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8 旅立ち
アンティークの長剣や短剣が所狭しと置いてありその山から2つの短剣を取り出した。
「2つ?」
「あぁ、これは対になってる訳じゃなく元々別々の短剣同士だが相性がいい。バランスがとれるんだ。この2つはかなり使える」
といって、俺達に少し古めかしい剣を見せた。
「セドリックは大剣か斧使いだぞ」
「知ってる」
少し刃先を確かめるように短剣をテラテラと窓の光に向けて確かめていた。
「そこは問題じゃない。それにこれは普通のより少しデカイからセドリックぐらいが持つのに丁度いい」
「セドリック、お前使った事あるか?」
「まぁ、無い事は無いが…まず使わねぇな」
ソードはそんな事気にも留めずに話した。
「大剣しか、ねぇだろ?だから短剣なんだ。もし、大剣無かったらどーすんだ?さっきから気になってた。腰ポケットにもブーツの横にも剣や武器がない。これから長く冒険者やるなら絶対持っとけ」
それから、まだ少しピンときてないセドリックに持ち方と使い方を教えていた。みるみる顔が感動してるのがわかった。
「こいつは、手回ししながら使ったり手の甲をうまく滑らせんだ。もう1つは瞬時に出せるように。毒でも塗れば尚いいが、使い捨てる覚悟で刺せ。剣に固執するな。惜しんでもダメだ。
この短剣は刃先が他のと違い鍵のようになっていて上手くやれば2.3体の魔獣をやれる。もう1つは目眩ましにもなるし、切れ味がいいから気がつかない内に斬られてるから後からじわじわ痛さを感じるかもな。
グリップは自分で治せ。持ってくときは必ず手入れだな。終わったあとも軽く油をつけて拭いておけ」
次々と説明するソードの話しはまるで今まで組んだ事があるかのようだった。また、そんな説明は武器マニアのこいつを夢中にさせた。
俺はセドリックに聞いた。
「で、その短剣でいいか?」
答えは勿論聞くまでも無かった。
その後ソードはセドリックの性格からくる弱点などを話した。セドリックは俺に何度も「ソードすげぇな」と耳打ちした。
少し疲れたのか、ソードは「お茶しようぜ」と甘いもののありそうな店に入った。
「明日の夜にでる」
「そうか、寂しくなるな。また、相方探すかな」
「悪いな」
とソードが謝った。
ソードが謝る必要なんてないのにと思ったがセドリックは首を振って言った。
「ソードとなら心配してねぇし、むしろ嬉しいよ。もし、近くに来たら寄ってくれ。俺はこの街が好きだから多分ずっと居るからよ!明日からレイの美貌が拝めねぇやつらの、ため息が今から聞こえるぜ!」
「レイやっぱモテるのか」
「かなり」
「あ?んな訳あるか。俺はソードだけにモテたい」
「あ、そ」
「何だやっぱそういう、仲になれたのか!良かったな!」
「なってない」
「ほぼ、なっただろ?ほぼ!」
「なってない」
「まぁまぁ~」
そんなやり取りをして、俺達は店を後にした。
途中、顔見知りに声をかけられたりしてあっという間に夕刻になった。
「じゃあな、セドリックまたな」
「おう!レイも気をつけてな!ソードもありがとな!またな!」
そう言ってセドリックは夕刻と共に去っていった。やっぱ1年でも、いざ別れると寂しいものはあるな。
ソードに礼を言い俺達もすぐに別れた。俺は部屋に入り明日の確認をした。荷造りも終わったし、昼すぎに部屋を明け渡しソードの宿に向かう。
嵐のような数日だったな。
疲れたけど、嬉しくて顔はニヤける。
やっぱ、ソードの観察力は半端なかったな。セドリックが羨ましくて仕方なかった。俺より先にソードの手解き受けやがって!まぁ、あいつ居なかったら出会えなかったし許してやるか。
まだまだ、ソードについて知らない事だらけだけどこれから全部知り尽くしてやる。俺の好きは鬱陶しからな。
さて、さっさと風呂入って寝るか。あ゛~疲れた~!
数年後、セドリックに泣きながら感謝されるとはこの時の俺は全然予想もついてなかったがな。
□□□
コンコン
部屋を明け渡しソードの部屋の前でドアをノックした。ガチャりとドアが開いて「どーぞ」と俺を向かい入れてくれた。
「中々の軽装でいいな」
「ソードは結構あるな。これ、なんだ?」
箱や袋がいろいろあるが何だ?
薬草?にしては可愛らし袋だな。
「あ、それお菓子」
「あ゛?」
「全部持ってくからな!」
「おい!」
「全部、大事なやつだ!途中で食うから少し減る!」
「俺、有り気で買っただろ!」
「………お前も食うだろ?」
「はぁ…半分持ってやる」
俺の気合いと覚悟返せよ「ありがとー☆」といって鞄につめるソードを俺も手伝った。少し早めに晩飯を食い仮眠をして宿をでる。
もうすぐ真夜中、天気は悪くない。月が欠けてうっすら夜を照らす。ハブウルフを使って次の街まで行くらしい。こいつは飼い慣らされた犬獣の仲間で中距離移動に役にたつ。
「じゃあ、出るぞ」
「おう」
俺らはハブウルフで門をでた。走らないのか?と聞いたら慣らしたいからゆっくり行くらしい。
この街を少しでた左手に小高い丘の上に木があり冒険者達の間で待ち合わせとして使われていた。
この景色も当分見れないな。そんな事を思って丘の一際でかい木をみていた。
セドリック!?
夜で見づらかったが間違いない。時間教えて無かったはずだ。
……ソードめ。
チラッとソードを見た。
「なんだ」
「別に」
ありがとう。
お互い軽く手を挙げた。俺はあいつの無事を願った、恐らくセドリックも同じ事を考えていただろう。黒い影が小さくなる。
「走るぞ」
そう言ってソードはハブウルフを操り、欠けた月がてらす道を駆け抜けていった。
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