64 / 130
ゴーレム暴走す
しおりを挟む
学園最大のイベント、マナラグナロク。
これは、学生たちが自分の持てる魔力のすべてをぶつける“最終試験”みたいなもんらしい。しかも、観客も貴族も上層部も見てる、いわばスカウトが見に来てる甲子園の決勝戦みてぇなもんだ。
世界最高の魔力を持つ連中が集まるこのエルグラッドで、その頂点を決める名誉と誇りとちょっとの狂気が入り交じったバトル。
「電次郎さん、準備は万全ですか?」
スイランが真顔で聞いてくるけど、こっちはもう汗が止まらねぇ。なんせ的が、普通じゃない。
──魔導ゴーレム。
ステラの敬愛するライオネット先生が先導して作ったという“特別製”だ。
ステラのトラウマを垣間見たから、ライオネット先生の凄さがよく分かる。孤児を引き取って育てるなんて、なかなかできないぜ……ただただ尊敬するばかりだ。そんな人が作ったっていうんなら、きっと凄い物なんだろう。
高さ十メートル。鋼のように硬い外装、内部には魔力吸収の結界。
動かない、喋らない、感情もない。ただひたすらに、魔力を吸う木偶人形。
「不気味だ……」
第一印象はその一言に限る。
どんなに強大な魔力をぶつけても効かないゴーレムなんて、一体どうやって作ったんだ?
動かないからいいけど、こんなのが暴れ出したら誰が止めるんだろう……なんて考えるだけ無駄か。これは競技大会、みんなで一生懸命競い合って優劣を決める青春の一ページ。気持ちを切り替えて、本番に備えねば……。
──なんて、思った矢先だった。
「ッ……う、うわああああっ!?」
観客席から誰かの悲鳴が上がった。ざわつく空気。視線が一斉に、フィールドの一点へ集中する。
……まさか。
俺もつられて視線を向けた瞬間、背筋が凍りついた。
動かないはずの魔導ゴーレムが、立ち上がっていた。
ガコンッ。ギギギギ……と、関節が不気味な金属音を響かせながら、巨体を揺らして起き上がる。
いや、一体じゃねぇ。二体、三体、四体……五体!
「おいおい、嘘だろ……!?」
「なんかのイベントにゃん?」
ライミが尻尾をふりふりして尋ねた。
「あの魔導ゴーレムが動くなんて聞いたことありません」
スイランの表情が曇り、額から汗が流れる。
コレ……マジでやべぇ状態なんじゃ。
「避難しましょう。ここは危険です」
ステラの声に、みんな頷く。
「ダメだ。逃げ遅れた生徒が多すぎる。助けないと……みんなは先生連中を呼んできてくれ」
俺はみんなの返事を待たずに走った。
ゴーレムの目が光っている。まるで生き物みたいだ。
「ひ、避けてっ!」
鋼の腕が振り下ろされた瞬間、生徒数人がギリギリで飛び退いた。地面が陥没し、土煙が巻き上がる。
あんなの食らったら、怪我どころじゃ済まねぇぞ。
悲鳴が上がり、逃げ惑う生徒たち。
騒ぎを聞きつけた先生たちも駆けつけるけど、慌てるだけで動けない……そりゃそうだ、魔法が効かないんじゃ動きようがない。
そんな中、ゴーレムの一体がこちらに顔を向けた。
「魔法が効かにゃいにゃら、直接攻撃にゃ」
ライミの声が後ろから聞こえ、そして俺の横を走り抜けていった。
「ライミっ、無茶すんなよ」
ライミの言う通りだ。だったら俺も物理攻撃で。
俺はサンダルとの戦いで使ったスタンガンブレードを取り出し、ライミの後を追った。
これは、学生たちが自分の持てる魔力のすべてをぶつける“最終試験”みたいなもんらしい。しかも、観客も貴族も上層部も見てる、いわばスカウトが見に来てる甲子園の決勝戦みてぇなもんだ。
世界最高の魔力を持つ連中が集まるこのエルグラッドで、その頂点を決める名誉と誇りとちょっとの狂気が入り交じったバトル。
「電次郎さん、準備は万全ですか?」
スイランが真顔で聞いてくるけど、こっちはもう汗が止まらねぇ。なんせ的が、普通じゃない。
──魔導ゴーレム。
ステラの敬愛するライオネット先生が先導して作ったという“特別製”だ。
ステラのトラウマを垣間見たから、ライオネット先生の凄さがよく分かる。孤児を引き取って育てるなんて、なかなかできないぜ……ただただ尊敬するばかりだ。そんな人が作ったっていうんなら、きっと凄い物なんだろう。
高さ十メートル。鋼のように硬い外装、内部には魔力吸収の結界。
動かない、喋らない、感情もない。ただひたすらに、魔力を吸う木偶人形。
「不気味だ……」
第一印象はその一言に限る。
どんなに強大な魔力をぶつけても効かないゴーレムなんて、一体どうやって作ったんだ?
