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epilogue 遠い国の朝
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――1953年、カナダ、モントリオール
日が暮れたばかりの路地を歩きながら、シンシアが言った。
「今夜、映画会があるのよ。日系人会の教会で。タダで入れるし、暖かいわよ」
ネルは頷いて彼女のあとをついていった。風の強い夜だった。街の中心部から少し外れた小さな教会の地下。掲示板には〈土曜映画会・今夜は“Titanic”〉と英語と日本語で書かれていた。
「ここなら、誰も何も言わないから」
シンシアはさらりと言ったが、ネルはその意味を感じ取っていた。以前、シンシアが公共の映画館で入場を断られたことがあるのだという。他の客が「アジア人がいる。追い出せ」と騒ぐから——それが理由だった。彼女の笑顔の奥にある、その出来事の記憶に、ネルは黙って目を伏せた。
『ジプシーのカマ野郎が』
ふいに、ヴォルフガングのあの薄ら笑いと共に蘇った台詞。そして諦念が滲み出たルシアンの苦笑。
人間は血を吸わない代わりに言葉で他者を干からびさせる。
地下の小さなホールには、折りたたみ椅子がいくつか並べられ、即席のスクリーンが設置されていた。映写機の準備をする男たちは皆、見知った顔という風に挨拶を交わし合っていたが、ネルを見ると一瞬、不思議そうに目を留めた。そしてすぐに、なにも言わずに視線を外す。
まるで、「シンシアの隣に座っていること」だけで、ネルの存在が許容されたかのように。
細身の青年がフィルムのリールを持ち上げ、別の男がスクリーンの布を広げている。シンシアはそれを見つけるなり、ぱっと目を輝かせて駆け寄った。
「コンバンハ! ミナサン、エイガ、ヨロシクオネガイシマス!」
大きな声ではきはきと叫ぶ。青年たちはいっせいに振り返り、少し笑ってうなずいた。
ネルはその声を聞いて、目を瞬いた。
(……何語?)
耳慣れない、しかしどこか規則的な響きだった。意味はわからないが、なぜかシンシアの口調から伝わってくる喜びに、ネルは少しだけ目を細めた。
やがて青年たちはまた作業に戻り、シンシアはネルのもとに駆け戻ってきた。
「ね、すごいでしょ。あの人たち、みんな日本人なのよ」
ネルは舞台の方を振り返った。どこか面影の似た青年たちが、互いに冗談を飛ばし合いながら、肩を並べて働いている。
「……兄弟みたいだね」
ネルのその呟きに、シンシアは少しだけ笑って、うなずいた。
二人は最後列の端に腰を下ろした。教会の中はほんのりと暖かい。
灯りが落とされると、すぐにフィルムの回る低い音がカタカタと響きはじめた。
誰もが日常を脱ぎ捨てるこの小さな闇の中で、ネルはふと思った。
——彼女はここに生きているのだ。北米の片隅で、遠く「日のいづる国」の名を持つ者として、名前のない日常を重ねながら。そして、映画がはじまった。
映写機の唸る音が、古びた劇場の静寂を震わせる。光が生む幻が、銀幕をゆっくりと染め上げていく。
ネルは薄暗い客席の奥に身を沈めながら、じっとスクリーンを見つめていた。シンシアがネルの隣で静かに笑った。
「なんか、映画の中の人たちって、みんな死んじゃってる気がするわね」
人間の技術が紡いだ奇跡の幻影。
19世紀を生きたネルにとって、これは魔法としか思えなかった。
もう二度と会えないと思っていた人間が、そこにいる。言葉を交わし、目を合わせ、最期の瞬間までもう一度生きてくれる。
何度も思い返し、胸の中で呼びかけ続けてきた記憶が、今、目の前で動き出している。
ネルが生きた時代、それらは夢の中でしか見ることが出来なかった。失われた船も、消えた恋人たちも……そして何より——朝を、夜明けを、もう一度見ることができる。
光の粒が集まり、タイタニック号の船影が海に浮かび上がる。セリフと共に人々の営みが始まり、やがて、船が悲劇へと向かってゆく。
ネルは映画を「物語」としてではなく、「過去の再演」として眺めていた。
そこに描かれるのは、死に向かって進む者たちの、つかの間の幸福と虚飾、そして美しかった最期。
