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14.誰に教えを請いましょう
しおりを挟む本日の殿下は比較的楽に過ごして頂く事が出来そうです、書類は期日より余裕を持って処理済、謁見の予定も無いし、このままいけば久方ぶりに午後はお休みにしても大丈夫そうです。
「おいコラァ...ちょっと顔かせや」
訂正いたします
本日も忙しくなりそうです
まるで盗賊のような口調で現れたバルトロメオ様は殿下と対面する位置に座られてから一言も声を発しません、この様にお怒りになられている姿は5年ほど前に殿下が「サナンを我の秘書に任命する!」と冗談で申し上げたとき以来でしょうか。
殿下はずっと歯ぎしりが止まらないので心配になってきました、歯、欠けてしまいますよ。
とりあえず、リラックス効果のあるハーブティーをお出しするのでどうぞ召し上がって下さい。
「で、何しに来たんだよ」
殿下、小さな声で「はよ言えや」なんて付け足してはいけません。
余計お怒りになってしまいます...どこで覚えた言葉遣いですか?
カチャ、と小さくカップを置く音がなんだか大きく聞こえるなかふーーー、と長い溜息をつかれたバルトロメオ様は少し落ち着かれた様です。
ソファの背もたれに頭を預けておっしゃいました。
「心無きヘストレード」
その単語を口に出した者は、問答無用で首と胴体を切り離したくなります
「ガイア、殺気を出すでない」
失礼いたしました
「あの女...サナンをそう呼んだ。メイドか誰かが教えたんだろうよ、調べておいてくれ」
シライ殿が王宮から抜け出して彼らと接触されたという報告は受けていましたが、詳細は省かれていた様です。
報告してきた者は前線勤務に異動させましょう
「...サナンは今どこに?」
「兄さんの屋敷だ、今は一人だが兄さんに連絡したし早く帰るだろうよ」
「一人なのか!?なぜに此処に連れてこぬのだ!我と共におれば良いではないかっ」
「【聖女】がここに帰ってくるだろーが、鉢合わせたらどうすんだよ。それにギルに気を使って休めねぇだろ」
さすが良くお分かりになっておられます
サナン様はとてもお優しい方なので、余計な心配をさせまいと明るく振る舞うのでしょう。
今の彼に必要なのは休息かもしれません、とても残念です、特別なハーブティーを入れて差し上げたかった。
「そういうわけで、残念だが今回の【聖女】の噂を流すのは失敗だ」
猫目を使って下町の子供たちや商人に【聖女】という存在のイメージを噂で流してもらおうと計画していました。
異世界からやってきた、清楚で、賢く、この国に力を貸してくれる尊い存在
きっとこの国はより良い国になるのだと民衆や他国にアピールするために
バルトロメオ様やサナン様はその容姿や地位から有名な方たちです、お二人が街中を堂々と歩き視線と関心を引く事で猫目が裏で動きやすくしたのですが、残念ながら【聖女】本人が姿を晒してしまったので根も葉もない噂が流れるのでしょう。
「は~~ぁ、本当はサナンと一緒にいたかったのに、俺は、優しいから、わざわざ、ギルバーン殿下にご報告に参上いたしましたぁぁぁ」
「おっ前ぇ...不敬罪で投獄だ!!!」
「いいよそれでも!聖女は預からないし、サナンは悲しむし、公爵家を敵にするし、サナンは悲しむなぁ!!!」
2回おっしゃいましたね、殿下は瀕死でございます
昔からこのお二人はとにかく仲が悪うございますが、言いたい事を隠さず言えるのはとても良い事だと私は思います。
今回はあまり予定がうまく進みませんでしたが、数々の難題を乗り越えた方たちです。
きっと次からは上手くいくと信じましょう。
サナン様、お辛いでしょうが貴方はきっと前を向いて立ち上がるとガイアは信じております。
落ち着いたら是非おいしいお茶をご馳走しますので、遊びに来てくださいね。
殿下と待っております
それよりバルトロメオ様も殿下も一体どこでその様な下品な言葉をお使いになられるのか...。
私もまだまだ勉強が足りないようです、今からでも習得しなければなりませんね。
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