胸か? 大きいのがいいのか? 私だって負けてないぞ」
「バカ言うなよ、そんなんじゃねぇ」
否定はしたが、ルクスのスタイルは正直言って最高だ……って、思っている場合じゃない。
「じゃあ、なんだ? 資産か? 地位か? 名誉か? そんな物、お前には似合わない。そうだろ?」
「そ、そうだけどよ。いや、そうじゃないって。話をややこしくしないでくれ」
「じゃあ、電次郎さん。早くここから出ましょう」
しびれを切らしたようにジェダくんが言った。
「ジェダくんっ、こんな所に学生が来ちゃダメだろ。優しい魔物も多いけど、危険だ」
「危険は承知です。でも、電次郎さんの力を貸して欲しいんです」
ジェダくんは、そう言うと何か聞いたことのない呪文を唱えた。
すると、一瞬のうちにジェダくんの体が2メートルくらいのドラゴンに変わった。
「は? えっ? ジェダくん?」
「ドラゴン族だとよ、大きさも自由自在だ。もっとデカくなれるぜコイツ。一度手合わせ願いてぇもんだ」
サンダルがバスターソードを握り、不敵に笑った。
「ど、ドラゴン族? ジェダくんが? って、あれ、このドラゴンってどこかで見たことあると思ったら。こっちに来るときとか、ドローンに映ってたドラゴンじゃ」
「ええ、ずっと見てましたよ。電次郎さんのこと」
ジェダくんだったドラゴンから、ジェダくんの声が聞こえてきた。
まったくもって意味が分からん。
けど、なんだか、めちゃくちゃワクワクする。
「ええい、みんな私の大事な話に割り込んでくるな」
クレアが顔を真っ赤にして、俺の腕を掴む。
俺は深くため息をついた。
「はぁ……お前ら、ほんとに俺を助けに来たのか? なんか、漫才しに来たみたいに見えるぞ」
俺がそう言い終えると。
──バンッ!
と、重い扉が勢いよく開かれた。
ルクスの部下らしき魔物が、血相を変えて駆け込んでくる。
「ま、魔王様っ、ご報告があります」
その異様な様子に、場の空気が一変した。
ルクスが目を細め、低い声で問う。
「……何があった」
部下は肩で息をしながら、必死に言葉を絞り出す。
「ボルトリア国……壊滅、との報せが!」
再会の喜びと、くだらない話で盛り上がっていたその場の空気が一変した。
ああいった“力”が全てだと思っている魔物達を、上手く統率しているから、やっぱりルクスはスゲーやつなんだな……というか、俺がルクスと結婚したら、今度は俺がその役目を担わなきゃなんないのか……お断りもアリだな。
って、急に不安が押し寄せ、視線を泳がせると、クレア達が目に入った。
「そ、そういえばさ……」
俺はおずおずと口を開いた。
「クレアにサンダル、それにジェダまで……わざわざ魔王城なんかに来て、いったい何の用だったんだ?」
すっとぼけた調子で言ったつもりだが、内心は気が気じゃない。
みんな俺のことが心配で来てくれたんだと思うが……。
サンダルが苦笑混じりに鼻を鳴らした。
「なんの用だ、だと? こっちはお前を助けに来てやったんだぜ。命がけでな」
そして肩をすくめ、ため息をつく。
「けどよ……実際に来てみりゃ、お前、なんだか割と歓迎されてるように見えるんだが」
図星だ。
俺はルクスに庇われ、シービーや魔王の部下たちからもそれなりに扱われ……囚われの身というより、妙に客人扱いを受けている。
「そ、それは……まぁ、いろいろあってな」
と、ごまかそうとした瞬間、鋭い声が飛んできた。
「電次郎殿!」
クレアだった。顔を真っ赤にして、俺に詰め寄る。
「大丈夫か!? 拷問など受けていないか!? ご飯はちゃんと食べられているか!? ……いや、それは後回しだ!」
矢継ぎ早に質問してきた後、彼女はぐっと顔を寄せてきた。
「結婚とはどういうことだ!? 私がいるのに、どういうことだ!?」
「け、けっこん……!? いや、それはだな……というか、“私がいるのに”ってどういうことか、俺の方が聞きたいんだが?」
思わず声が裏返った。
「なんだ? お前らそんな関係だったのか?」とサンダルが軽蔑の眼差しを向ける。
「おい、おっさん、どういうことだよソレ。このねーちゃんと良い仲なのか?」
シービーも話に割り込んできた。
「ちょ、ちょっと待て、話が分からん。クレアは恩人だけど、そんな仲じゃ……」
「そんな……私はお前の家電を……いや、お前を主夫に……いや、とにかく、他の誰かと結婚されると困るんだが?」
泣きそうなクレア。
この人、こんなキャラだったっけ?