「これは作りものだ」と思いながらも、心は勝手に震えてしまう。
それが人間だった頃に置き忘れてきた、名残のようで。
フィルムのノイズが、時折スクリーンに白い傷を走らせる。ネルの視線は、映し出された俳優——バーバラ・スタンウィックの表情に吸い寄せられていた。
彼女はあまり大きな動作をせず、それでいて瞳の震えだけで恐怖を表現していた。言葉よりも先に、目元と口元の影が感情を伝えてくる。この先、後世の俳優たちが忘れていく「沈黙の力」を、彼女は確かに知っていた。
クリフトン・ウェッブは背筋を伸ばし、まるで彫像のように正面を見据えながら、妻に向けて静かに言葉を投げかけていた。怒りも哀しみも抑えて、それを丁寧に「装って」いた。ネルは思った——彼の演技には、どこか自分と似た匂いがある。感情を抑えることで、自分自身を保っている者の目だった。
セリフは感傷的すぎるくらいで、身ぶりは大げさで、けれど、それでも。
その「作られたドラマ」は、なぜか痛々しいほどに真実だった。
そして——朝焼け。
画面の中で水平線が赤く染まり、残された者たちが海の上で光を迎える。
やがて、救命ボートの中でスタンウィックが息子を抱きしめる場面。遠く、朝の光が差し込む。
——同じだ、と思った。
ネルは息を呑む。光の中で、灰になって消えた者たちの姿が、ありありと甦った。
ヴァネッサ。
エレオノーラ。
そして、今この映画館で、自分の隣に座っている少女の横顔を見ている、この朝。
名前のない多くの"朝焼け"たち。
時は流れ、すべてが変わってしまったようでいて、何ひとつ変わらない。
——不思議だ、と思った。
西の果ての国に辿り着いた自分が、今、遥か東の果ての国の血を引く少女と並んで朝焼けを見ている。
太陽が昇る場所。人類がその始まりを夢想した「極東」。
その果てから、彼女はやってきた。
これは偶然じゃない、とふと思う。
地球の両端が、静かに一つの夜明けに繋がったのだ。
そしてこれはただの映画じゃない。
朝焼けの亡霊たちが、ネルの記憶にもう一度戻ってくるための儀式。
「……きれいな朝焼けだね」
隣で、シンシアがぽつりと呟いた。
白と灰のスクリーンの向こうに、彼女は確かに色を見ていた。ネルにはわかっていた。
ネルは小さく微笑む。かつて誰かの髪の色を「朝焼けのように綺麗だ」と言ったことを思い出しながら。
そして気づく。
この朝もまた、自分にとっての「夜明け」なのかもしれない、と。
fin.
日が暮れたばかりの路地を歩きながら、シンシアが言った。
「今夜、映画会があるのよ。日系人会の教会で。タダで入れるし、暖かいわよ」
ネルは頷いて彼女のあとをついていった。風の強い夜だった。街の中心部から少し外れた小さな教会の地下。掲示板には〈土曜映画会・今夜は“Titanic”〉と英語と日本語で書かれていた。
「ここなら、誰も何も言わないから」
シンシアはさらりと言ったが、ネルはその意味を感じ取っていた。以前、シンシアが公共の映画館で入場を断られたことがあるのだという。他の客が「アジア人がいる。追い出せ」と騒ぐから——それが理由だった。彼女の笑顔の奥にある、その出来事の記憶に、ネルは黙って目を伏せた。
『ジプシーのカマ野郎が』
ふいに、ヴォルフガングのあの薄ら笑いと共に蘇った台詞。そして諦念が滲み出たルシアンの苦笑。
人間は血を吸わない代わりに言葉で他者を干からびさせる。
地下の小さなホールには、折りたたみ椅子がいくつか並べられ、即席のスクリーンが設置されていた。映写機の準備をする男たちは皆、見知った顔という風に挨拶を交わし合っていたが、ネルを見ると一瞬、不思議そうに目を留めた。そしてすぐに、なにも言わずに視線を外す。
まるで、「シンシアの隣に座っていること」だけで、ネルの存在が許容されたかのように。
細身の青年がフィルムのリールを持ち上げ、別の男がスクリーンの布を広げている。シンシアはそれを見つけるなり、ぱっと目を輝かせて駆け寄った。
「コンバンハ! ミナサン、エイガ、ヨロシクオネガイシマス!」
大きな声ではきはきと叫ぶ。青年たちはいっせいに振り返り、少し笑ってうなずいた。
ネルはその声を聞いて、目を瞬いた。
(……何語?)
