私の宝石を探して

ひちゅ

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1.始まりの記憶

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精霊の力を借りて家を作ったり、王様が凄腕の魔法使いを集めた騎士団を編成していたり、旅に出て魔物を狩るなんて、そんなの生まれた時から当たり前の常識な世界で育った私は晴れて24歳という若さで魔法クリエイターの資格を取得してからすでに5年。

「・・・ぅぅ~~~っ!」

新しい魔法を作り始めると集中しすぎてご飯を食べなかったりお風呂に入らなかったりと、あまりよろしくない行動をしてしまうが、直すことも無く続けてしまっている。
もうすぐ30歳になるからか、体のコリが気になり始めたのが最近の自分ニュースだ。
今もつい何時間も机に向かっていたためにいけない、と思い椅子に向かって背中を反らし伸びをしながら頭の中は次なる魔法の製作の考えしか無かった。

「この間の騎士団長の企画書、すごかったな・・・」

レディエラリアと呼ばれるこの国を守る騎士団の頂点に立つ御方、アルデ様が時間系統に関する魔法の可能性を発表された。
自分も時間系統の魔法は力を入れたいと考えていたためにこのチャンスを逃さない!と強く思い明日ようやく面会の予約がとれた所だった。



『サナンは、魔法を楽しそうに使うな』



小さい頃に言われた言葉をずっと覚えてる

目を閉じれば、小さい頃から変わらない優しい緑色の目がこっちを見てた





***




本来10代で遅かれ早かれコアと呼ばれる宝石が体のどこかに現れるはずなのに、何故か自分には出ない。

そんな異常事態に確信したのは21歳の時だった

もしかしたら明日には、月が変われば、年が変われば
そうやって思う事が増えた果てはコア専門の医師たちの残酷な言葉。

「彼は、生まれつきコアが無い体」

では私の感情や記憶はどう説明するのだと取り乱しても医師たちは調べる術は無いと言った、もし理由を調べたいのなら君のこれからの時間を全て預けてくれないか、とおぞましい顔で告げた。

つまりは実験体になれと言ったのだ。

断ってから家にこもっていつもと同じ、魔法を作る事に集中しながらずっと自分のこれからを考えてた。
侯爵家の子息である自分が実験体になるといっても、酷い扱いは受けないと思う...たぶん。
クリエイターになる夢を一時的に諦めてコアが出現しない問題を片付けるのもありなんじゃないかと。

そう思うぐらいコアの存在は大切なものだった

心の結晶、もう一つの心臓、自らの半身

呼び方は色々あれどかけがえのないものなのだ
だからこそ、夢を少し諦めるぐらいと思ってしまう


コンコン


突然のドアをノックする音にビクッ!と手が揺れてしまい、魔法を固めようとしていたが拡散させてしまった。
まだまだ経験が足りないな、と小さく笑ってしまい返事をする。

「サナン、開けてもいいか?」

「アルデ様?」

どうぞ、と声をかけるとムスッとしたアルデ様が入ってきた。

「聞こえたぞ、様など付けるな」

「あ、そうだった...つい、ごめん兄さん」

今までどおり兄さんと呼べば満足気に近づいてきたのでソファに掛けてもらいお茶にしながら最近の話題とかたくさん話した、そしてコアの事も。

そして悩む私に彼は言った

「クリエイターとなって働きながらコアを探せば、何も後回してないし、諦めてもいない」

どちらかを選ぶ必要もないし、選ばない必要もないのだと
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