イチジクの木の守れ

イチジクの木を守れ

昔、イチジクが大好きで毎日食べてもあきないという、子スズメのチュンタがいました。

チュンタは、イチジクの実がなっているにおいをかぎ分け、晴れの日も風が吹こうが雨が降ろうが、あちこち飛び回りイチジクの実を食べ歩いていたのでした。

そんなある日、お母さんスズメとチュンタの会話です。
「チュンタ～そんなにイチジクばかり食べているとおなかをこわすわよ」
「だいじょうぶだよ～」
「そうかい？でも食べすぎるんじゃないよ～」
「わかっているよ～」
「あっそうそう、チュンタが大好きなイチジクの木が大変なんだよ～」
「何？イチジクの木が大変って、お母さんどうしたの？」
「となりのおばちゃんから聞いたんだけど、キボリカミキリムシがイチジクの木の中に卵を生んで、その卵が成長して幼虫になると、イチジクの木の中身を食い荒らしてイチジクの木がボロボロになってダメになっちゃうんだって～。そのうちキボリカミキリムシのせいで、チュンタの大好きなイチジクの実が一生食べられなくなっちゃうかもしれないよ」
「えっ～？お母さんそれ本当？」
「となりのおばちゃんから聞いたからまちがいないよ～」
「えっ～俺が大好きなイチジクをキボリカミキリムシのせいで一生食べられなくなっちゃうって～？そんなのないよ～。キボリカミキリムシを見つけたら取っつかまえて、この俺がやっつけてやる～」
そう言っていかりくるったチュンタは、キボリカミキリムシを探しはじめました。
そしてとうとう、イチジクの木の回りにキボリカミキリムシを数ひき発見したのです。
チュンタはキボリカミキリムシに
「やい、キボリカミキリムシあっちへ行け～。このイチジクの木は俺の命に変えてでもぜったいに守ってみせるぞ」と言って、自分の体の何倍もある大きな羽を広げキボリカミキリムシ達に向けて必死であおぎはじめたのです。
するとどうでしょう、キボリカミキリムシ達はチュンタのいきおいに負けたようで、必死ににげて行ったのです。

それからもチュンタは、毎日イチジクの木々達を見回りしました。そのおかげでチュンタが住む町にあるイチジクの木々には二度とキボリカミキリムシ達があらわれることはなくなりました。
チュンタはイチジクの木を守ったのです。

そしてチュンタが守ったイチジクの木々達は、
「チュンタ君、私達を守ってくれてありがとう」とお礼を言ってたくさんのイチジクの実を実らせているのです。