動かないからいいけど、こんなのが暴れ出したら誰が止めるんだろう……なんて考えるだけ無駄か。これは競技大会、みんなで一生懸命競い合って優劣を決める青春の一ページ。気持ちを切り替えて、本番に備えねば……。
──なんて、思った矢先だった。
「ッ……う、うわああああっ!?」
観客席から誰かの悲鳴が上がった。ざわつく空気。視線が一斉に、フィールドの一点へ集中する。
……まさか。
俺もつられて視線を向けた瞬間、背筋が凍りついた。
動かないはずの魔導ゴーレムが、立ち上がっていた。
ガコンッ。ギギギギ……と、関節が不気味な金属音を響かせながら、巨体を揺らして起き上がる。
いや、一体じゃねぇ。二体、三体、四体……五体!
「おいおい、嘘だろ……!?」
「なんかのイベントにゃん?」
ライミが尻尾をふりふりして尋ねた。
「あの魔導ゴーレムが動くなんて聞いたことありません」
スイランの表情が曇り、額から汗が流れる。
コレ……マジでやべぇ状態なんじゃ。
「避難しましょう。ここは危険です」
ステラの声に、みんな頷く。
「ダメだ。逃げ遅れた生徒が多すぎる。助けないと……みんなは先生連中を呼んできてくれ」
俺はみんなの返事を待たずに走った。
ゴーレムの目が光っている。まるで生き物みたいだ。
「ひ、避けてっ!」
鋼の腕が振り下ろされた瞬間、生徒数人がギリギリで飛び退いた。地面が陥没し、土煙が巻き上がる。
あんなの食らったら、怪我どころじゃ済まねぇぞ。
悲鳴が上がり、逃げ惑う生徒たち。
騒ぎを聞きつけた先生たちも駆けつけるけど、慌てるだけで動けない……そりゃそうだ、魔法が効かないんじゃ動きようがない。
そんな中、ゴーレムの一体がこちらに顔を向けた。
「魔法が効かにゃいにゃら、直接攻撃にゃ」
ライミの声が後ろから聞こえ、そして俺の横を走り抜けていった。
「ライミっ、無茶すんなよ」
ライミの言う通りだ。だったら俺も物理攻撃で。
俺はサンダルとの戦いで使ったスタンガンブレードを取り出し、ライミの後を追った。
10
あなたにおすすめの小説
神様転生~うどんを食べてスローライフをしつつ、領地を豊かにしようとする話、の筈だったのですけれど~
於田縫紀
ファンタジー
大西彩花(香川県出身、享年29歳、独身)は転生直後、維持神を名乗る存在から、いきなり土地神を命じられた。目の前は砂浜と海。反対側は枯れたような色の草原と、所々にぽつんと高い山、そしてずっと向こうにも山。神の権能『全知』によると、この地を豊かにして人や動物を呼び込まなければ、私という土地神は消えてしまうらしい。
現状は乾燥の為、樹木も生えない状態で、あるのは草原と小動物位。私の土地神としての挑戦が、今始まる!
の前に、まずは衣食住を何とかしないと。衣はどうにでもなるらしいから、まずは食、次に住を。食べ物と言うと、やっぱり元うどん県人としては……
(カクヨムと小説家になろうにも、投稿しています)
(イラストにあるピンクの化物? が何かは、お話が進めば、そのうち……)
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる