私の宝石を探して

ひちゅ

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24.届かぬ思い

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サナンは宣言どおり次の日、早朝に出ていっていまった。使用人たちが少ししか起き出していないような早い時間にこっそり出ていったようで誰にも姿を見せることなく消えてしまった。
お互い落ち着く時間が必要なのではないか、と離れた自分の落ち度を振り返ればどれだけ混乱していたのかを自覚せざるをえない。

「それで、サナンはあれから一度も...?」

「はい。あらゆる場所を探したのですが見つからず...。もしかしたら殿下に会いにきているかもとおもったのですが...」

サナンが去ってから今日で一月になる

バルトも猫目キャッツアイに指示を出して探してくれているのだが何故か見つからず、もしかしたら誘拐や、事件に巻き込まれたりしていないかとみな心配していた。
サナンは自分の仕事も放り出して行ってしまったらしく取引先の連絡など対応したが、こんな行動をするのは初めてだとみな驚いていた。急病だと誤魔化しているが収集がつく目処がたたないためギルバーン殿下にも助力を頼みに訪ねたがサナンは徹底的に周りの人物とは接触していないよう行動しているようだった。

「まるで別人のような振る舞いだ...サナンはいつだって誰かを悲しませるような事はしない。なのに今回は一体どうしたというのだ...」

「私の浅はかな行動が彼の大きな器を壊したのでしょう...責任はすべて私にあります」

「いや、アルデの事は謎が多すぎる!聖女は問い詰めても何も知らないの一点張りだし...。それにサナンが君をあっさり突き放すこともおかしくないか?」

「それほどに、許せなかったのでしょう...」

「そうかもしれないが、サナンは話を聞かずに答えを出すような衝動的なことをするとは思えないんだ。もしかしたら、私達に言えない、何か理由があるのではないか?」

「・・・。」

ギルバーン殿下が言うようにあの夜の日サナンは少し奇妙だった。聖女との関係を焚きつけるように挑発し、こちらが狼狽えている様を笑っていた。いつだって人を嘲るような事を嫌っていたのに、率先して真逆の行動をとっているかのような。

「そういえば...夜で暗かったので何とも言えないのですが、サナンの瞳の色が違うように見えました」

「瞳の色?」

「突然の事で混乱していたのではっきり申し上げられませんが、なんだか青緑ではなく、紫...赤紫色のように見えた気がします」

夜の暗い中でサナンの青色の瞳はほぼ黒に見える、しかしあの時なぜか黒にしては少し明るい色に見えた。赤よりも暗く、青よりも明るい、ワインレッドのような不思議な色に。
最初はわずかな違和感でしか無かったが今思えばなぜその様な色に見えたのか。

「...もしかしたら、アルデのように目にコアが発現したのではないか!?」

「いや、それは考えにくいです。サナンは王宮魔道士にコアが無いと確かに診断を受けました。それが今さら現れるとは考えにくいかと」

「そ、そうか...。まぁコアが現れたからといって今回の行動の説明にもならぬな」

「やはり私の勘違いかもしれません...。とりあえず王都の外にも捜索を広げます。報告は後日。」

見つけたら、閉じ込めて、鎖をつけよう
そんな事まで思いついてしまう自分が恐ろしい、こんなにも猟奇的な感情を持つ日が来るとは思ってもみなかった。それほどに、執着している。

「早く、会いたいよ」

でないと狂い叫んでしまいそうだ
どうか私にそんな事をさせないでくれ、早く、戻ってきてくれないか...?
そう思いながら自らも捜索を続けた。


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