私の宝石を探して

ひちゅ

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26.輝きは胸の内に

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コアは生まれてきた時から少しずつ作り出される感情が固まって結晶となり、そしてコアと呼ばれる宝石になって体のどこかに現れる。

サナンも例外では無い

ただ、特殊なコアだった
体から出現することなく身の内に留まり続け、血肉となり体全体がコアとも言えるようになっていた。コアの輝きを検知して診察する専門の医者たちからすれば存在自体が同化しているサナン自身を見てと判断しても不思議では無かった。
あまりにも境界線があやふやになっていたからだ

「私は、サナンだけど、サナンじゃないとも言えるんだよ」

「う、うぅ?だからいろがちがうの?」

「そうだね、瞳の色も変わっただろ?分かりやすい所だとそれくらいかな?」

「ほんとだ!まえはあお?みどり?だった!」

「そう、今は赤紫になっているだろ?それが私のコアの輝きなんだよ」

「あぅ?コアがふたつ?」

いいや、紛れもなく一つのコア、一つの存在、一つの体。

ただ、人格は2つ

サナンという存在の心臓となって宿る輝きは
アレキサンドライトという宝石だった。



***



ディアルデとバルトロメオは久方ぶりに訪れるサナンの実家に少し緊張していた。
両親は家督を長男に譲っているため旅行と称してあちこち観光地をまわっているから家にいるのは長男と使用人たちだけだ、サナンと同様穏やかで仕事も出来る素晴らしいお方なのだが...。

「ちょっと、サナンが消えたらしいじゃない?どういう事か説明しなさいよ」

どっからどう見ても美人にしか見えない
だが長男なのだ
どれだけ巻き髪がゴージャスで身長の高いモデルのような見た目でも、長男なのだ

「まったく...せっかくサナンにお土産いーっぱい買ってきたのに!視察から帰ってきたら行方不明とか言われるし!?デカいお前たち2人が疲れてる時に現れるし!?可愛くないんだよ!せめて癒やされる格好してこいよ!!」

ちらりと横を見れば明らかに女性が好むような可愛らしい大きな箱がいくつか積まれている、たぶんサナンに着せるつもりで買ってきたのだろうドレスが入った箱だ。サナンが早い段階で働いて実家を出た原因の1つは目の前の兄が大きく関係している。
小さな頃は遊びの範疇でドレスを着たりしていたが成人してからも要求されれば嫌でも気付く、しかも筋肉がついて体も大きくなったアルデやバルトにも求めてくるから困っているのだ。
誰よりも可愛いいものが好きなヘストレード家の長男はイライラしながら用意されたお茶を飲みつつ目の前の兄弟を睨んでいた。

「はぁ...可愛いサナン...変態に攫われていたらどうするんだ...。あんなに可愛いんだぞ!✕✕✕ピーー✕✕チョメチョメとかされちゃうぞ!?!?」

バルトが怒りに震えながらクッションを投げつけようとしているがなんとか抑えてもらった。
ヘストレード家も手を尽くした事は知っている、心配しているのは我々だけではない事も。

「アーデン、今日はサナンの事で聞きたい事があったから来たんだ」

「何だ?サナンの事なら何でも知ってるぞ」

隣で変態が...と小さく聞こえたが無視する

「サナンが消える前の日話していたら瞳の色が違って見えた。最初は見間違いかと思ったがやはり気になってな...過去そういう時はあったか?」

「ほーん...なるほど...」

「思い当たる節があるんだな!教えてくれ!サナンが姿を消した事に関係があるかもしれないんだ!」

「・・・。確かに、関係はあると思う。だが本人の許可なく教えられない」

「サナン本人が話さないと駄目って事か?でも見つからなければ聞けない」

「それもそうだ、でも誰だって自分の秘密を知らない所で言われたくないだろ?」

「そうだが...」

「だがアルデが教えてくれたおかげで少し話が前に進みそうだぞ!少し時間をくれないか?俺がちょっと手を打ってみるよ」

「...分かった。私も引き続き捜索する、何かあればすぐ知らせるよ」

そう言って3人は立ち上がるが何故かアルデがバルトの肩を押さえつけ再度ソファに座るはめになった。???と頭に浮かべて兄の顔を見れば苦笑いしている。

「すまん、バルト...お前の事は忘れない!!!」

そう言ってさすが騎士団長ともいえる瞬足で部屋を出ていった。

「えっ!?ちょっ...」

どういう事!?と立ち上がろうとしたら、いつの間に後ろに来ていたのかアーデンが肩にぽんっと手を置いて耳の近くに顔を寄せる。

「さぁバルトちゃん?お着替えの時間ですよ~~」

さっき変態って言ったの聞こえてっからな。
そう言う彼の手を振り解こうとしてもびくともしない、華奢な体でもでアルデと対等に張り合えるほどの怪力の持ち主だということを忘れていた!
そう気づいたときには、手遅れだった。



***



ぎゃーーーーー!!!!!

遠くの方から悲鳴が聞こえてくるなかヘストレード家の庭を歩きながら「尊い犠牲だった...」とぽそっと呟いた。

後日エメロード邸にいる執事いわく、あれから一週間は元気がなくヘトヘトになっていました。との事。それでも自らの仕事をこなすあたり本当に出来た弟だ、と誇らしく思う。
お詫びに酒を持って謝りに行ったが泣きながら怒られた。
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