私の宝石を探して

ひちゅ

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7.恐怖か、熱情か *

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非常に困っている

バルトロメオを説得したいのだが全くいい案が浮かばない、と正直に打ち明けた。

「なるほど、まぁそんなに困っているなら私も協力しよう」

「ありがとう!アルデ兄さんと一緒ならバルトも考えてくれると思うから助かるよ!」

「で?」

「え?」

「もちろん、報酬が必要だ」

ぅぐ、と喉から変な音が出た。
アルデ兄さんが頼み事をする時に見返りを求めてくるのはちょっと機嫌がよろしくない時、というのは今までに何回か経験したので分かってる。

買い物に付き合う
ケーキを焼いてくる
アルデの好きな所を3つ言う
添い寝

などなど...難易度的にはそう高くないのだが、たまに心臓に悪いのが混じる。

「今回は、再現だ」

「再現...何の?」

「この間の、夜の再現、だ」

目を細めてこちらを見てくるアルデ兄さんの瞳の色に、耐えれなくてそらしてしまった。

でも分かる、彼はずっと、こちらを見てる。

「そ、れは...他の!他ので希望します!」

「私の報酬だぞサナン?私が決める、再、現、だ」

「でも、酔って何も覚えてないんです!」

「心配いらない、私が全て、教えてやる」

いつからだろう
さぁ、と腕を広げて待ち構える目の前の男に、安心感と他の感情を混ぜるようになったのは。



恐怖か?



二人分の重みに作りの良い椅子もキシッと音を立てるが、それだけ。

「腕はこっちだ」

「で、も、重いですよ...」

首に腕を回すように誘導されるが、そうするとより密着してしまうから重みも加わる。
一人でソワソワしていたら強引に腕を引っ張られると同時に片手で腰を強く下に押された、結果は全てをアルデ兄さんに押し付けて終わる。

「にいさっ...!ご、ごめんなさい」

「謝るな、これでいいんだ。そのまま、首に鼻を寄せて」

頭を撫でながら言われた時にはすでに、アルデ兄さんの匂いを感じ取っていた。
大好きな、ハーブの香り
耳をぺろっと舐められて驚いた時に、無意識に嗅いでいたと気付いた。

「...ぁっ!な、舐めっ...」

「好きなのか?ハーブの香りが」

「そう...だと思います、安心、するというか...」

そのまま深く吸い込めば小さくそうか、と答えて耳下を強く吸い付かれた

「ぃっ...んっ!」

「痛かったか?すまない、お前からは蜂蜜みたいな甘い香りがしてな...」

つい、と言いながら耳を食べられてしまうのではないかと思うくらい、舐めて齧られた。
そんなに甘い物が好きだったっけ?と思いながらも辞めてほしくなくて、真似するように目の前の首を舐めて噛んだ。

「っ...!ふふ、少しニュアの香りがする、一体どこのご令嬢と、匂いが移るぐらい密着したのか教えてくれないか?」

「...ぇ...?あ、あぁ、長い時間シューラ様とニュアの花園でお茶をしたから、その時に移ったんだと思う」

「...そうか、シューラ様か...」

ほぅ、と珍しく溜息をついて両手を腰に回してぎゅうぅっと力を込められた...痛い。
名前を呼んでもそのまま固まってしまったため、顔に手を当ててみた。
再現は、ここまででいいのかな?と思い素面で行った恥ずかしさがこみ上げて顔を真っ赤にしていたら急にアルデ兄さんが起き上がる。

「!?...にいさ...っんんんっ」

キス、されてる
エメラルドグリーンの瞳を閉じて
全てをぶつけるような

「はっ...にいさっ!?んんんーっ...んっ...はぁっ...まっ...ぅんんっ」

「はっ...はぁ...」

なに、なに、なに
あつい、くちのなか、ぜんぶ、アルデ兄さんに舐められて、うばわれるっ...!

頭の中が全部ぐちゃぐちゃで、整理できなくて。
でも、今までで一番アルデ兄さんが近くにいる事が嬉しくて。

自分から、アルデ兄さんの頭を抱え込んで引き寄せた

「アルデ、だ...ふっ...アルデと呼べ」

「はっ、はぁっ...ある、アルデ...にいさん...あるでっ...んんんぅ」

「!!はっ...サナン!!」

しばらく争うようなキスを続けて、部屋じゅうに水音が響き渡っているような感覚になりながらも止まらずお互いの唾液を貪った。

酸欠なのか頭がボーッとしてきて、ようやく口を離せばぷつっと切れた唾液がそのままアルデの顎を伝っていく。
アルデの上に乗った状態で膝立ちになっていたため、上から覗き込む姿勢からその様を目の当たりにしたら、なかなか見られない光景に少し、イタズラ心が湧き上がり口角を上げながら伝っていた唾液を首から口に向かってゆっくり舐め取った。

ぼこりと出ている喉仏が、ごくり、と動いた瞬間

顎を強く掴まれて、口を全て覆い尽くすように、またキスをされる。

息も整わぬうちにまた塞がれ、気道を圧迫され、やめてと言っても止まらぬ口付けに段々と意識が薄れていく。


「...淫靡」

と聞こえたが、暗転





恐怖ではなく、熱情か?
そう思った事も、暗闇に消えた



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