しがない電気屋のおっさん、異世界で家電召喚ライフしてたら民から神格化され魔王から狙われる

長月 鳥

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おっさん救出す

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 「本当に見つかるんですか? この学園、一般的な王国の城下町より広いですよ」
 スイランが心配そうな顔をして尋ねた。
 「大丈夫だ! お前たちも訓練を始めてから付けてくれているだろ?」
 俺は、スイランの手首に付いているタグを指差して言った。
 「GPSってやつですか?」
 スイランは隣で首をかしげる。
 「まぁ大まかに言うと、そうだけど……」
 姫様を見つけるための手がかりに仕えると思って、みんなに持たせたGPSタグの受信機を取り出した。
 現実のGPSは衛星がないと意味ないんだが、ローカル測位タグなら衛星を介さないで対象の動きや位置を受信可能だ。
 ちょっと前までは、他の家電と一緒で、タグが俺の手から離れた瞬間に反応しなくなったけど、最近になって電力供給の範囲が広がって使えるようになってきた。
 これも鍛錬の賜物なのだろうか? 電子の粒子が無い世界だと思っていたけど、俺から漏れ出ている電力が多いと使えるようになるみたいだな……最初は俺自身がコンセントかと思っていたけど、電力そのものっぽくなってきたな……。
 電力漏れを止めるために、学校に来て、勉強して魔力を高めてきたつもりだけど……逆に漏れ漏れになってきてんだから世話ねぇよな。
 まぁ今は有効に使わせてもらおう。
 「とにかく今は動き回ろう。俺の電力が届く範囲に姫様のタグが入れば反応があるはずだ」

 受信機を片手に、俺達は捜索を続けて1時間ほど経過したとき──。
 「キタぞ、この辺だ!」
 流石、最新の測位タグだ。バッチリ反応があった。 
 「ここは……」
 ステラが何かに気付いたようだ。
 「知っている場所か?」
 「ええ、この地下には魔物の実験施設があります。魔物を生きたまま捕獲した際に使用される場所なので、普段は誰も近づきません」
 そんな物騒な施設もあるのかよ……でも、もしも誰かを連れ去ろうと考えたときの一時的な監禁場所としてはうってつけってことかもな……無事でいてくれよ姫様。

 「間違いない、タグの反応はこの地下だ。いくぞ!」
 ステラの案内で、俺たちは人気のない地下通路を抜けていった。足元には苔が生え、空気がじっとりと重い。
 道中でスイランが空気中に漂うマナ濃度が異様に高いと呟いた。魔物と関係あるってことか? 研究してどうしようっていうんだ……。

 「この先の部屋です。複数の気配があります……」
 ジェダくんが静かに告げた。魔力探知には自信があるらしい。頼れるぜ。

 「行くぞ、構えろ。もしも誘拐だったら時間との勝負だ」
 全員がうなずく。

 俺は無言でドアに飛び蹴りをかますと、勢いよく開いた。
 中には清掃員の恰好をした数人の男たち……そして部屋の奥には拘束された姫様の姿──。

 「誰だてめぇら!?」
 話し合いでもしていたのだろう。男たちは姫様から離れた場所で固まっていた。数は四人……俺達の方が有利だ。

 みんな姫様の状況にすぐに気付き動き出す。
 最初にトレスが炎の玉を男達に向けて撃ち込んだ。
 奴らは咄嗟に防御魔法を展開させる……ただの清掃員じゃなさそうだな。

 別の男が攻撃魔法を仕掛けようとしたが、ステラが魔法障壁を展開させ、スイランが煙の幻影魔法を唱える。
 その煙の中をライミが颯爽と走り抜け、防御魔法を無視して打撃を打ち込み、次々と倒していく。
 ジェダくんも、男の一人の首を片手で締め上げた。

 みんな鬼の形相だ……その光景に不安を感じた俺は、スタンガンを取り出し、男達を気絶させていく。
 許せねぇ誘拐犯だとはいえ、この子たちに人殺しをさせちゃなんねぇ……。

 「今のうちに、こいつらを魔法で拘束してくれ」
 俺は、姫様の元へ走った。
 目と口を塞がれ、椅子に縛り付けられているが衣服の乱れは無い。
 「大丈夫か? 今解いてやる」
 
 痛々しい手首の腫れ……ひでぇことしやがるぜ。もう一回スタンガンぶち込んでやる。

 「……おじさま……」
 拘束を解いた瞬間、姫様は涙を浮かべ唇を噛んだ。
 「大丈夫か?」
 「……はい……みんなも、ありがとうございます」

 「よかったにゃん」
 「エネッタさん大丈夫ですか?」
 「一体どうしてこんなことに」
 みんなも心配して集まってきた。
 「お金目当てでしょうか?」
 「恐らくは……わたくしのことを三日間拘束していればお金が貰える……そう話し合っていました」
 「三日? なんのために……」
 魔法競技会の期間中?
 「とにかく、こいつらを先生たちに引き渡そう。理由はそれからだ」
 警察機関はないけど、騎士団のような組織は学園にもあるはずだ。処罰は任せよう。
 「……犯行には先生が関わっているとも話していました」
 「……」
 姫様の言葉に、みんな眉を顰める。

 「先生方がこんなことするとは思えませんが……」
 「王族の富は計り知れないからな……」
 スイランの言葉にトレスが怪訝な顔で応えた。
 金に目がくらんで魔が差すなんて、どこでも起こることだけど……現実、しかも身内に起こるとなんとも言えねぇ空気になるな。

 「騎士団とか警備とかを呼んだ方が良さそうだな」
 「そうですね、俺が見張ってますんで。みんなは呼んできてください」
 ジェダくんが見張りを引き受けてくれた。きっと姫様は一刻も早くここを離れたいはずだ。とりあえず寮に帰って休んでもらおう。
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