片倉くんと新田くん

多上陸夜

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話し合いの結果、3人で一緒に住む事ことになった。
職場近くに丁度いい物件が見つかり、広めのマンションを賃貸することになった。

3人で一緒に暮らすのは初めてで、色々と最初は戸惑ってしまう。
仕事をしながらなので、3人揃って新居の準備を進めることは難しかったが、マンションの内見だけは3人休日の日を選んで行った。


莉佳の希望で寝室とベッドは3人で一緒に使用したいとお願いされ、キングサイズベッドの購入を決める。

家具選びは、莉佳が仕事日しか時間がとれず、煌と翔真で購入しに行った。
何にせよ全てを急ピッチで決めて行く為、日程調整に苦労する。
全ては、莉佳が少しでも早くと言う願いを叶えるため、煌と翔真が奔走することになった。

ベッド購入時は、店員さんに男2人で使うと誤解され辱めをうけてしまったが、莉佳がベッドを気に入ったので2人は忘れることにする。
もう、その店には行くことはないなと考える2人だった。





そんな甲斐あって、本日より3人で生活を送ることになった。


生活初日と言っても、荷物は少しずつ運んでいたし、引っ越し距離もそんなに遠くないため昼頃には落ち着き、午後はゆったり過ごしていた。




夕食はいつも通り自炊し、入浴をどうするか莉佳が1人悩んでいる。

「3人一緒はいくらなんでも、お風呂が小さくて無理だからどうしようかな……」
『……………』
煌と翔真が聞き耳をたてていたが、莉佳の中で、おかしいことになっていることに気付く。
「莉佳?3人一緒に入るつもり?」
翔真が、確認しようと莉佳に声をかける。
「今日が同棲初日だから普通は一緒に入るんじゃないの?」
「それ、3人は当てはまらないと思うぞ」
付き合いの長い煌でも、莉佳の考えに理解が追いつかずにいた。
「違うの?でも、折角だから一緒がいいな」
恥ずかしげもなく、莉佳がお願いしてくる為、2人は観念して莉佳の提案を訊くことにした。



「煌くんはお風呂上がるの早いから…とりあえず一緒に入って、煌くんが出てから翔真が入るでお願いします!」
元気よく話す莉佳に、2人が同意する形で入浴することとなる。



莉佳がバスタオルを巻いて湯船に浸かってから、煌が脱衣所で衣服を脱いでバスルームに行く。
煌はシャワーを流しながら洗身していき、髪を洗い終わったところで莉佳が手招いた。
「煌くん、ここどうぞ」
莉佳がバスタブの真ん中に寄り、莉佳の後ろにスペースを作る。
「ああ」
腰に巻いていたタオルを外して、煌は莉佳の後ろに回り、腰を下ろすと脚の間から莉佳が凭れかかってくる。


しばらく湯船に2人浸かると、莉佳が思い出したかのようにに呟いた。
「やったことなかったから、やってみたかったんだ…」


煌は返答に詰まったが、意地悪く誂う。
「莉佳がこんな大胆だったとは知らなかったな」
煌は莉佳の身体を腕で抱えて、首筋に口唇を当てる。
「だって、マンガとかでよくそういうのあるよね?」
莉佳が煌に視線を合わせることなく煌の腕に手を掛ける。
「よくかは知らないけど、あるかもな」
煌が莉佳の耳元に口を近づける。



「もう、煌くんは湯船嫌いなんだから、直ぐに出るんでしょ。翔真と交代してきていいよ」
拗ねた様に莉佳が煌の腕を解くが、煌は解かれた腕で莉佳の腰を抱え上げると、2人が向き合った。

「慣れないから、のぼせる」
煌は、莉佳に触れるようなキスをすると、湯船から上がりバスルームを出ていった。

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