私の宝石を探して

ひちゅ

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6.女の戦いと赤の花

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「我らが煌めく星よ、お呼びにより参上いたしました」

王位継承権第一位ギルバーン・ウル=レディエラリアはやや強引さが目立ってしまうが勤勉であり、未来の王に相応しい威厳を持った方。なのだが、なにやらお疲れのご様子。
臣下に弱った姿を見せる事を良しとしない、自分に厳しい御方なのだが...おや?と思いながらも姿勢を崩さずに返答を待った。

「...サナンよ、頼みがある」

「はい、殿下。どのような命でしょうか?」

「公爵家に【聖女】を預けたいのだ、バルトロメオを説得してくれないか?」

「...承知いたしました、が、少々お時間を頂く事になりますが、よろしいでしょうか?」

バルトロメオは余程の事が無い限りエメロード邸への立ち入りを許可しない、それは幼少の頃より言い聞かされる事でもあり自衛のためでもあるからだ。
王族であるギルバーン殿下が命じてしまえば全て丸く収まるわけは無い、というのは本人が一番理解しているから、遠回りして私に話を持ってきたのだろう。

「しかし王宮の方が警備の面から見ても申し分無いのですが、なぜ公爵家へ?」

ギルバーン殿下の隠しきれない疲労と関係しているのだろうか?と訝しんでいたら豪華な扉を蹴破る勢いで乱入する一人の女性。

わたくしはあの方があまり好きになれませんわ!!!」

原因は、シューラ王女だった。




***




「分かっているのです、わたくしが我慢して彼女をもてなさなければいけないって...でもっ、でも彼女っ、シライ様はお兄様の事を呼び捨てにするのですよ!?何度注意しても...」

ギルバーン殿下に少しでも休んで欲しいという事もあって、王女お気に入りのニュアと呼ばれる真っ赤な花が咲き誇る園へと移動してお茶を頂きつつ事の顛末を聞く。
余程親しい間柄でなければ名前を呼び捨てで言わないし、大人になった自分たちは立場もある。
公私混同は、許されない。
何より他の者に示しがつかなくなってしまう。

「その様なことがあったのですね...申し訳ありませんが、もう少々お待ち頂けますか?なるべく早くバルトロメオ様に話を通しますので」

「お願い致します...もちろん待ちますわ、サナン様がわたくしとの約束を破った事なんてありませんもの!」

「ありがとうございます、ややハードルが上がってしまいましたが、早めに良い知らせをお届け出来るよう頑張りますね」

なかなか嵐の様な【聖女】だと、心の中でため息をつかざるをえない。
なるべく早く魔法の調査の協力を打診しつつ、あまり目立たない場所へと離してしまうのが必要の様だな、と考え込む。
一番いいのは人の出入りが少なく、かつ警備面で心配の無いエメロード邸なのだが、なかなか難関だ...とニュアの華やかな香りに包まれながら
どう次期頭首を説得するか、もやもや考え続けた。




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