耳慣れない、しかしどこか規則的な響きだった。意味はわからないが、なぜかシンシアの口調から伝わってくる喜びに、ネルは少しだけ目を細めた。
やがて青年たちはまた作業に戻り、シンシアはネルのもとに駆け戻ってきた。
「ね、すごいでしょ。あの人たち、みんな日本人なのよ」
ネルは舞台の方を振り返った。どこか面影の似た青年たちが、互いに冗談を飛ばし合いながら、肩を並べて働いている。
「……兄弟みたいだね」
ネルのその呟きに、シンシアは少しだけ笑って、うなずいた。
二人は最後列の端に腰を下ろした。教会の中はほんのりと暖かい。
灯りが落とされると、すぐにフィルムの回る低い音がカタカタと響きはじめた。
誰もが日常を脱ぎ捨てるこの小さな闇の中で、ネルはふと思った。
——彼女はここに生きているのだ。北米の片隅で、遠く「日のいづる国」の名を持つ者として、名前のない日常を重ねながら。そして、映画がはじまった。
映写機の唸る音が、古びた劇場の静寂を震わせる。光が生む幻が、銀幕をゆっくりと染め上げていく。
ネルは薄暗い客席の奥に身を沈めながら、じっとスクリーンを見つめていた。シンシアがネルの隣で静かに笑った。
「なんか、映画の中の人たちって、みんな死んじゃってる気がするわね」
人間の技術が紡いだ奇跡の幻影。
19世紀を生きたネルにとって、これは魔法としか思えなかった。
もう二度と会えないと思っていた人間が、そこにいる。言葉を交わし、目を合わせ、最期の瞬間までもう一度生きてくれる。
何度も思い返し、胸の中で呼びかけ続けてきた記憶が、今、目の前で動き出している。
ネルが生きた時代、それらは夢の中でしか見ることが出来なかった。失われた船も、消えた恋人たちも……そして何より——朝を、夜明けを、もう一度見ることができる。
光の粒が集まり、タイタニック号の船影が海に浮かび上がる。セリフと共に人々の営みが始まり、やがて、船が悲劇へと向かってゆく。
ネルは映画を「物語」としてではなく、「過去の再演」として眺めていた。
そこに描かれるのは、死に向かって進む者たちの、つかの間の幸福と虚飾、そして美しかった最期。
「これは作りものだ」と思いながらも、心は勝手に震えてしまう。
それが人間だった頃に置き忘れてきた、名残のようで。
フィルムのノイズが、時折スクリーンに白い傷を走らせる。ネルの視線は、映し出された俳優——バーバラ・スタンウィックの表情に吸い寄せられていた。
彼女はあまり大きな動作をせず、それでいて瞳の震えだけで恐怖を表現していた。言葉よりも先に、目元と口元の影が感情を伝えてくる。この先、後世の俳優たちが忘れていく「沈黙の力」を、彼女は確かに知っていた。
クリフトン・ウェッブは背筋を伸ばし、まるで彫像のように正面を見据えながら、妻に向けて静かに言葉を投げかけていた。怒りも哀しみも抑えて、それを丁寧に「装って」いた。ネルは思った——彼の演技には、どこか自分と似た匂いがある。感情を抑えることで、自分自身を保っている者の目だった。
セリフは感傷的すぎるくらいで、身ぶりは大げさで、けれど、それでも。
その「作られたドラマ」は、なぜか痛々しいほどに真実だった。
そして——朝焼け。
画面の中で水平線が赤く染まり、残された者たちが海の上で光を迎える。
やがて、救命ボートの中でスタンウィックが息子を抱きしめる場面。遠く、朝の光が差し込む。
——同じだ、と思った。
ネルは息を呑む。光の中で、灰になって消えた者たちの姿が、ありありと甦った。
ヴァネッサ。
エレオノーラ。
そして、今この映画館で、自分の隣に座っている少女の横顔を見ている、この朝。
名前のない多くの"朝焼け"たち。
時は流れ、すべてが変わってしまったようでいて、何ひとつ変わらない。
——不思議だ、と思った。
西の果ての国に辿り着いた自分が、今、遥か東の果ての国の血を引く少女と並んで朝焼けを見ている。
太陽が昇る場所。人類がその始まりを夢想した「極東」。
その果てから、彼女はやってきた。
これは偶然じゃない、とふと思う。
地球の両端が、静かに一つの夜明けに繋がったのだ。
そしてこれはただの映画じゃない。
朝焼けの亡霊たちが、ネルの記憶にもう一度戻ってくるための儀式。
「……きれいな朝焼けだね」
隣で、シンシアがぽつりと呟いた。
白と灰のスクリーンの向こうに、彼女は確かに色を見ていた。ネルにはわかっていた。
ネルは小さく微笑む。かつて誰かの髪の色を「朝焼けのように綺麗だ」と言ったことを思い出しながら。
そして気づく。
この朝もまた、自分にとっての「夜明け」なのかもしれない、と。
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しかし同胞たちとの関係を通して、その上で昇ったがゆえに、風が気持ちよく吹くのでしょう。
全編を通して、作者は人間の機微をよく知っている気がしました。
楽しく読ませて頂きました。
ありがとうございました。
シリーズ全て読んでもらえてとても嬉しいです。ありがとうございます。
二部もこちらの三部も、「愛してる、と言って死んで」に繋がるように書いてるので、今回も狙った通りの感想をいただけて光栄です。
やはり私自身も最後は一部作に繋げないとネルの原点がわからなくなるし、ネルの人生を描けないと思ってます。
相変わらずの優れた語彙力と表現力に満ちた感想、感謝します。