訳の分からない話しだけど、クレアの涙で、他の皆の俺を見る目が軽蔑の眼差しへと変わっていくのが分かった。
「魔王様って婚約者が居るのに、他の女にも手を出してたのかよ。おっさんサイテーだな」
シービーが揶揄う様に言った。こういうときのコイツはたちが悪い。
「はぁ? 魔王が婚約者? とんだ玉の輿じゃねぇーか、やりやがったなこのオヤジ」
サンダルが大声で笑いながら俺の肩を叩いた。
「いや、まぁ……」
色々問題はあるけど、男に二言はねぇ。
俺はルクスと魔王領を復興させてやるんだ。
「魔王と結婚っ?」
クレアが今までにないくらいの裏返った声で詰め寄ってきた。
「魔王ってあれか?」
クレアはルクスを指差して続けた
「あの胸か? 大きいのがいいのか? 私だって負けてないぞ」
「バカ言うなよ、そんなんじゃねぇ」
否定はしたが、ルクスのスタイルは正直言って最高だ……って、思っている場合じゃない。
「じゃあ、なんだ? 資産か? 地位か? 名誉か? そんな物、お前には似合わない。そうだろ?」
「そ、そうだけどよ。いや、そうじゃないって。話をややこしくしないでくれ」
「じゃあ、電次郎さん。早くここから出ましょう」
しびれを切らしたようにジェダくんが言った。
「ジェダくんっ、こんな所に学生が来ちゃダメだろ。優しい魔物も多いけど、危険だ」
「危険は承知です。でも、電次郎さんの力を貸して欲しいんです」
ジェダくんは、そう言うと何か聞いたことのない呪文を唱えた。
すると、一瞬のうちにジェダくんの体が2メートルくらいのドラゴンに変わった。
「は? えっ? ジェダくん?」
「ドラゴン族だとよ、大きさも自由自在だ。もっとデカくなれるぜコイツ。一度手合わせ願いてぇもんだ」
サンダルがバスターソードを握り、不敵に笑った。
「ど、ドラゴン族? ジェダくんが? って、あれ、このドラゴンってどこかで見たことあると思ったら。こっちに来るときとか、ドローンに映ってたドラゴンじゃ」
「ええ、ずっと見てましたよ。電次郎さんのこと」
ジェダくんだったドラゴンから、ジェダくんの声が聞こえてきた。
まったくもって意味が分からん。
けど、なんだか、めちゃくちゃワクワクする。
「ええい、みんな私の大事な話に割り込んでくるな」
クレアが顔を真っ赤にして、俺の腕を掴む。
俺は深くため息をついた。
「はぁ……お前ら、ほんとに俺を助けに来たのか? なんか、漫才しに来たみたいに見えるぞ」
俺がそう言い終えると。
──バンッ!
と、重い扉が勢いよく開かれた。
ルクスの部下らしき魔物が、血相を変えて駆け込んでくる。
「ま、魔王様っ、ご報告があります」
その異様な様子に、場の空気が一変した。
ルクスが目を細め、低い声で問う。
「……何があった」
部下は肩で息をしながら、必死に言葉を絞り出す。
「ボルトリア国……壊滅、との報せが!」
再会の喜びと、くだらない話で盛り上がっていたその場の空気が一変した。
3
あなたにおすすめの小説
神様転生~うどんを食べてスローライフをしつつ、領地を豊かにしようとする話、の筈だったのですけれど~
於田縫紀
ファンタジー
大西彩花(香川県出身、享年29歳、独身)は転生直後、維持神を名乗る存在から、いきなり土地神を命じられた。目の前は砂浜と海。反対側は枯れたような色の草原と、所々にぽつんと高い山、そしてずっと向こうにも山。神の権能『全知』によると、この地を豊かにして人や動物を呼び込まなければ、私という土地神は消えてしまうらしい。
現状は乾燥の為、樹木も生えない状態で、あるのは草原と小動物位。私の土地神としての挑戦が、今始まる!
の前に、まずは衣食住を何とかしないと。衣はどうにでもなるらしいから、まずは食、次に住を。食べ物と言うと、やっぱり元うどん県人としては……
(カクヨムと小説家になろうにも、投稿しています)
(イラストにあるピンクの化物? が何かは、お話が進めば、そのうち……)
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる